表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
六章 過去って
46/109

誠実性

 思えば実感なかったが、ここの人々とは明らかな異彩を感じ「興味無いよ」と応えたら報告はついでにと紅いものを差し出して「青い装飾をミグサ様に贈りました」との事。

 青い装飾とは玄関に置いてきた俺の象徴シンボルで、ミグサと別れる際に頼んでいた俺は紅いもの(ヴァレンの象徴)を手に「これがシイナの言う因果バランスの異常で、これを見越し魔王と会わせ魔力を取り戻させたのか?」と聞いていた

 それはシイナとの出会いを遡っても名乗った覚えがなければ、本人も消滅すると必死だったし戦闘能力については未知数。

 黒魔術界に潜入し俺の情報を得て、アルタイルの戦力として魔力の回復が目的かと思う反面、本に封印されていた辻褄が合わない。

 行動範囲が不明で黒魔術界に潜入していない方がしっくりくるのに何で第九譜幻空間ノウェムベールを知っていたのか。

 しかし「魔力の補助は幾つかの方法で可能です、これは見越すに値しない結末です。ただ」と、シイナは「復帰した意識で、メイミア様と不仲にしていた事情は困惑しました」と、「僕の低下が原因だと、二種の能力に…いえ。気付けなかったと後悔しました」と応え、俺は「後悔させる程、知ってるって事か…」と眩む頭を抱える。

 青い魔力が湧いてくる実感や「それを僕が言うのは烏滸がましく、最も僕が元凶です。ですから此れから迎える御自身を蔑ろにしては悲しみます」と聞こえ頭にこう浮かぶ。


 ──不明。


 求める意味は喪失し、身勝手に湧き出す黒い魔力が、淀みの光景に変貌する。


「意味が分からない…お前は何をしようとして俺の所に来たんだ」


「分からなくていいんです、こうして会えたのがただ嬉しかったから」


 俺はその応えに過去を巡らせ「だから会頭もメイミアもシイナも言ってる事メチャクチャだよ」と気が狂う。

 片や「環境を変え、善から遠ざけたい、僕の意思は以前の様にあって欲しい。そんな満身創痍なあなたを」と聞けば再び。


 ──不明。


 俺は海に沈む。

 底に着き、光輝な紋様が鎖のように全身を刻み出す。


 そうか。


 目に幾何学紋様が刻まれた、力が宿る感覚で宵闇が写る。

 どうやら俺はずっと魔力に飲まれていたらしい。


 そんな現実に絶望した。


 居場所は見つからず、何をしようとも、叶いやしない結果を直視した様に。


 でも象徴がミグサに渡り、翔は魔力を扱えるまでに至った。


 そしてレナにできなかった事を教わってくれて。


 救われた。


 そして自我がなくなっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ