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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
94/109

全知全能

 天使側は身の守護に徹した。

 熾天使を含める天使側はレナとルシフェル、シュネーヴィッチェンとラムを除き十六名。

 対して第一階級を制する五人は揉めていた。


「邪魔だぁあ‼︎」


 梓梛あずなが大声を上げる。

 その音響兵器は地獄側に被災し、


「「「「うるせえよ…」」」」


 共闘の意思が無い。

 それは各階層で共闘しても一番でなければ通過できない地獄側では身に付くものが歴然として違った。


「すまぬ」


 ラファエルの声が通る。

 またガブリエルは「洗脳不能」との事。

 それは罪悪感を肥大化させる方角において相手は超越している。

 またラファエルは時間という自然回復を一瞬でやり遂げる、蘇生がある以上自身の尊厳を揺るがす環境の要因。

 だがむしろ環境に適応して闘志が燃える天使達に、北条埜央ほうじょうやお姥山茉桜うばやままはるから高揚の顔が浮かぶ。


「やるね」


「凄いね」


 背中の彫りものが赤く光り、戦線の空気が黒い物質で満たされ出す。

 ひと吸いすると速攻で脳へ達する黒い物質は中枢神経へ作用する。

 オキシトシン、セロトニン、ドーパミンを過剰分泌させる姥山茉桜うばやままはるの能力にして、化学式を司る。

 北条埜央ほうじょうやおがその物質に便乗し能力を発現させた。神経の伝達回路を腐蝕し多幸福を閉じ込める。

 天使側の志気が多幸福に奪われていき、万代琥彩ばんだいこあが生贄と口にする時。

 ゼウスは口にした。

 ウリエル、ステンドグラス、ラファエル、ミカエル、ガブリエル、アリエル、アズラーイール、カマエル。その名は御大達。

 ネルァギエル、ヴユカテエル、ニタネム、ペネダイポデヤ、サハーテル、ヒエル、ザフエル、アメル。その名は熾天使達。

 黄金の光が全軍へ掛かり息吹が蘇る。

 体も情緒も、また「悪人が輝いていい秩序があろうことか」とゼウスが戦線へ歩いていく。

 その姿は光りとなり、白いエネルギー状の剣を斬り込む。


「悪の定義は難儀にして、明確にし難い」


 頼職柑奈よりもとかんなの血が舞い上る。また射水梓梛いみずあずなが倒れる頃には、プラズマかの残留を靡かせて北条埜央ほうじょうやおの喉を斬る。


「しかし悪が蔓延るとは我々が目を瞑る結果の事象よ」


 万代琥彩ばんだいこあ姥山茉桜うばやままはるの心臓を刺すゼウス。


「本来悪なんぞ小さい問題から始まり、逃避すればいずれ喰われる。凛界は問題を徹底的に突き詰め、最小の段階で察知する。この様に」


 五人を宙にひれ伏すゼウスは、その剣を変幻し雷霆ケラウノスへ達した。


「真に取り組む子の意欲を疎外させ、我が文明を凌駕する野心然り、偶然秀才を超えた悪餓鬼が程々にせえ」


 雷霆のエネルギーが増す。

 魂ごと消滅するエネルギーが五人に振る中、三叉槍と杖で食い止め、透き通った目が俺を捉えた。


「お前は和魁玖歌のトップにいるはずだった」


「かも、しれません」


「儂は自慢の弟子を背中に預けたかった」


 それは当時、多くの人がそれを望み、幸せになれるとして、自分の人生は自分で拓きたいと答えたのを思い出した。


「貴方の教えでは、こんなに倫理観のぶっ壊れた仲間と出会えないでしょう」


「メラクの事だよな」


 澄まし顔のユダに柑奈が呟く。


「ユダでしょ」


「…倫理観ってなに?」


「さあ?」


「てかメラクになすり付けるユダウケる」


「メラクといえばシヴァとどうなっ…」


「シー!」


「…あ。シ…シ。オ。アレイオンのタイプって誰?」


 後ろの五人が話し込んで、恋の話しに変わった。

 会話のネタ集めで楽しんでるんだなーと、なんか動揺したが空模様が怪しくなる。


「不法に踏み込んだ罰はまだ、終わっとらん…」


 天が歪み雷が割れる。

 環境が変わり鉛の中にいるみたいに重い。


「罪状は脱獄の召請補助、善の執行妨害、神の叛逆。牢屋でひっ捕える重さなら全ての罪状が聞けるだろうが貴様ら全員極刑だ」


 凛界がゼウスのエネルギーで満ちる。

 動ける者はごく僅かだと光景が物語っていた。


「みんな」


 俺は騎士団に伝えた。

 みんなに守られるか弱い王だと思わせてしまい、すまなかった。

 これからは自分を表現していく、聞いてくれ。俺の名はアレイオン、ポセイドンの継承者であり。

 メイミアと目を合わす。


「まだ守護神。己が手に潰れぬよう、食いしばれ」


 ──レベル九・破壊──


 解放。

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