探した方がいい
ミグサは「メイミア」と続けており、巨人は屈んでいた。
メイミアは「かっわいい…」と巨人に夢中で「もう一度言っていい…」とのミグサに払わないよと言う光景があった。
「そんな…こんなのに、またなのかよ」
ミグサは巨人へ踏み込み、メイミアが「よかったね」と手に光を灯し巨人に触れる間際「俺はこんな得体の知れない生物嫌いだ…いや…面白いかもしれない…けどこんな事ヒビキ先生以外に相談できる人が居ない」と前髪から雫が落ちていった。
◇◇◇
俺はその光景に思う。
ミグサと同じ組、行事なども同じ輪、身体能力値的に相性がいいらしく魔術師と合同で行われる治安貢献の際、困ってる人を率先して駆け付けたり、生徒を窮地に追い込む罪人に気性が荒かった時があったそう。
聞いた話では何処か魔術の対峙と掛け離れ、生徒教師総出に止められたりと、でも普段は穏やかで、組の中では兄の様な存在だし、頼るのは辛そう。
しかし「私はシオンに憑く悪魔であって、面白くないよッ?」とのメイミアから離れていく巨人。
「追わ……?」
そう言って駆け出すメイミアをミグサが引き留め、巨人は、暗い木々に消えていった。
同時にミグサの足元から魔力が湧き出し、ミグサに還る。
「体が治っていく。スゲェ…」
そんな漲りの声に「これって、幻想の代物じゃ」と呟いていたメイミアの声を聴いていたか分からないが「メイミアが居てくれて本当助かった。シオンも、ありがとな!」と言われ、俺は「連れ回されただけ、だけど、元気になって良かった…ね?」と聞いた。
「おう!」
これでいいらしい。
本人がそう言ってるんだし、元気ならそれでいいんだと思うが。
◆本当に?◆
不意に囚われた俺は巨人について質問する、はずが「あの子ってどうやってミグサの所に居たの?」とメイミアに先越された。
「ああそれが、ことの始まりは近所の神社でお詣りしてたんだ」
輝いていた表情は少し暗く、俺は「神社って鳥居があって神様が祀られてるっていう、かむやしろ?」と聞き込んだ。
「よく知ってるな、アルタイルじゃ珍しいと思うんだが?」
「…ん。本で知った」
「そか、凄い本だな! でさ、俺の元世界だと神社でお祭りがあるんだ」
うろ覚えの知識が合っていたようで、今まで聞いた謎の話しもこんな風に話せると思い「お祭り。血祭り的な?」とミグサに食い込む。すると〝えぇ…〟みたいな眼差しから静まり返ってつらい。
「血って…。おだよお。屋台が並んでいて、りんご飴とか綿飴っていうお菓子が売ってたり。射的とか輪投げっていう景品を狙ったりする娯楽」
ん。
「わた…あめ。しゃ…てき? ごめん言ってる事が所々分からないけど、本当に転生者だったりして?」
「おうよ! 一から語ってやろうか?」
勢いで頷きたくなる様な、覚えてる様な。曖昧でいる頃にはメイミアの咳払いが響いた。
「んで、アルタイルにも在ったんだよ。ポツンと。だからさ、これも何かの縁だって思ったわけよ」
不貞腐れたミグサに「そこで何があったの?」と眼力で誘導するメイミア。
「そう神社でさ、いつも通りお詣りしていたら本があって。ここに来る人は俺ぐらいのはずだから、変だなと。で、開くと真っ白なんだ。奇妙だった…」
そう言って躊躇いの表情が向けられる俺は「奇妙だし憑かれた関係が分からない」と応えてみる。
ミグサは重そうな口で。
「本は、見開いても書かれていなかった。ただ閉じた瞬間に魔力を根こそぎ持っていかれた代わりに現れたんだ…女神様に送られた時と似てたが。ま関係ないか。何かアイツと魔力で繋がってるみたいで取り憑かれたっていう変な出来事だった!」
やや投げやりにまとめるミグサ。
そんな印象を持った俺は「魔力で繋がる…じゃ今は繋がってないんだ」と聞く。
「解けた感じはした。詳しいことは分からない」
「じゃ先生なら知ってるかな」
「……そうだよ。相談以前に倒れてたから焦ったんだ。一体何があったらあの先生が倒れるんだ…」
唐突に「ある意味じゃ俺より酷かったな。俺が消化してなきゃ今頃火の海だ…」と火が付くミグサ。
「…。」
「誰かの仕業だと思うんだ、あんな悪辣非道を……。」
「すまん」
「ん?」
謝る俺や「本は持ってるの?」とミグサに詰め寄るメイミア。
動揺して「まさか…置いてきたに決まってる」との応えに「探した方がいい」と続いた。
「…。冗談だろ…」
メイミアの後ろ姿を伺い、薄ら寒そうなミグサへ「あの位の歳だと簡単に消える」と、忠告の様な言葉や。
瞬きするとメイミアの姿がなく、白い羽根が地に落ちていた。