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8. 七不思議とおじさん
操縦士のおじさん登場します
百合の実家は、いわゆる孤島にある。
人口300人ほどのど田舎だ。
一日一回しかでない船での行き来は不便だが、自然豊かで百合は結構気に入っていた。
「もうすぐ着くよ〜」
船を操縦するおじさんは、百合にクシャッとした笑顔を向けた。
「でも百合ちゃん久しぶりやね。元気してた?」
「あ、うん。元気」
百合が生まれたときからこうして船の操縦士をしていうというおじさんは、百合の小さい頃の記憶から全く変わってない。
そんなおじさんの年齢を知っている人は島にはいないという。そのため、島の七不思議にも数えられているらしい。
「しかし、変わらないな〜」
船から降りて、百合は呟いた。ここにくるのは一年半ぶりである。
平日でも土日でも変わらず人の少ない道路が懐かしい。
百合は、そんな気温で熱くなったコンクリートの道をゆっくりと歩いていった。