金曜日の今日は
帰ってくるとすぐに、私はサボっていた日めくりカレンダーを七枚千切りとってゴミ箱に放り込んだ。爪先の解れかかった靴下を急ぎ洗濯機に放り込んで、肩かけのスポーツバッグとリュックを傍らに放り投げて。それから気づいて、携帯を鞄の脇ポケットから引き抜いた。
友達と夕食を食べて、帰宅したのは午後七時五十七分。なんとか間に合った、とため息をついて安堵する。
携帯越しに、天井の灯りがぼんやり滲んでいる。伸びをすると、肩がポキポキと音をたてた。
ポン。
画面の上からひょっこり、通知のメッセージが顔を覗かせる。急いで確認してみたが、今日一緒にご飯を食べた友人からの写真だった。安心したような、がっかりしたような、アンビバレンス。意味もなく前髪を直す。
一分。まだ一分しか経っていない。落ち着かなくて、ごろごろと寝返りを打つ。
二分……三分……………まだ。まだ来ない。
既に端末の時計は丁度を指しているというのに、依然友達からのメッセージ以外は来ない。鬱陶しくなってきた。通知を切る。切ったら切ったで、物寂しい。きゅっと口を引き結ぶ。
寝てしまったのだろうか。それとも、忘れてしまったのだろうか?
無音の部屋の中、自分の息の音だけがする。一秒ごとに、スマホが微かに上がったり下がったりする。親指は彷徨って、キーボードを閉じたり開いたり……とにかく、じっとしていない。
水でも飲みに行こうか。
その瞬間リリリリリリ──と、電話の音がする。私は跳ね起きた。焦って、電話を切りそうになってしまう。慌てて指を離したら、今度は携帯を落としそうになった。
今日話したいことは、決めて無いけれど、気が逸る。思わず唇が綻ぶ。
「遅いよ、何かしてたの──」