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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
77/109

目覚め

「ボケって…あたしの事…かい…」


 爆震した余波が過ぎる。

 ひりつく瞳孔にシイナは吹き出していた。


「相変わらず火山みたいな方、ですね」


「流石は先生です!」


 ガクガク震えるオルトロスに鼓舞されていたら玉藻前が俺の後ろに潜めていた。

 なんか、訂正しにくい…。

 紛らわしたくて他に目がいくと、これみよがしにミカエル、ラファエル、ガブリエルが戦線を見渡す。

 ルシフェルの太刀筋が一つ、また一つが青い剣と接触する度隕石かの衝突が迸る。

 ああなるぞと示唆されているかの雰囲気にリオンは感嘆していた。


「みんな。シオン様が専念できるようラム以外から死守だ。ラムはいけない。絶対にだ」


 頼もしい人達が離れていく。

 団結した掛け声がラム以外の者に警戒され、説明が置かれた。

 四つの力の起源で尊厳を呑む最古の天使。

 和魁玖歌の第二位で人格者と崇拝されるらしく。


「君らの尊厳、及び方角はいずれあたしが呑む」


 苦虫を噛み潰した表情で冷気が吹き抜ける。

 聞く間に橋が真っ黒となって体が重たい。

 足は接着剤で固定されたみたいに。


「どうだい、精霊位ろくじげんを三秒で呑むブラックホールですら凛界は丈夫なんだ。とはいえこのままでは体がバラバラになってしまうよ、いいのかい?」


「平…気…」


 動けないし斬り込まれたら躱せないが、この体感から課題策が浮かぶ。

 俺の奔流が重力に慣れていく実感があり、動ける様になるまで何分掛かるか不明。

 それが三叉槍を振れるまでどれくらいかも同上。


「無理じゃね…」


 ──もっと記憶を。


 E=mc²

 確かこれ学校で習った魔術の狙撃的基礎、だっけ…?


 E=hv

 これは魔力指数とかの、違う…。


 何でもいいからもっと。

 頭を使えるからこそ今までに無い何かが降って、くる…。


「あの人は手足を引きちぎってでも連れ戻せって言ってたけれど、バラバラになったらどうなるんだい?」


 喜悦なラム。

 途端に頭が真っ暗になった。

 戦線からこちらに降ってくる悲鳴の集大成。

 その身がこの地に落ちる瞬間が駆け巡る。


「……水」


 そう口に出る。

 周囲から打ち上がる水が何万と落ちる人達を救い見惚れているラム。


「よく出来ました」


 言われ身体が突き動かされる。

 脳の血管が破れた感覚だった。

 それが両橋に流れ出る滝を創生し、ラムを飲み込もうとしていて、百回、真っ黒の剣が水を斬り裂く。

 その光景を咲い淵源えんげんを我がものにしている根底が。


「ハハハ」


 三兆年前。

 王座で薄咲う最盛期の世界が脳裏に奔る。


「本当に君はあたしの想像を遥かに越えてくる。封印が完全になっていたから、そうかい。見たかったよ」


 高揚しているラムに惑星級の水、それを容易く呑んでしまうブラックホールが顕現。

 また真っ黒の剣の断切部分に水がいかない。

 ラムの周りに攻撃が届かない中で水を司る量が倍率していく。

 一万…

 一億…

 一兆…


「俺の尊厳。くれてやろうか」


 視界は浸水していた。


 ──海底みたいだった──


 そんな自我が目覚める。

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