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明日も世界は回るから  作者: 白石ヒカリ
1章 絶望の中の光
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4.いじめ

九月。


真夏のような暑い日差しはまだ降り注ぐが、夏休みは終わり。

同時に学校が始まる。


『友達と会える時間』がやって来る・・・・。


私はいつも通り学校に向かい、教室に着く。


そして自分の席に座ったら、いつもの仲良しの二人が私の元までやって来た。

私の友達の北條さんと、小坂さん。


でも北條さんは、今まで見せたことのない『怖い表情』を見せて、私に問い詰める。


『一番問われたくないセリフ』で、私に問い掛ける・・・・。


「空、なんであたし達が襲われているのに、助けくれなかったの?」


そう言って、北條さんは私の机を大きく叩いた。

北條さんの額や腕には、微かだけど『青いアザ』がある。


そしてそれは、小坂さんも同じようなアザがあった。

それと怒りを噛み殺したような、とても悔しそうな小坂さんの表情。


一方で私は何も答えられなかった。

謝ることを忘れて、『言い訳』すら思い付かなかった。


・・・・と言うより、答えられなかった。


だって、今まで優しかった二人が、私に見せたことのない表情を見せているんだもん。

どんな時も、私に『笑顔』を見せてくれた二人だからこそ、その『鋭利な刃物のような怖い表情』は私の心に突き刺さる。


それはまるで、『知らない世界』に来てしまったみたい。


だから私、ずっと北條さんと小坂さんの怖い視線を浴びながら、下を向くだけの時間が続いた。

言葉なんて出てこないから、二人に『自分の想い』は伝えられないまま・・・・。


そして私、『とんでもないことをしてしまったんだ』って、『大きな罪悪感』を感じた。


私、二人とは友達なのに、『最低な事をしてしまったんだ』って後悔した。


『もう楽しかった頃には戻れないんだろうな』って、怯えながら。



『友達を見捨てた最低な人間の美柳空』と言う名前はクラスメイトに広がり、私の評価はただ下がり。

いつの間にか、私を見る目は『冷たい視線』ばかりだ。


まるで、『なんでコイツ生きているの?』とでも言うような、クラスメイトの私を見る表情。


同時に北條さんと小坂さんから、『酷い攻撃』を受けるようになった。

『友達を見捨てた罰』として、北條さんや小坂さんに『いじめ』を受けるようになった。


他のクラスメイトも彼女らに便乗して、私の存在を馬鹿にする。

クラスメイトの一部はいじめに加算する。


私が教室に入ると、席がないのは当たり前。

私のノートや教科書などは、よくゴミ箱に入っているし、『トイレの個室の中にいたら、上から水を掛けられる』なんてことは、よくある話。


黒板にも私の悪口はよく書かれている。

『死ね』とか、私の存在を否定するクラスメイトのメッセージ。


『罵声』や『暴力』と言った攻撃を受けるだけの日々が、これからも続くだろう。

『嫌な思い』をするだろう。


だけど、仕方ないよね。

私、二人に『とんでもないこと』をしてしまったんだもん。


『取り返しのつかない事』をしてしまったんだもん。


北條さんと小坂さんに『友達』と呼ばれる私は、二人を助けるどころか、何もせずに逃げてしまった。


おまけに『自分には関係無い』と言い聞かせ、『友達が暴行されていた』と言う記憶すら消そうとしてした。


あの時、北條さんと小坂さんは凄く精神的なダメージや肉体的ダメージを受けたのかもしれないし。


スゴく深い『傷』を負ったのかもしれないし。


私に『助けて』って叫んだかもしれないし。


・・・・そんな時に『友達』が助けてくれなかったら、誰だって怒るよね。

怒って当たり前だよね。


そして、『友達を見捨てる奴』は二人から『罰』を受けて当たり前だよね。

クラスメイトからいじめられても、仕方ないよね・・・・。




私はいつの間にか、元の一人で過ごしていた時のような生活に戻っていた。


北條さんと小坂さんは私の元から離れ、二人は遠くで私の『悪口』を言っているから、私はまたひとりぼっち。


いじめと言う『罰』を受けながら、いつも一人で過ごす日々。

そこに『光』はない。


あるわけない。


でも少しだけ、『明日も頑張ろう』と思わせてくれる時間がある。

今の『苦しい気持ち』を忘れさせてくれる瞬間がある。


それは、私が大好きな『弟』と一緒にいる時間だ。

私が一日の中で、唯一『笑顔』になれる時間。

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