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明日も世界は回るから  作者: 白石ヒカリ
1章 絶望の中の光
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2.初めての友達』

一人でいることが好き。

不思議と『誰かと一緒に居たいと』思ったことは、あまりない。


昔からそうだった。

私はクラスメイトの輪に入らず、いつもひとりぼっち。


休み時間や登下校も、小学生の時からいつも一人。


でも実は私、『高校二年生』になってからは違った。


生まれて初めて『友達』が出来た・・・・。



今から七ヶ月前の、新学年の新学期のこと。


いつも通り一人で過ごす私に、声を掛けてきた二人組がいた。

クラスの男子から人気のある、優しい女の子の二人組。


「ねぇ、なんでいつも一人なの?」


「ちょっとりんちゃんストレート過ぎだって!」


そう言う二人組は、『一人でいる私をからかっている』のだと思った。


だから私は自然と下を向いてしまう。

無視するように、何も答えなかった。


と言うより、なんて言葉を返したらいいのか、分からなかった。

必死に考えても、友達のいない私には『超難問級のクイズ』のように思えて、何も答えられない。


二人組に『無愛想なやつ』だと思われる私。


それでも二人は優しかった。

こんな私にも、ちゃんと目を合わして話してくれる。


「ごめんごめん。あたしは北條燐ホウジョウ リンだよ。一年の時はクラス違ったよね?

だから美柳さんと一緒に話をしたいな、ってさ」


そう言う北條さんは、私を見て優しく笑った。

綺麗な黒髪が印象的な、女優さんみたいに綺麗な女の子。

そしてもう一人。


本来校則違反のはずの、綺麗な金髪が似合う、ショートヘアの可愛い女の子。


「あたしは小坂花音コサカ カノン花音か、のんちゃんって呼んでね!

馴れ馴れしくて子供っぽくて、うざいって言われるけど、気にしない気にしない」


とても明るい小坂さんは、もうすでに私の事を『友達』と思ってくれているみたいで、後ろから抱き付いてきた。


ちょっと馴れ馴れしい小坂さん。


そんな二人の『本音』は分からない。

なんで私なんかに声を掛けるのか、全く理解が出来ない。


だからここは、『また無視しようか』と思った。

そうしたらまた『今まで通りの自分』に戻れるし。


『一人の時間』が好きなら、そうするべきなんだけど・・・・。

いつの間にか私は顔を上げていた。


理由は、知らない・・・・。

「み、美柳空・・・。よろしく」


緊張しながら、短く私は答えた。

声は震えている。


一方の二人は、揃って私に『笑顔』を見せてくれた。


「空だね!仲良くしよ」


北條さんに『下の名前』を呼ばれて、私は戸惑った。私も『下の名前』で呼んだ方がいいのだろうか。


後ろから私に抱きついてくる小坂さんも、嬉しいのか急に力が強まる。


「いえーい!そらちゃんと友達になれた!

ってか、そらちゃんの髪綺麗だよね!

シャンプー何使ってるの?」


「って、花音はなんで空の頭の匂いを嗅いでるのさ!

変態オヤジか!」


呆れた顔を浮かべて北條さんは、私の髪を嗅ぐ小坂さんを見ている。

でも、ちょっと北條さんも嬉しそう。


ってか私、髪綺麗じゃないのに。


一方の私は、二人のペースに巻き込まれて困惑するだけ。

小坂さんはずっと私に抱き付いているから、立つことも動くことも出来ない。


だけど、二人が私の事を受け入れてくれたから、私も嬉しかった。

生まれて初めて出来た『友達』を前に、私から『小さな笑顔』が溢れる。


北條燐さんと小坂花音さん・・・・。


そんな二人と、気が付けばいつも一緒にいる私。

休み時間になれば、二人はいつも私の元へやって来るし、一緒にお昼ご飯も食べたりする。


放課後になれば、近くのショッピングモールで遊んでいた。

外が暗くなるまで、ベンチに座ってずっと仲良く話していたっけ。


そして何もかも『初めての経験』に私も楽しくて、いつの間にか一緒に笑っていた。

気が付けば、二人に心を開くようになった私。


他にも一緒にテスト勉強をしたりして、私や小坂さんの家に集まったりした。

テストの点数のいい小坂さんにビックリしたけど、三人で楽しく勉強出来たから、一学期の中間テストはいい出来だった。

逆に『今度のテストが楽しみ』になってしまうほど、三人の勉強会は楽しかったけ。


こうして、いつも私と一緒に過ごしてくれる北條さんと小坂さん。

学校も楽しくて、一学期もあっという間だった。


高校に入って二回目の夏休みも、スッゴく楽しかった。

部活に所属していない私達は、ほぼ毎日ように遊んでいたし。

夏休みの宿題も一緒に終わらせたし。


だから本当に、『いつも三人の楽しい夏休みだった』と振り返る。


そして『二学期もこのまま続けばいいのに』と思ったのに・・・・・。


神様は、それを許してくれない。

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