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ヤコクノカミ

 気がついたらどこかの神殿にいた。

「うっ、ここは……」

 あたりを見渡すと一人の人間がいた。

「おめでとうございます。あなたはこの世界の神に選ばれました。」

「えっ……」

 いきなり何を言っているんだ?

「驚くことも無理はありません。あなたは強固な執念によって生き返って神になったのです。」

 別にこのことについてパニックにはなっていない。冷静に話していこうを決めた。

「そういえば、俺のことを神とか言っていたな。どういう意味だ?」

 すると、目の前の人がひざまついて

「あなたは我々の髪になったのです。私の名前はコルミアと申します。」

 ふむ、よく見るとコルミアって清潔に短く切られた金色の髪にシュールな輪郭、紳士らしい細い目をしていて、イケメンだ。

「それで、あなたの名前は?」

「俺の名前は夜神幸……」

「その名前ではなく、神としての名前を……」

 神の名前?そうだな、髪といえば俺の性の夜神から……夜神……いや、それだとしっくりこないな。ちょっといじって

「夜刻丿神」

「……はい?」

「俺の名前は夜刻丿神だ!」

「かしこまりました。夜刻丿神様、今後よろしくお願いします。」

「ああ、よろしく。」


 それからの生活はとにかく楽しかった。

 どうやら俺は本当に神になったらしい。神殿の近くの町に行くと、みんなから羨まれる。魔法も全て使えるようになっていた。俺はこのような生活が再びくることを望んでいた。そして、再び戻ってきた。この生活をもう二度と失いたくない。この世界はとても好きだ。


 しかし、一ヶ月後

「神様、失礼します。」

 コルミアが部屋に入ってきた。何の話だろう?

「コルミア、どうした?」

「先程、異世界から誰か入ってきたようです。報告はありました。」

 異世界からの人、よそからの人……転校生……その時、昔の記憶が戻ってきた。


 その時、胸に激しい痛みが通った。それと同時に温かい液体が周りに広がっている感触がある。視界は 段々暗く霞んでいき、耳が遠くなっていく。

「おいおい、もうこんなとこで終わりか。

「まだまだ遊び足りねぇんだよ。」

 二人が俺を蹴っているのは分かる。しかし、その痛みを感じなくなっていた。

    ああ、俺は死ぬんだな

 泣くようなことはなかった。俺の中にあるのは激しい憎悪。

    ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、

    ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、

    ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、

 俺は消えて逝きながらあること感じていた。


 この世界なんて、この世界なんてなんて残酷なのだろう。


「ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

「神様、どうかしましたか?」

 転校生、ここに来ても俺を邪魔するつもりなのか?いいだろう、相手になってやる。

「そいつは今、ここにいるのか?」

「その者は現在、ガブカミの村にいます。」

 どうやってきたのか?気になるところがあるが、今はこの状況をどうにかしなければ。

「逃げたりとかはできるのか?」

「はい、どうやら異世界での能力によってこの世界に来たようです。つまりは、帰る可能性もあります。早急に対処しないとこの世界の消失の危険性があります。」

「よし、まずはこの世界と他との接続をシャットダウンする。」

「えっ……」

 まずは退路を断ってから、じっくりと殺す。

「どうした、何か異論でも?」

「いえ、何もありません。」

「消失の危険性についてはお前が考えろ。」

 そう言って俺は神殿の地下に行く。やることは一つ。接続のシャットダウンだ。

 まずは魔法陣を書く。俺は手首を切って血を出した。痛い、しかし、魔法陣を書くためには必要なことだ。それで血に濡れた人差し指で地面に魔法陣を描いていく。かなりきつい作業だった。しかし、ズギスギ痛む手首、描かれていく魔法陣は一種のアートに見える。しばし沈黙の時が流れた。気づいたら出来上がっていた。これで準備は整った。まず、手を前に出す。そして、

「神である我に今、この世界よ、力をかしたまえ。そして今一度、この世界と外とのつながりを絶ちたま え。リコーピーオン」

 その瞬間、稲妻が四方に走った気がした。視界が暗転して……


 気がついたら自分のベットにいた。

「おお、気が付きましたか。夜刻ノ神様。」

 声のしたところに顔を向けるとそこにはコルミアがいた。

「コルミアか。どうだ、シャットダウンは成功したか?」

 するとコルミアが満足したそうな表情をした。

「コルミアの方はどうだ?消失の解決策はできたか?」

「はい、そのためにはあの者たちを使います。」

「あいつらか?」

「あの者をこの世界から出したときの膨大な魔力を使って世界を安定させます。」

「了解した。」

 ちなみにあの者たちとは、ある特殊な能力を持った人たちである。俺はこの世界に来たときからそいつらを監視していた。目立ったことはない。あ、ゆめって言う人が友人に殴られているのを見てちょっと同情してしまった。

「わかった。しかし、一週間ぐらい待ってくれ。少し疲れてしまった。」

「承知」

 そう言ってコルミアは出ていった。


     その一週間と少し後、世界各地で急に人が消える事件が起きた。



これで、この話は終わりです。続きの話は「異世界に取り残された俺」( http://ncode.syosetu.com/n9737ed/)と「異世界ツイート」(http://ncode.syosetu.com/n5313ef/)を読んで下さい。

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