やっと登場
ビルの最上階に事務所はあった
『ただいま戻りました』
スキンヘッドの後に続いて事務所に一歩入った
…けど回れ右しようとして金髪に止められた
どーんと置かれたソファに座ってる男の人が
なんか凄い睨んでくるんですけど!?
眼力が凄いんですけど!?
この人がもしかしなくても
『若』という人なのだろう
そんな空気だ
空気がそういってる
『お前が白川杏か?』
若の声は見た目とは少し違った
なんというかセクシーな声?
顔は怖いけど声は好きだなぁなんて
呆けていたら
金髪が咳払いし
スキンヘッドがなんだか
身震いするような微笑みを
浮かべてるのを見て慌てて返事をした
『あ、はい。白川杏です』
『俺は朝霧 龍だ』
それだけ言うと
ふっと目を逸らして
『タカ、向こうは?』
『はい。3台撒きました
今頃からの車を追いかけてますよ』
あ、金髪はタカさんと言うらしい。
ちゃんと敬語も使えるんだね。
『須崎』
『はい』
スキンヘッドは須崎さんと言うらしい
朝霧さんと須崎さんは
何やら話をしに奥へ行ってしま…って!ちょ!
『ちょっと!待ってください!
私はどうしてここに連れて来られたんですか?』
『あー…まぁ、そうだったな。
簡単に言うとだな
お前の妹最近結婚しただろ?』
確かに3つ下の私の妹
『桃』はつい二ヶ月まえに籍を入れたばかりだ。
『その妹の連れはうちの組のもんなんだが』
ん!?
『他の組とちょっとあって今狙われてんだよ』
はー
『それで家族にまで手を出しそうだってんで
うちで警護をする事になった』
えー
『それって私関係ありますか?私が桃の姉だなんて
相手側知らないんじゃ無いですか?』
私は朝霧さんは怖いので
須崎さんに詰め寄った
『え?私に聞いてます?』
須崎さんは朝霧さんをチラッとみてからこちらに向き直った
『そうですね
最初は我々もそう思っていたのですが
桃さんが学の鉄壁の守りでなかなか
手を出せないとわかったのか
次にはご実家を狙ってきました。
このままだと杏さんの方にいつ火の粉がかかるか
わからなかったので先に避難していただきたい
そう思っての事です』
学とは確かに桃の旦那の名前だ。
ん?え?
実家に!!?
『誰かケガしたんですか??』
『いえ、事前に仕入れた情報で
ご実家の皆様にも避難していただいたので
もう大丈夫です』
良かった。
杏はほっと胸をなでおろした
お父さんはもう他界しており実家にはお母さんとおばあちゃんの2人しかいないのだ
2人が無事で本当に良かった。
『それじゃあお母さんとおばあちゃんの所に連れて行ってもらえるんですね。』
なんだか大変な事になっちゃってるけど
久しぶりに2人に会えるのが楽しみだな
『いや、今2人は海外だから合流は難しいな』
えーーーー!?