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ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
アグノスワールド
109/109

予示

 人差し指で頬を触るロキは上着の裾を引っ張る。斜めに正座し映してるものは意外と顔に書いてある。


「急に困りますよね。弟と接点が少ない、ほぼ無いとか」


「いえ。弟さんと同じ声でした」


「あぁ。翔くんと優斗くん、最近弟と仲良くしてくれてるみたいで」


 聞いてるとフィリップが眠いと膝に乗る。


「ああ。寝てきたら」


 言ってもフィリップはほーんと見つめてくる。

 ロキは「ガラガラ?」と零すと「うん」との事で何それ?と思うと「寝かし付けるおもちゃ。ほら回して鳴らす、ボールが沢山ついてて」と聞いて「赤ちゃんのやつ?」と愚冴。「うん」とロキ。フィリップにいつもどう寝てるのか尋ねた。


「お姉さんがからんからんしてくれた。これからは愚冴やって」


「は?」


 フィリップとの会話に「優しい男雛様」と口を手で隠すロキ。

 その頃。本堂での面会から別の場所に赤い波紋が地を光らせていた。

 第一階級と呼ばれる地獄に、警戒かの生き物は何度も吠えており、突如人が現れた。

 名をユダ。

 んん〜と息づかう声で何で犬っころがいんだ?と近づく。


「ワンワンッ!」


 腰を下ろしはにかむ。第一階級に犬がいるとは、無縁の環境にユダは前足を膝に置かれ、フッと笑う。


「病院行くか」


 背中の所に怪我をしてる様だが、うるるぅ。との鳴き声。ユダは自然に治るかと手を振る。地下につながる階段を降りて、王の椅子へ座った。

 瓶の蓋を飛ばし口へ運ぶと熱を帯びるかの喉ごしがジュースみたいに通って空っぽ、赤くなった顔で下を向くと足元に身を委ね出す犬。ユダの後を付いてきたらしく。


「変わった犬だ」


「ワン!」


「名前」


「ワン?」


「ケルベロスってのはどうだ!」


 ひらめて伝えるとしっぽをふる犬。自覚した様に吠えていた。

 手を差し伸べるとケルベロスの体は赤い光に包まれていき、真っ白の毛並みを赤く灯し、愛嬌が浮かぶ。

 走り回ると身体能力の活性が顕著に現れ、曲がり方は俊敏、新しい瓶を開けるユダは元気な光景をつまみに飲み干せば、次へ次へ空き瓶が増えていった。

 そろそろ集めるか。

 第一階級の十名を思い出す。

 一般的に魔境とされるはピラミッド上の頂点。

 天文学的な時間の末に形成されたヒエラルキーは第一階級を制する十名とされ、この十名は増えも減りもしない。

 新たに降り立てば、真の戦いが火蓋を切る。

 ただ一つ、六つの墓石のありかを除いて。

 そちらを選ぶのはまあないが、いいセンスしてるなあとメイミアを思う。

 それにアポフィスを討ち取った後にあれは参った。

 ラプラス。

 話見上げにドッグフードあるか聞いてみるか。


「ワン!」


 そうした各場所で変化は刻々と起こっていくのだった。

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