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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
81/109

集結

 抑止の限界、その先にみんなが。

 意志をまとめ、癒し、方角を見出す光。

 それぞれの生命が特色を帯びて輝いている。


 ──帰って来て──


 聴こえる。


 止まれ。変われ。止まれ。


 そう吐き出す時、目が飛び出しそうなみんなが見える。


 ナンダ…この漢…。


 ぶん殴られる感触や支配側の意思が隙を現した。

 俺は支配権を奪い青い太陽に水を打つける。


「…やってくれた」


 視界が真っ白になり、抱えられる感触があった。

 体は麻痺し、微かに暗澹のラムが覗ける。


「あなたのブラックホールを使い降り立てました」


「…神に、認められなかった君へ永久追放だと告げるのは、いつ振りだい?」


 橋が震える。

 その発現地にゆっくり降りると気品な声が通った。


「私の生徒が助けを求めました。ずっと奥にいた流麗の叫びです。私は生徒を守るためならあなたにだって叛く事が出来るのです」


 刹那。

 凛界に冷気が吹き抜け、空間を歪ませる真っ黒の剣。

 拡大し目の前に歪みが発現。

 零距離…。

 そこから振るわれる刃に、疾走する会頭とシエラが剣で押し飛ばしていった。


「頼むぜ兄弟。こんな経験二度もしたら来世ですら酒の摘みに困らねえが。ラムに叛くって異次元みてーに怖えーんだよ…」


「ハッ。頭がいい奴は大変だな。ブラックホールとかホワイトホールとか…そういう教育受けてねえから分かんねえけれど、人柱からプレゼントだメスガキ」


 四肢が感電するかのマグマがラムへ飛び散る。

 黒魔術師たちの魔力を帯びて爆熱が吹き荒れる中に組織の十字架が光っていた。


「やっとだ、修行した成果を見せに来たぜ!」


 体の痺れが回復していく、他の治療に駆け付ける翔と入れ違いで青年が来た。


「君と翔が…」


「はい。僕からお声を掛けました。翔君の治療は凄いでしょ?」


「ああ…」


 青年から翔へ組織の誘いをした話や。


「愛してくれ」


 古参の組員が俺に催促してくる。

 その姿を刺し殺しにいくヴァレン、反射的に壁にされるユキ君。

 そんな光景を見ていると現状が恥ずかしく。


「治ったから…」


 まじまじと観察するとヒビキ先生のお姫様抱っこだった。


「立てるか?」


「…今なら先生といい勝負出来ると思う」


「いや勝てる気がせんが…」


「お礼参りは、する気が失せた」


「ああ」


「良い、先生だった」


「今更か!」


「ケッ!」


 その頃会頭とシエラが帰還する。

 限界と告げられる方を見ると、眼から火を吐きそうな形相が並んだ。


「君らが出揃った所であたしはホーロラルラム。アルタイルを創った主人に楯突こうなんて、笑わせないでおくれ」


「全天使に抹殺を許可する。この大罪人どもを滅し、二度とよみがえらすな」


 ステンドグラスの指令。輪廻を破棄する警告が下る。

 包囲の形が熾天使によって指揮され、強い天使が前に出る。

 先陣を切る御大達に向かうリオン達や治療から復帰する人達の援護が集まる中、ラムの視線は一点だった。


「よりによって黒魔術師に叛かれ、謹慎へ舞い戻るのはごめんだ。手っ取り早いのは君らの王を捕まえる事なんだけれど、加減しないから突っ込んで来たものは殺す」


 その宣言に会頭が言う。


「みな説明した通りだ。俺らの目的は家族を救いに来たのであって応戦するな、死に物狂いで帰るぞ!」


 片やヴァレンの口をシエラは抑え、迫り来る形相に翔が微笑った。


「つうてもシオンは平和主義なんだ、代わりに俺らが喧嘩売ってやるよ」


「遺言かい?」


「俺らを守って戦えるダチが、テメーみてえな独りよがりに負けるはずねえだろバカやろう」


 凛界が激震。

 橋が吹っ飛ぶかと共に白い噴出が翔を襲う。


「よく言った」


 これを漆黒の斬撃が断ち切った。

 発現者は宙に立ち、目に包帯が巻かれ、漆黒の剣を握るミグサだった。

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