未来の私へ
未来の私へ
自分へ送る最初で最後の手紙。何を書けばいいのだろうか、今の悩みも未来においては全て過去のことであり、当時を思い返す材料にしかならないだろう。それでも、私は未来の自分に問いたい。
「生きていますか?」
たった一言に込められた想いを多くのひとは知らない。多くのひとにとっては、他人の悩みなど話のタネにすらな関係のない話だろう。だから、私は未来へ問う。
「生きていますか?」
自殺志願者の私が自殺志願者だった未来の私へ送る最初で最後の手紙。
今は幸せですか、就職できましたか、結婚はしましたか、後悔していませんか。
聴きたいことは山ほどあるけど、今答えを知るのは卑怯だ。だから、現在の私は未来の私にこれだけ聞こう。
「生きていますか?」
私は今が苦しい、死にたいほど苦しい。そんな私が未来で生きているのなら、それは幸せになれたからだろう。自分を愛してくれるひとを見つけられたのだろう。
記憶が消えていく私の悩みなぞ、未来の私が覚えているわけがないから、無責任に未来の私に呪いをかける。
「よかったね、幸せになれて。多くのひとを傷つけて、その罪を償うこともせずに幸せになったなら、あなたは悪魔だ」
現在の私が未来の私に送る最初で最後の手紙。内容はもう忘れた。いつか手紙を書いたことさえも忘れるのだろう。その時に、過去の自分からの手紙を読んで思い出せばいい。己の罪を、後悔を。そして、己自身も思い出してほしい。バカみたいな話だけど、私は私でしかないのだ。他の誰でもないんだ。そのことさえ忘れていきそうだから、書いておきます。
『忘れないでとは言わない。思い出せとも言わない。ただ今のあなたが生きていけるのは、多くの人に助けられたからであり、あなたは平凡な人間でしかない。だから、感謝を忘れるな。多くのものを失ったけど、大切なものを忘れたなら、無理に進まなくていい。思う存分、泣けばいい。それができているのなら、あなたはまだ人間だ。人間になれたんだ。おめでとう。
過去の私より 」
未来の私は生きているかなんてわからない。だからこそ、私は言いたい。
生きているだけ、ほめてくれと。