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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
78/109

最古の遊び

 あれから意識的な時間が過ぎた。


 ──深海の中で聞こえる──


「君は戦闘の天才の様だ」


 俺は宙を疾走しラムを叩き倒す。

 吹き飛んでいくラムが水を蹴り上げて舞い戻る。

 真っ黒の剣が俺の首を突き刺そうとするが、皮膚で止まる。

 その剣を捕まえラムごと投げ飛ばす。

 その軌道に追い付き三叉槍で突き刺そうとした瞬間。


「ホワイトホール」


 ラムから顕現する白い噴出、それがこの身を突き破り、腹筋や背筋の破裂、喉が裂け出す間に「欲しい」とブラックホールが顕現。

 大人程の黒い球体に吸い込まれていくと「スゴ。こんな奴がいんのか」と、体が青い光となって蘇生と共にラムへ現れる。


「ユダが好きそうだ」


「地獄の王と知り合いなのかい?」


「幼馴染なんだ」


「ふふ。悪いけれど堕天はごめんさ、それと遠回しに振らないでおくれ。あたしは君が好きなんだ、拒絶されている気がして刺し殺してしまいそうになる」


「好きなのにか?」


「それは友達感覚の疑問かい?」


「んん?」


「いいかい、愛とは監獄の様な罪なのさ。それだけ尻尾振っておいて無自覚でしたとは大罪もいい所だ」


「何も、振っていないが?」


 途端に真っ黒の剣が振られる。

 髪を掠め、顎を掠め、頬を掠め、ラムから離れた。

 橋の上に突っ立つと、風が防壁の域に達し。


「何でもいいがロジックは嫌いだ。幾らやったってちょろっとしか変わらねえ。強要するってんなら」


 天に青い太陽が発生した。

 この地に目掛ける同等の大きさ、それらに着目する粛清場から「もう粛清どころの騒ぎでない」と俺を取り囲む御大達。

 また半数は全天使を引き連れて青い太陽の鎮圧へ向かう。

 俺は三叉槍で迎えるが「剣捌きはいいが惜しい、もっと踏み込めていたら今の倍は出せていたぞ」と不満な様子。

 片や前と後ろの連携が続いた。

 後ろは水の壁で防ぎ、突っ込んでくる御大と取っ組み合う。


「そなたの悪行は領域文明全てを敵にする」


「ほう」


「何者じゃ」


「こっちが知りたいが、何で水使ってんのかも分からねえ」


「質問に答えよ! 不届の制裁は神々をッ」


「地面に話してろ」


 腕力で沈め、地を揺らしながら回し蹴りし、足を引っ掛けた後ろの御大を掴み回して飛ばす。

 あっという間に制圧した中「でなんでトライデント持ってんだ俺…」と零れる。

 その隙をとばかりに「時間を‼︎」止めろと聞こえる。

 集団の中、こちらを捉える眼力で「干渉できぬ」とラファエルの口の動きがそう言っていた。

 俺は改めて「時系列系の方角か。一応液体の次元、座標、概念全てを視れるなら止められるが。それって愚かじゃないか」とラファエルに視点がいった。


「愚かだと…」


「なんだ? 遊んでるのに不快か? それでも自害したいってなら、悩み位聞いてやれるが自ら血液止めて楽しいか?」


「…真剣なんだが何を言っている?」


「何って、毎日飲んで食って摂るだろ水分」


 その先は俺を止めると言う事象について説明してる様だった。

 ラファエルが時間を止めるというのはどうやら水を止めると等しいらしく。

 あらゆる生命の本源、その身に流れているけつえきを止めるという行為になるそうで「…ラムよ。直近の報告で何故この御人を公表しなんのだ…」と御大達。


「本物だった。わしらが窺知している領域であのお方の尊厳以外思い付かん」


「…海底の神が直々に、粛清に反対と申されるのか、ポセイドン様…」


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