表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
92/109

活発な容姿

「あの…」


 静寂の地獄に聞こえて来る。

 レナの姿。

 俺は「おいで」と呼んでレナの状態を診る。

 しわが寄っている眉間に、掌をゆっくり突き出し、青い光に包みながら目と左腕と味覚、片方の肺を蘇生した。

 生命力の安定を確認してると、純白の翼を追い掛ける仕草で「…ナニ…者…なの?」とレナ。


「ふふん」


「ふふん?」


 笑っていたら見知った人達が歩いて来る。

 それはワルプルギスを先頭に「シオン‼︎‼︎」と獣じみた掛け声のハイライトに続いてフォールオルドが口を開けた。


「死に際に送られた事を感謝していました」


「仰々しいよ? いつも通りでいなさい」


「ええ」


「…」


「所でシオン様、俺の贈りものはどうよ?」


「お前はダメだ…」


「どうして!」


「いいか、ミグサは俺の大切な人だ。妹が居なければどうなっていた?」


「ようこそ地獄へ!」


 俺はワルプルギスの額を指で弾き、吹っ飛ばした。

 第一階級の地を覆う亡骸が飛散する。


「…永遠に寄り憑くんなら、付き人になってみるか?」


「「え⁉︎」」


 シイナとワルプルギス、その共鳴に「ワルプルギスは覇者と呼ばれる腐敗の方角よ…正気?」とレナ。


「ああ」


 それはアポフィスの方角であり、死を原動力へ変える実行の象徴と感じる。


「なる!」


 拳を上げるワルプルギス。

 また第一階級でありながら心意気を育む豊かさは、不屈の強靭さからくるもの。

 片やハイライトとフォールオルドの顔が歪んでいた。


「「マジ…」」


 心配ばかりの視線に駆られていたら、ガーっと鳴り出す。

 大地から赤い光と共に出現する地下の入り口だった。


「みんなおいで」


 俺はそう言ってシイナと真っ暗の階段を下りていく。


「危険よ…」


「ああ」


「十人が制する第一階級よ。誰かの罠かもしれないわ」


 レナの言う通り第一階級は十人が制する魔境、しかし気配がないしこの下に招集されているんだと思う。


「ユダが呼んでる」


「「「「王が⁉︎」」」」


 みんなが俺を追う。

 夜気が連なる階段の奥には、第一階級より広い空間がある。

 着いた途端、無数の黒い氷柱つららに襲われた。

 ベールで相殺しながら「柑奈かんなか?」と聞くと赤髪の少女が顕現する。


「アタリー」


「おいアレイオンとシイナやん‼︎ あ? メイミアんと…この、んだっけ? 熾天使の」


 瞬足で現れるお姉さん的外見、梓梛あずなが柑奈にそう尋ねていた。


莉緒りおの契約者でしょ?」


「あー! レナか!」


 肺活量のある梓梛は超音波を司る。

 また超音波は声に比例する持続型で、


「つうかユダ。おいユダ! ユダァアアァアアァアア‼︎」


 酒類の乗る机が粉塵と化し、横の玉座にでーんと寄り掛かっているユダに被災した。


「うるせえよハゲ」


「ハゲてねえから!」


 うん、禿げてはない。

 俺はユダに向かう。


「ありがとう」


「…あぁ。数億年戦い通した感覚だ。報告は」


 アポフィスを倒した、そう続いた。

 何でここまで手こずったかは、ゼウスがアポフィスの尊厳を後押ししていたため、ラーは体力切れで眠ってる。

 メラクはラーの治療に専念している。

 終戦は最近だった。


「どうだい相棒?」


「凄え」


「俺ァ凄えだろ?」


「ああ」


「にっしっし!」


「…」


「絶望したか?」


 読まれた。

 あの日生命の指導者を違反していた事に。

 またロイス、リウスの判決により、ゼウスが手を出せない猶予期間がこの時まで。


「今日まで長寿の実を還元していたんだ。レリアスの創生者として生き様貫いてんだよ」


「ああ…」


「…まあ俺様はよう。相棒と会って地獄の王よ、なァ?」


 ユダの呼び声に顕現する五人。


 頼職柑奈よりもとかんな・裏黒魔術の始祖。

 射水梓梛いみずあずな・光速発声術及び特異体質。

 北条埜央ほうじょうやお・神経腐蝕の死神。

 万代琥彩ばんだいこあ・生贄崇拝。

 姥山茉桜うばやままはる・化学式自在の能力者。


 第一階級の制する羽織を着ている。


「他のもんはレリアスにいる。あとオーディン所のルクレーネの傘下が駆け付けてる」


「俺の知らぬ間に…すまない…」


 ユダは「まあ侵略つうのは一度も経験してねえが、地獄乗っ取りに来る奇人もいねえか。こちとら大歓迎だけれどよ、大犯罪側のテメーらがいちゃこの先も経験しねえだろう。俺はどこまでいっても自慢してえが、ロマンも入っちまう。だから最上の行動で示すつもりだ」と喝采する。

 そう言って名を呼び出した。

 ロロメル、ランチェス、イズ、エルマンド、ヘイデル、ガーネット、アム、デネブ、レジェ、ノウェム。

 その姿が俺を囲う。


「…?」


 ふわふわした心地だった。

 夢なんだと、そう思う。


「輪廻の破棄で苦労したが、リザから魂の痕跡を聞いている。行くべき浄土へ居ねえとなるとバラバラになる所だったが、アムの概念返しがそうさせなかった。ガーネットは聖域の霊を通じみなを相棒へ導いていた。ランチェスは崇拝念術で相棒の生命力を器にし、みなの魂が保たれた。よって五百万を超える魂を蘇生し、漸くレリアスへ還した所だ」


 聞きながら目を閉ざした。

 というか声でダメだ。

 またフォールオルドとハイライトから説明された。

 地獄で強くしてくれたのがこの人達だったんだと。

 ユダが続ける。


「王位側近を全うしていたんだ」


「うん」


「どうするよ? 上の秀才達に死者の蘇生がどうのこうの言われたら?」


「戦う」


「ハッ!」


「ユダ」


「おう」


「超最高」


 ユダの口角が緩む。


「それとラー、メラクから言葉預かってる」


 ──勝て。


 俺は後押しされたように「行ってくる」と地に青い波紋を顕現する。

 王位側近達とレリアスに転移する時だった。


「おいおい」


「ん」


「何のために招集してると思ってる」


 ユダが立ち上がる。

 束の間に赤い紋様が地を覆う。


「全員で行くんだよ」


「は?」


 転移先が凛界へ切り替わってる。

 またみんなが頷いていた。


「現実主義者とロマンチストが足して慣らせば丁度いいだろ、それと」


 体の封印を解いていけと言われる。

 改めて自分を観察してみると、十七歳位だろうか?

 民達によって体が縮んでいるが、特別エネルギーに支障は無く、何なら動きやすいし「気に入ってる。どうよ?」と惚気て見せ付けた。


「親父と呼んでたあいつら見たらゾッとするだろうな…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ