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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
六章 過去って
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理念

 紡がれるは「弱い者には従えない。それにシオン。力のないものは、言うなれば黒魔術界で生まれた者は等しく弱者だ。でなければ後の最強は物取りなんてしていない。ここにいる人柱も全員、前任者から手にした。人柱は知っていても他が納得しない。お前がエルコンドルと戦いエルコンドルがいない様に、誰もわからないだろうよ」と、シエラから避難が続出するが「構わない」と伝える。


「あ?」


「俺は。黒魔術界で生きていた頃と今で変わった。近寄る者は恐れを抱き、向う者は征服すると言われていた様に。それが幸せに繋がると信じてた。でも現実は違った。ヴァレンやユキ君、ハイライトと会い気付けた。結果的に能力という評価が突出していて見るべき対象が埋もれてしまった。だから素直な意見で向き合いたい。相違であれ、意思を掲げて壁が見えるから」


「みな壁はうんざりしてる。生存戦略を大義名分に、利己的な理論を実現してる奴らが幾度を占めてる。元は魔人が治めていた黒魔術界に奇襲し、勝利した白魔術界が発展した歴史は革命として有名だろう。歴史が物語る価値は競争で発展してる。今がその時じゃないのか、シオン!」


「違うんだ。在り続ける居場所が重要だったんだ。力関係なく見つけたい」


「なもん見つけて何になる?」


 それは。


「俺が。弱いから」


 その時、鉄をくだいた音や赤い泡が上がった。

 魔力がまくに閉じ、破裂の勢いで舞い出す。

 俺のふもとにこの泡がき出し、シエラの髪が鎖骨に触れる。

 多分抱き締められていた。

 耳元で「悪魔の奴が来てからというもの、可笑しくなっていくシオンを知っていた。アタシが殺ろうか」と囁いたものだから、状況より頭は一杯で、止めてくれと伝える。


「…アタシはずっと待ち焦がれて」


「シエラ。俺は敗北した、あのままじゃ敵わないって知った。でも気持ちは伝わってる。蹴りはつけるから」


 眼力がゆがみ掛かるシエラ。


「伝わってねえよ。鈍感が」


 赤い地は薄み支配化が収まる。

 シエラはにこやかに「また遊ぼうぜヴァレンちゃん」と笑う。

 ヴァレンが「嫌です」とこちらへ吸い込まれる。

 それは俺を壁にして「抗争の十中八九、何で私ばかりを襲うんです。その度に私トラウマなんです! ただでさえ先輩の象徴で猛者もさばかり、だから象徴を返上して、なのにあなたはどうしていつも私を殺そうとするんですか」との事に「殺してないぜ?」とシエラ。

 ヴァレンは俺のお腹に手を回し、め出した。


「だから私殺そうとしてって言いましたから! 毎回毎回全身骨折にして生かして帰る神経が分かりませんから‼︎」


 オ”エ!


「強くなっただろ?」


「死ぬ死ぬ死ぬ!」


「これより私は酷かったんです」


「知るか離せなんか出るわボケ‼︎」


「鈍感だからそうなんじゃね?」


 聞いていて朦朧もうろうとする中「おいおい」と「身内にやられるたあ、これから敵陣乗り込む姿と思えねえな!」と言われる。

 ハイライトだと思う。

 また「敵の情報は向かいながらでいいかしら」と、ぼやける光景にフィナや配下のひかえる不服な眼圧を浴びている俺は「いいの?」と確かめ「風聞を見せてあげたい。それに気になるでしょう? ここにいる者達も気持ちは一緒よ。左翼の革命家って、私が呼び出したのよ」とフィナ。

 エルコンドルが攻めて来たあの時に木陰で見ていたと、当時は声が掛けにくかったと文句が寄せられた。

 一方「最重要危険人物の最年少って呼び出したの誰だ?」と総勢へ聞くハイライト。

 したら「アタシだ! サシでアタシに勝ったからな、最もアタシにとっては重要で、危険だぞ、外見の人物は最年少だ。って略した」と上機嫌なシエラ。

 ハイライトはアホみたいと喝采してるが、俺は知らなかった。

 四年前とで見えていない視野が広がった様な不思議な希望が湧いたが「貴方はどうする?」とのフィナに「行かせる訳には行かないだろう」とフォールオルド。

 今ならフォールオルドの阻む意味を知れそうで「ここは引き受ける。皆と行って」とフィナは紡ぐ。

 不遇の環境。

 私は人生の桜花の保証を未来で作りたい。

 そのために行ってと。

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