予示
人差し指で頬を触るロキは上着の裾を引っ張る。斜めに正座し映してるものは意外と顔に書いてある。
「急に困りますよね。弟と接点が少ない、ほぼ無いとか」
「いえ。弟さんと同じ声でした」
「あぁ。翔くんと優斗くん、最近弟と仲良くしてくれてるみたいで」
聞いてるとフィリップが眠いと膝に乗る。
「ああ。寝てきたら」
言ってもフィリップはほーんと見つめてくる。
ロキは「ガラガラ?」と零すと「うん」との事で何それ?と思うと「寝かし付けるおもちゃ。ほら回して鳴らす、ボールが沢山ついてて」と聞いて「赤ちゃんのやつ?」と愚冴。「うん」とロキ。フィリップにいつもどう寝てるのか尋ねた。
「お姉さんがからんからんしてくれた。これからは愚冴やって」
「は?」
フィリップとの会話に「優しい男雛様」と口を手で隠すロキ。
その頃。本堂での面会から別の場所に赤い波紋が地を光らせていた。
第一階級と呼ばれる地獄に、警戒かの生き物は何度も吠えており、突如人が現れた。
名をユダ。
んん〜と息づかう声で何で犬っころがいんだ?と近づく。
「ワンワンッ!」
腰を下ろしはにかむ。第一階級に犬がいるとは、無縁の環境にユダは前足を膝に置かれ、フッと笑う。
「病院行くか」
背中の所に怪我をしてる様だが、うるるぅ。との鳴き声。ユダは自然に治るかと手を振る。地下につながる階段を降りて、王の椅子へ座った。
瓶の蓋を飛ばし口へ運ぶと熱を帯びるかの喉ごしがジュースみたいに通って空っぽ、赤くなった顔で下を向くと足元に身を委ね出す犬。ユダの後を付いてきたらしく。
「変わった犬だ」
「ワン!」
「名前」
「ワン?」
「ケルベロスってのはどうだ!」
ひらめて伝えるとしっぽをふる犬。自覚した様に吠えていた。
手を差し伸べるとケルベロスの体は赤い光に包まれていき、真っ白の毛並みを赤く灯し、愛嬌が浮かぶ。
走り回ると身体能力の活性が顕著に現れ、曲がり方は俊敏、新しい瓶を開けるユダは元気な光景をつまみに飲み干せば、次へ次へ空き瓶が増えていった。
そろそろ集めるか。
第一階級の十名を思い出す。
一般的に魔境とされるはピラミッド上の頂点。
天文学的な時間の末に形成されたヒエラルキーは第一階級を制する十名とされ、この十名は増えも減りもしない。
新たに降り立てば、真の戦いが火蓋を切る。
ただ一つ、六つの墓石のありかを除いて。
そちらを選ぶのはまあないが、いいセンスしてるなあとメイミアを思う。
それにアポフィスを討ち取った後にあれは参った。
ラプラス。
話見上げにドッグフードあるか聞いてみるか。
「ワン!」
そうした各場所で変化は刻々と起こっていくのだった。




