精霊になれましたシイナです
また体に摩られ『これ以上憑かれてたまるか』と掴んだら「困ります」とビクつかれ、俺の中から出て来た事を聞くと縦にふりふりされ悪寒がする。
そんなわけ。ないけど目を瞑り、汗が吹き出すし「はい」と聞こえた。
「お”え」
その様に催して背中をなでなでされながら、既に、なんで憑依されたか絶望中の頭に響く。
「傷付きます」
「なんかゴメン…でも」
その時「分かってくれたのですね!」と前に来て、すっ飛んでくる黒光りの生物を躱す俺は、壁に激突する光景へ続ける。
「体に入れるのは悪寒がする」
「は?」
反感が聞こえるが、また催しそうになるし「いえ…見た目が恐ろしいのでお断りします」と、諦めてもらうために俺は何をして…。
「恐ろしいって。仰いまして?」
「うん」
「え嘘本当に…僕が…もう! 照れますよ!」
更に増し意味不明と、言い掛ける時。
つぅーと。
不自然な風に硬直した。
誰?
しかし探っても人はいない。
片やぴょこんと跳ねるその、頭上の空気に触れて、水面の様に揺らす黒光りの生物が地に落ちて液体となった。
揺れる空気から煙が焚いていくと影が見えてくる。
「如何です、如何ですか⁉︎」
下方を仰ぐ風で足首が映る、煙が薄まると袖を折った小麦色の服にくるぶし丈のスカートを着る、黒髪の紅い碧眼の少女が告げている事に。
「ッ⁉︎」
「やけに凝ってますね、興醒めしました」
少女は手を振い空気を揺らす、煙が充満しあの生物に戻っていた節目に「ふう」と繋げて喋る。
「大袈裟に褒めても僕は…あの、何を驚いて?」
顔前でぴょんと跳ねる。
俺は何がしたいか質問した。
「ですから戻りたいんですってば!」
言われ壁へぶつかっていた衝撃が地面を震った。
俺は混乱して「分かったから」と言い聞かす。
周囲の災害や空気を震わす過去に歯止めをかけられる内に。
「痛いんですが、やっと理解してくれましたか!」
「…。え、うん名前は精霊何だっけ?」
「その、精霊は名前でなく。いえ、伝われれば結構です」
「うん(さっぱりわからん)……名前って?」
「ええ、名は。シイナと呼んで頂ければ?」
「シイナ……何で俺の中にいたの?」
「契約を交わしたから、です。異界の書に書いてなかったですか?」
──全然見てねえ。
「あ、あははは! 見て、なかった。ゴメン…もう一度。分かりやすい説明でお願い!」
「…異界の書と契約され、封じられていた僕が解放されました」
「…。生まれたんじゃなく封印されてたの?」
小難しいが不思議とそこは気になった。
「生まれましたし封印されてましたが、精霊として…‼︎」
上擦るシイナ。
もぞもぞと、俺を軸に回り「で、ですよ? シオン様とは仮契約ですから、そろそろ戻らせて頂かないと消滅してしまいます!」と服を掴まれるが予期はしていた。
「嫌。覚悟の種類が違うっていうか、体に入れるのは。でも消滅されるのは気が引けるからあ…」
代案がないかの相談直前手先を弾かれた隙に体へ入られた。
「おい出てこい‼︎」
………出て来いと申されても、仮契約中で上手く馴染めていないのです。意識もじき無くなります。またの機会に………
「機会っていつだよ返事してくれよ!」
シイナの反応がない。