対談
今回で個人行動を慎む結果となった。
理由は会頭や俺の独断。
二人一組の行動が余儀なくされたのは、互いの理性を守るため。
銀の十字架がこの時策定され家族の象徴となる。
俺は個人の象徴はどんなのがいいか質問した。
「好きな形でいいぞ、兄弟の存在が知性を高められる家族を選べ!」
なるほど、悩む。
個人の象徴は自分を示すそうで、互いの理性を守るために築くもの。
あと組む相手は。
「はーとにしよ。うん、意外と難しい。君に渡すからには渾身の仕上がりでなきゃ」
パッと思い付くのはレナだった。
俺の持っていない視野、博識。隣で一生懸命作ってるから。
「レナは俺だ」
会頭が言った。
「なんで?」
眼孔の光が失せるレナ。
「その知恵は俺が役立てる」
「女湯覗くケダモノなんて危ない」
「案ずるな、レナの裸に微塵も興味ない」
びっくりする程に反応し無かったと呟く会頭に矢が降り掛かる。
刺さってるけれどほとんど躱し。
「俺以外畏まっちまう。家族に窮屈な思いさせたくないんだ」
「君は?」
「え」
いつも通りだったから余り考えて無かった。
「いつまで?」
「決まったものから申請する。俺が兄弟と呼ぶ様に決断には各々時間が掛かる。ゆっくりでいい」
笑う会頭。
「私は信じてる」
暗澹のレナ。
どっちの影響を受けるとかは無いものの、気持ちが大切なのかも。
側にいて欲しいとか、楽しいとか、この考えに直面してる時点で沼に嵌ってる。
感情は限りなく出さない方が生きやすいと感じて来たし。
「りんご」
ヴァレンを食堂に連れてった。
果実が欲しそうにしていたからそう言って渡すと「りん…ご」と反復する。
覚えられたかは兎も角、復唱する様子が何だが嬉しい。
飯の後は風呂場に連れてった。
「あらえ」
「洗って」
言いながら考えた。
入浴する度に洗ってじゃなんか変で、
「あらって」
「おう!」
最優先で入浴の仕方を教えた。
日付が変わる。
あれから二人一組の行動が定着していく。
「ねえ‼︎」
レナの催促が部屋に通る。
「申請してるのまだ半分いってないよ」
「君は参謀なの。上が動かなきゃ示しがつかない」
「先輩…」
「分かってるけど相手に失礼っていうか…へ?」
呼ばれた気がした。
向くとヴァレンが頷く。
どうやら俺は先輩へ昇華したらしい。
なんで?
「「渡さない」」
部屋がめちゃくちゃになった。
やたらめったらだった枕を戻しながら「はぁ…」と零れる。
レナなら信頼感があるが、冷めてるというか、生きてく利益の補いというか。
「ねえ…」
「そう…ですね…頭痛薬は一日六時間以上開けて服用は二回までに、お願いします」
「君は誰と組みたい?」
「病気で苦しむ人が少なくなる様に、僕は、同じ医学を志す者が理想です…」
「流石我らの治療術者」
「いえ…えっと頭痛薬に魔力を抑える成分が含まれています。異変があれば服用の中断と直ぐ来て下さい」
今までの臨床で独自に開発した薬らしい。
前々から身体の体質なのか、頭を使うと頭痛が起こる俺は診断室から出ていった。
さて、薬がよく効く内に考える。
気持ちという対談について、全体で見るとこんがらがるから最近にしよう。
となると仕事から、感覚は夢中な感じ。
同時に敵対組織が浮かんできて、なんか暗くなる。
ふとハイライトとシエラっていつも殴り合ってるけど暗くない。
「んー」
何これ。
組む相手のきっかけになるかこれ?
…でも殴り合う。
主観では仲良しに見えるし、周りもいずれ結婚すると囁く位だから視点は似てる。
他に。
「嬉しい…とか」
最近ヴァレンと居る時もこの感じがあった。
もし組んだとしたら。
──楽しい気がする。
楽しいを考えると幸せな気がする。
幸せを考えると連鎖する。
この感覚、やけに疲れるし危険な香りがする。
寝よう。
そう思い目覚めると身体が快適だった。




