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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
五章 残されたもの
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シュネーヴィッチェン

 芝生の広がる地に建物があり、剥き出しの常闇が扉の跡に見える。

 一帯の木々が揺れて、風が俺らを押し返してる印象や「全く風景と似合わないんだが、マジで入んの?」と片足を引く翔。

 それぞれが横に並ぶ形で「本当にあった」と零れていたら「シオンさんは初めてよね。実はこの病院、曰く付きなんだよ知ってる?」と聞かれ「いえ」と応えれば「俺が初耳だ!」と翔。

 どうやらここは病人を歩かせる鬼と称され、道中で息絶える者が多かった病院、医院長は患者に首を締められ亡くなったそう。

 病院へ入ると懐中電灯が照らす風通しの悪い廊下を進んでいた。

 医務室という札がぶら下がっており、他の札は読めず階段を上る。

 ここは横長の椅子が設置してあり「一階は調査済んでるから二階。異変あったら撮ってきてね!」と聞こえるが「きてね? 皆で来たんだから仲良く回ろう?」との声に「シオンさんが居るじゃない?」と続く。


「じゃシオンと何したらいいんだよ!」


「そうね、手術室と霊安室があるらしいから探して。多分三階にあるんだろうけど動くのは二階までね!」


 そう言って扉を開ける錆びた鉄が擦れていきガチっと閉まり「何がいいんだこの活動…なあ俺らは適当に居よう?」との掛け声から「おい…どこだ…」と耳に入る俺はお手洗いの目印に向かい「お化けが出たら呼んで」と急ぎめに伝えた。


「出たら手遅れじゃね?」


 水滴が聴こえる廊下。薄い光を頼りに走っていった。


◇◇◇


 お手洗いを済ませ奇声が届く。

 駆け付けると「よう、女の子がいた…」そうで後からもう一人が降って現れるなり俺と同じ方向に進んで行ったと知る。


「こわ…」


「だよな」


「うん」


「あのブス連れて帰るぞ」


 翔が走って錆びた扉を豪快に開けると「誰がブスよ‼︎ でっかい悲鳴ばかり上げて! ちゃんと写したんでしょうね?」とスマートフォン片手の部長に「ロクな所じゃねえのは充分に分かったぞ、撮影する必要もないくらいにな…。」と階段に引きずられる翔。

 俺は果敢に上る部長に付いて「部長。幽霊っているの?」と深掘れば「いるっていう声が続出している場所って事だけ…」と切羽詰まった応え。

 また「きっと幽霊も、見たいと思ってる人に現れやしないよね。自然のままに探検すれば出て来てくれるのかな」と駆け上がる部長は懐中電灯を一振りし、消す。

 真っ暗の視界に「だったら俺と居ればいいだろ、そういうの惹きつける体質だし先刻さっき見たし…シオンは幽霊に屈しないだろう、ここに居て貰え。その方が出て来やすいだろうし」との提案に「こんなブスと一緒に居たく、無いでしょ」と続ける部長は「二人の方がお似合いだし、どんなに頑張ってもそんな綺麗な人にはなれないよ」と。


「よく分かんねえけど、お前の容姿は可愛いと…思う」


「嘘付かないで」


「付いてねえよ」


「…本当に? 可愛いって…私と行っても後悔しない?」


「言ってる意味全然…分かんねえけど、俺は今まで容姿がブスなんて思ってねえ。性格がブスなんだ」


 ビンタが二度響いた。

 俺は待つ事にして「いってらっしゃい」と送っていたら「「アアアアアアアアアアアアアアアアアア」」と発狂され、抱きついてる二人にどうしたのと尋ねるが「…うひろ…白いおんにゃ…」や「シオんふん……ひげて」と呂律が回っていない。

 ふとここから最も奥に映る高い札に、霊安室とあり、二人の姿が分かるというのは後ろから照らされている?

 俺は咄嗟に振り返るが明る過ぎて視覚が馴染まない。

 ただ顔面が襲われる感覚で、脊髄がバキっと鳴り、後頭部が床を突き破って、けして聴いてはならない音が頭中を駆け巡り「やっと見つけましたよシオン様」と、してもいないブリッジから這い上がる俺は鼻にくっ付くかの少女に拳を振る。

 だが掌で返され「吸収しましたよ」と手首を握られる俺は「平手打ちしなければ吸収する必要ないだろ」と血管が千切れ「ありますし病院でリア充なんていいご身分ですよ…」との言われに取っ組み合う。「魔力ですか…でも僕はあっ! ベールは無しで髪は辞めて‼︎」とその後の襲撃も学習済みの中「あの…その人は?」と部長に伺われ我に返った俺の手首を握って、品性ある愛嬌に変わり「初めまして、私はシイナ。シオン様とは海よりも深々とした関係。よしなに」と片足を後ろに引き膝を曲げた。

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