作者の! 書けなくなったらどうするの?コーナー
俺と! くろの! 他の作品にすがって生きて行こうのコーナーが・・今回はお休みです。代わって作者たる私の思ったことをだべりたいと思います。
続きが書けなくなる時がある。別にあらすじが思いつかない訳ではない。プロットだってカッチリと決まっている。書けなくなるまでは順調に文章を綴ってきたのだ。
でも書けなくなる。もう一度言うけど何を書けばいいか判らなくなったり思いつかなくなった訳ではない。無理やり書き進めれば多分あらすじに沿った文章を書けると思う。
でも書けない。何故か?
怖いのだ。自分があまりにもその物語にのめり込んでしまい、自分の書いた物語の読者になったため、期待が膨らみ過ぎて今まで書いた事を台無しにしてしまいそうで続きが書けなくなるのだ。
果たして自分はこのクオリティーを維持して更なる物語を綴れるのか。平凡な決着でお茶を濁そうとしてしまわぬか。それは物語としてどうなのか・・。
一旦、頭に湧いた疑問はどんどん大きくなる。答えなどない。書かねば物語は終わらないのだと思いつつも怖い。書き終えてから添削すればよいとも思うが、根がずぼらだからそれはしたくない。
私はまるで出来の悪い彫刻家だ。石を削って作品を掘り出している。でも削り過ぎたら取り返しが付かない。だから荒削りまでしか作業ができない。ここを数ミリ削れば作品が輝きだすというところで怖くてノミを打ち込めないのだ。
本物の方々は躊躇なく削り込んでゆくのだろう。でも失敗する事だってあるはずだ。しかし、彼らは気にしない。失敗したらやり直せばよいと思っている。作品をぞんざいに扱っている訳ではない。魂を込めて掘っているはずだ。しかし、失敗を恐れない。ここが私との差だろう。
彼らは宝石を掘り出しているのではない。宝石を作っているのだ。彼らの前にある石はただの石でしかない。それを彼らは宝石に変えるのだ。宝石は磨かなくては輝かない。でも私は磨くことを躊躇う。何故なら失敗した時に失うものが大き過ぎるから・・。もう一度同じ物を削りだす技量がないから・・。
さて、そんな迷宮にはまり込んだ時は、自分にとってのお気に入り作品を読み返すのが効果的である。但しこれは諸刃の剣で読者として楽しめばモチベーションも上がるのだが、作家として読むと叩きのめされる場合がある。
だから絶対、いち読者として読まなくてはならない。そうすれば、容量の少ない私の頭は先程までのぐだぐだな不安で満杯だった記憶領域をいとも簡単に明け渡す。もう頭の中はかっこいい主人公の冒険譚一色だ。やがて読み終わった時には、私もこんな物語を創作してみたいという想いが溢れ出てくる。
そう、何と言っても単純なのだ。想いさえ忘れなければいいのである。
でも、何故か忘れちゃうんですよね。ほら、世の中って世知辛いですから。
-お後がよろしいようで。-




