表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある追憶の戦術使い  作者: 神崎蒼葉
アグノスワールド
107/109

新約

 本堂に愚冴ぐさと呼ばれ、攻撃が止む。向くとワルプルギスが映りシグラがお許し下さいと続いた。


「私の弱さが若の戦死となりました」


 天井からもくずが落ちる。「そうか」との声に「兄上を迎える戦力を損なった責任は私に」と報告を締め、愚冴に惹きつけられる一紋いちもんから和みを醸し、戦死についての辛抱やこうして人を結ぶ最期の時を。


「そういう妹たちを率いて兄姉となるか?」


 シヴァは更に「四代目歓喜天を活かすも殺すも権利を持っているのは愚冴よ。じいちゃんをどう思った?」と紡ぐ。


「じいちゃんは、世話係として聞いていた。もし本当の事を知っていたら、それ以外にない」


「ここにいる兄姉を含め歓喜天は若と呼ばれていた。愚冴と同じ呼び名だ。みんなが愛した若を、どうしたい?」


「そんな難しい話をされても分からない」


「いい。俺もそうだった。だがいつか思い出してくれるとありがたい。シグラを率いてはくれぬか?」


「よしてくれ、アンタを倒すためなら一番にだってなると何度も」


「…ああ」


 シヴァは微笑む。

 それは私たちの兄上となる、そう思っていいのかそわそわするシグラが思わず兄上と零すと「ああ!」との愚冴や「よくぞ来てくれたワルプルギスさんよ」とシヴァ。また「みんなもご苦労。ひ孫やシグラの帰還から送って下さった歓迎の準備は」との事に「出来てる」とラプラス。本堂の入り口でラプラスの姿からヴァイシュラヴァナ。その後ろからダダっと走ってくるフィリップとラスカリナとブラバンは大きなお皿を持ってご馳走が乗っていた。

 一紋達は幻想を仰ぎ本堂の修復を行う。元通りとなった中央にテーブルが創生され、ご馳走が用意。

 シヴァとラプラスが対面するテーブルに一紋達はワルプルギスを招き、全員が座った。

 またユダからの酒をシヴァは受け取り、少し耽る。シヴァはみんなに酒を注ぐと「では家族たち。よく来てくれた。こうしてみんなの顔を見られて、ひ孫を迎えられ、我々の願いへまた一歩近づいた。歓喜天への乾杯を。頂こう」と、空っぽの一升瓶を置くテーブル、大きいお皿の底が現れるとラプラスは食堂の内装が整備されていたその部屋で一杯の料理を準備しており、にひひと笑う。

 そんな酔いの光景は一升瓶を片手にアマテラスがふらっと立つ。


「くざぁ〜汗くさいって〜」


 だる絡みである。着物がよれ麗らかな肌、絵に描いたような酔っ払いの格好が歩んでくる。


「そうか? 悪い」


 愚冴は嗅いでみるがよく分からず、ブラバンが困った様に訂正した。


「お兄様。お姉さんは酔いが回るとあざとくなります」


「あざ?」


「つまりお姉さんはお兄様のお背中を流したいのです。そこで」


「うるさい!」


「はい」


 アマテラスはブラバンを静め、床に座る。愚冴の顔を両手で抑え「ねえ叔父貴元気だった?」と唇が近づく。


「誰のこ、喋りにくい!」


「ユダ」


 知ってはいる。ただ話した事はない。


「笑顔な印象」


「へえ〜」


 ぐかぁーと横になるアマテラス。ツクヨミが引き取りに来た。酔いに酔いを重ねる足取りで「許してあげて。こうでもしないと喋れなかったのよ。普段は控えてるのにガバガバ飲んでたのは、ね」と続く。「男雛様」と本堂を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ