表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
93/109

大暴れ

 赤い紋様から生命達を迸り、凛界へ転移した。

 怪しい雲に覆われ、ディアと入れ違いになる。

 宙にいるゼウスは肉食獣に食われた様な腹部の負傷に「素晴らしい」と座り込み、御大達はこちらに気付いた。


「ルテイナの反逆者共か…」


「王妃エル様が国家転覆罪に指定している」


 などの声が相次いでいた。

 そして騎士団の無事を確認し終わった所でユダが居ない。

 隣に居たはずだが、耳を澄ますと遠くにいた。


「名前も決めてる、これは運命だ!」


「怖い」


 ユダはルシフェルに両手を広げていた。


「我はルシフェルじゃ。そなたも知っていよう」


「いいや違う。お前の名はルシファーだ!」


「…なんじゃと?」


「光を掲げる尊厳こそルシファーに相応しい」


「何故か、ヌシの名に惹かれる…」


「そうだ! これを運命と言う! お前は悪魔の才能だ!」


「我が…悪魔の才能…」


 一方「澄ました顔を見ていると、八つ裂きにしたくなります」とエルヴィに立ち会っていたシイナ。


「奇遇だ。私も確認してやろうと思っていた」


「ハハ、相変わらず冗談おキツイですね。どうやって?」


「なに、民達のためなら多少の犠牲は致し方ない。お星様となって我々を見守る悪魔も面白いだろう」


「殺されたいんですか?」


「木っ端微塵にされたいか?」


 俺はエルヴィとシイナに立ち入った。


「仲良かったんだな」


「「仲良くない‼︎」」


 言われ、騎士団が集まる。

 事の成り行きを説明した。

 戦う理由はもうないと、そう伝えハイロンの所へ向かう。


「あの激烈な黒魔術界の有志。漢の中の漢よ」


 ワルプルギスの話に鼻を擦るハイロンや「死んで甦った…」と口ずさむユキ君。

 ヴァレンから「楽しそうに女湯覗く過去に壮大な有志があったそうで、知ってましたか?」と俺の所に来た。


「…うん、会頭は凄いよ」


「レナもお元気そうで?」


「ん…んん…」


 ヴァレンの表情が険しかった。

 俺はレリアスの創生者だった事や莉緒の契約者である事情を話していたら「どうよ? これが七次元の実力よ!」とハイライトやフォールオルドの「待てシエラ。ハイライトの顔がたんこぶだらけだ。ハイライトも挑発はよせ」と聞こえる。


「こんなものマッサージみてえなもんだろ、シエラちゃんよう?」


「クソがぁあああああ‼︎」


 大暴れのシエラをフォールオルドが止める。

 片や上空で御大対地獄の喧嘩が勃発した。

 天に顕現する赤い魔法陣が黒い色素へ裏返る頼職柑奈よりもとかんなの技。

 それは魔術の法則を崩しルテイナの反逆者となった彼女の特技、魔法陣の痕跡が消えて、黒い氷柱がウリエルを襲う。


「第一階級の咎人が事もあろうに枷無し、しかもユダ様が居て訳が分からん…」


 ウリエルが負傷を抑えているとステンドグラスが柑奈の攻撃を弾き返す。


「善の尊厳である凛界で狼狽えるな」


「しかし状況が分からん…」


「目の前の事実に考える必要はない、我らに仇成す大罪人など蹴散らせ」


 ステンドグラスがウリエルに掛け合う。

 柑奈は「蹴散らせねーから地獄で管理されてんだよ」と咲う。

 柑奈の手に槍が顕現。その姿に「おい柑奈、あたしらと違って死んだら終わりだ」と梓梛あずな


「…終わればよくね?」


「…あそっか」


 柑奈に納得する梓梛が息を吸い、また彼女もルテイナの反逆者で、音響兵器と呼ばれる射水梓梛いみずあずなの肺活量によってステンドグラスは吹き飛ぶ。

 この攻撃は不安感や恐怖感、失神なりと人体に悪影響を引き起こす。

 めまいに見舞われるステンドグラスは息を飲み、自我を保っていた姿勢は流石の貫禄だが休息に包まれる言葉が柑奈に掛かる。

 「輪廻破棄されてる、私らも死んだら終わり?」とキョトンとしながら北条埜央ほうじょうやおが輪ゴムを咥えた。


「本家に敵う訳ねえ」


 梓梛が応えると気だるそうに居る姥山茉桜うばやままはるが「でも最高神いるよ」とゼウスを見る。

 柑奈は「最高神ってヤバいん?」と紡いだ。


「ここにユダとアレイオンがいんだ、なすり付けちまえ」


琥彩こあ。天才か!」


 万代琥彩ばんだいこあに柑奈が目を輝かせ、御大達が集結する。

 その光景に「僕達も参戦した方がいいと思います」とリオン。


「いや、我々より上の文明だ。それに許可もない、ディア様が居ない今紡がれた命を守ろう」


 エルヴィは騎士団に指揮した。

 これを聞いていたユダは「いい判断だ。今は機嫌が良さそうだがその内ブチギレる」と補足する。


「はい」


「でもよ、全員道ずれにすればよくね?」


 笑顔のユダ。不吉な視線をエルヴィが放っていると天から赤いエネルギーがしだれ花火の様に降り、ユダは全生命に言う。


「喜べ諸君、死に放題だ!」


 天使側の動揺を加速した。それもその筈で輪廻を破棄する事で罪人を粛清する基本の知識、それが逆向きとなり、正常な思考がブレる。


「地獄の戦いはこころの勝負だ。楽しめ諸君」


 これはユダの領域、八次元げんてんの活動領域では干渉不能の権限所持。地獄の王の遊びである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ