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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
六章 過去って
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贈りもの

 震源は緩やかとなり大地に薄れた水辺。


「天使は器が広いんだ。挑発で理性を失うメンタルじゃないもん♪」


「心から反省する。すまなかった…」


 森を飽和領域に導いて「そこまでビビり散らかす、チキンと思わなかった」とその時、分厚い熱風が女の子を仰いだ。


「あたしは今日限りで後任だ、いい上司に恵まれておくれ」


 なだめていたシュネーヴィッチェンは「おい」と念を押す中「ところで少年。魔力の方角には死紋がある。輪廻りんねよみがえり無くして君はどう渡り合う気だい」と、一帯を黒い膜で創造する箱の中に俺を閉じ込めた。

 景色は収縮しており「炎と氷、狭間はざまにいる君の水で一体何が出来るのか」と聞こえる。

 炎が足元を覆い全方位から氷の破片が飛んできて、硬いというものを砕いてしまいそうな、粉砕してる音が体表面から伝わる。

 また「炎は物質の燃焼を受けている。氷はあらゆる有機物を形成させた光の歴史の一片。一体、どこに狭間とうたうか」と光が差す黒い空間がバラバラに砕ける。

 

「心眼は意を理解し視るだ。俺が干渉しているのでは無い、それから娘よ、未だ見ぬ先を軽んじ己を呪うな」


「あたしの幻想が干渉しきれなかった」


 片や「水は生命の源。今一度、言霊に出して伝える。潜在を隠す相手など眠くて敵わん」と魔力が薄まる。


「まるで君はあたしを知っている様に聞こえるよ」


 確かに、今会った敵を知っていたかの言葉や「億の時を刻んだ争いの末、凛界りんかいは誕生した。天使とは八次元げんてんの起源より子供に振り回される方が似合うのか?」と体が元に戻った。


「言ってくれたね少年。お陰で目が覚めたよ。実に百と数十億、本気で闘う土俵に心を入れていなかった。冷静に君の魅力に気が付けたよ。許しておくれ、この失態は宇宙の起源以来の死闘で果たそう、これから上がる血潮すら一等星だ」


 嘘だろ…。


 女の子が燃える腕で虹を描く様に振っていた。

 ──あ奴は天使の軍勢だ。

 頭にそう響く。

 何それ?

 ──お前が入学したての授業でうたた寝のきっかけを作ったのは四つの力だった。

 ん。あーブラックホールとか太陽とかの力みたいなのはギリ覚えてる。

 ──うん、その四つの力の代名詞になったのがあ奴だ。また無いに等しい空間の小競り合いでこの世界、アルタイルを創生した天使にあたる。

 だい、名…ムチャクチャ速えーつうか重いし斬られる!

 ──グラビティー(重力)を司る天使だ、大昔。全天使が死闘を重ねた時代の十人に入る。

 天使って何? うお‼︎

 ──天使とは、陽の進化の果てにあたる。

 じゃあ進化って何‼︎

 ──昨晩まで地球にいた事を思い出せ。お前が勧告かんこくされた学問は、武術さんじげんから八次元げんてんになろうとした進化論の事。しかし基礎無く応用などもってのほか。されど脳には想像という能力を備えている。進化の先は幻想ごじげんとなり開花した者には想像的具現そうぞうてきぐげんを司る、この先にある方角が天使となる。

 じゃ、じゃあこの大先輩は何がしたいの? 興味がある所か執念すら感じる。

 ──お前への好意から怒りへ、血だらけにする決意へ変わった。

 何してくれてんだ‼︎

 ──人生は山も谷もあってこそ人を磨く、例えそれは己の失態で降り掛かろうと、気にするな。

 気にするわ!

 ──しかし軽んじるな。

 …。

 ──この贈りもの(ギフト)はある兄姉からのもの。代わりに俺がここに。

 俺は戦いが嫌いだと知った。

 ──戦いは生命の不可能をも越える可能性を秘めている。あ奴を受け止めてやれ、


 ◆調和とはそういうものだ◆

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