閑話:長女の話
私の家族の話をしよう。
私の家族は父親がスポーツ選手で母親は映画女優。次女は漫画家で三女はモデル四女はアイドルをやっている。
私は最近売れ始めた歌手だったりする。
特に凄いのが弟だ。
顔は勿論美形でたまに女に見えるくらい美人だ。
勉強も運動も出来、様々な才能に満ち溢れている。
そんな弟に私は1つ罪悪感を懐いてる所がある。
弟は家事炊事を一人でこなしている。
私は16歳になったくらいの時に弟に
「私は忙しいから今からたぁくんに任せるね」
と言いそれから弟は料理・掃除・洗濯・家計簿・町内会の行事・買い出しまで全てこなす様になったのだ。
例え誰かが遅く帰ってきても最後まで起きて『おかえり』と微笑んでくれる。
私はその時に気付いてやれば良かったのだ。
私は遊びたい盛りだったので毎晩夜遅くまで遊んでいた。
家には親が居ないのだ。しかも家の事は全て弟がやっているので安心して遊んでいた。
弟が修学旅行などがあっても造り置きを造って行くため何も考えていなかった。
ある日、私は遊んで帰ってきたら弟がいつものように『おかえり』と言ってきたので私は適当に
「ただまぁ」と軽く返して風呂に入って寝たのだが次の日起きてみると妹達が何か騒いでいた。
私は余りにも騒がしかったので様子を見に行ってみると妹達と弟が言い争っていた。
理由を聞いてみると、弟はなんと風邪をひいていて昨日は学校を早退して来たらしいのだ。
それなのに昨日もそして今日も家事を普通にこなしていたらしい。
私はその時に「何故そこまでして家事をやる?」と訪ねてみたら
『お父さんとお母さんは中々帰って来ないし、お姉ちゃんや妹達には友達と遊べなかったりして辛い思いをさせたくないから』
その時私は弟に残酷な事をしていると思った。
「弟だって両親が居ないから寂しいはずなのに、友達とも遊んだりしたいはずなのに。」
私は私が遊びたいという理由で全てを弟に任せた事を後悔した。
別に家族全員で分担すれば良かったのに何故弟にだけそれを全てを任せたのか後悔した。
顔に不安を見せてしまったのか弟は
『お姉ちゃん大丈夫だよ。俺は男だから強いんだ。家族を守って当たり前じゃないか。』と。
私はこの時から遊びに行くのをやめた。
だが弟は家事をやめることはしなかった。
私はある日、弟に「何故全員帰って来るまで起きてるの?」と訊ねた。
弟は『家族が遊びに行って誰も迎えに来なかったら寂しいじゃないか』
と言ってきた時、あの時適当に返事をしてすまなかったと反省した。
今日は弟のテンションが高いので何かあるのか?と聞いてみると
『今日は5年ぶりに家族が揃うんだよ』
と微笑みながら言い返してきた。
弟は本当に家族が大好きなのだ。
その中に私も入っていると気付いた時に、ニヤけてしまった。
『姉さんも嬉しいんだね』
と弟は勘違いしている。
心の中で私はなんだかホッとした。
今日は仕事が休みなので私は両親を空港まで迎えに行く。
だから弟が学校に向かう時に
「いってらっしゃい」と言いながら抱き付いた。
すると弟は『行ってきます』と微笑みながら言い返してくれた。
私はつい恥ずかしくなってしまい弟を離してしまった。
この時弟を離さなければと後悔することも知らずに…
空港に行くと両親は既に居たらしくこちらに向かってきて
『ただいま、久々だね。』
と笑顔で言ってくる。
流石たぁくん(自分の)の親だけあって美男美女だ。
「おかえり。皆も大きくなってるからビックリするわよ」なんて他愛ない話をしながら家へと向かう。
早く弟が帰って来て、いつもの笑顔を見てみたいと思いながら弟を待つのであった。
ネタを構成する間、閑話をやたら挟むと思います