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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
最終章
75/109

秘訣

 人体的な負傷に倒された、その負傷箇所に煙が発生。

 頭のふらつきを押さえて立ち上がるミカエルは理屈不明の治癒によって完治した。

 まるで自然治癒を早めるかの超常力。

 その様子を訝しく「時間」とリオンがラファエルに感知したかの囁きは、終焉が無いかの忌々しさがあった。

 共にガブリエルが復帰し。


 ドク──

  

   ウゥ──


 橋に大剣が刺さる。

 黒と赤が溶け込んだその持ち主を知ってか知らずか、アルト、オルトロス、莉緒、玉藻前、老人から凍てつく気配が醸される。

 片やミカエル、ラファエル、ガブリエルの目に袖の無い白いドレスに純白の翼を映す。

 そこには蒼白するレナを影で覆っていた。


「お前は今幸せか?」


「幸せ…です」


 一言に全身全霊が潰えるレナ。

 いつの間にか莉緒、シイナ、リオンが俺を取り囲っていた。


「強い天使の顔。揃いました」


 シイナが続ける。


「レナの領袖りょうしゅう。和魁玖歌の第一位です」


 その時俺の仲間となる裏切りの罰が下るんだと、肩に掛かる腕がレナを引き寄せていく。

 バンバンと胸を叩く、触る?

 左胸を触っているのだが、心臓という意味が込められてるのか、大爆笑からふんぞり返って「よいよい!」と。


「そうかそうか報われておったか! 良いことよ!」


 こちらに視線が向く。


「レナの上官じゃ、ヌシの話しはうざい位に聞いておるが。なるほど、めちゃくちゃ強そうじゃ!」


 どういう事?

 余計に困惑していると「ラムの謹慎に付き添っていたんじゃが、勝てるか?」と聞こえる。


「奴は最古の天使じゃ。そのままでは死ぬぞ?」


 その質問は薄い記憶を呼ぶ。

 本領を発揮されていなかった、ここに来て確信する。


 だからこそ。


「お互いに未知であれば、その勝機に賭けてきた」


「負けた事は?」


「山程! ある」


 会頭やメイミアに敗北しまくる心当たりがあった。

 今まで必ず先陣切っていたメイミアが、いなくなって現実が変わった。


「それで…」


「よい。意気込みに正解不正解もないのう。我も行ってこようぞ」


 清々しい表情が伺える。


「どういう風の吹き回しだ」


 引き止めるラファエル。

 どうやら忠誠心の薄い御大らしく、粛清に介入していなかった素性を申告し直すと。

 まるで黒魔術界の組織図を洞察していた気分だったが、だるいの一喝にラファエルは絶句した。


「規律は予定みたいなものじゃ」


「だが一人の選択で戦局がカオスになる」


「なに、天使達に不利な行いはせん」


「なら予定とはなんだ?」


「ふん。奇縁を合縁にするべく降臨した!」


 慢心を振り切り倒した笑みで「我ルシフェルが」ぶっ殺すと言って白金髪の青年に飛んで行った。


◇◇◇


 白い地に白い冷気、何処を見ても神聖と感じる粛清場に現れるラム。


「謹慎部屋でシュネーヴィッチェンが大暴れしていたよ、これで戦力が減るってね」


「…」


「にしても神に叛逆してよく長らえたと思うな〜」


「…」


「善の権限ってそんな魅力かい?」


「私は先生みたいになりたくて天使になりました。でも当時エルヴィに言ったら笑われたの」


「難しいからね」


「実績が欲しいだけだろうって、しかもしつこく反対されたあいつが正しかった。もし、ルシフェル様に裁かれる結末じゃなかったらって思って悔しい」


「確かにルシフェルは第一位さ、絶対王者って認知されてるからね。でもメイミアちゃんが産まれるもっと前、あたしらの王者って言ったらあの人なのさ。わくわくしないかい?」


「励ましは無用です」


「…クス。ただの御礼さ。史上の対決をじっくり観戦したかったし、良い事は重なるってね」


「先生、もう行っちゃうの」


「もし交わる未来があれば、最盛期の狂った記憶見せてあげる」


「はい」


「さて、あたしもラスボスに挑もうか」


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