玉みがかざれば器をなさず、気が付けば最悪バランス
ミネルー街 冒険者ギルド内
「次にですが」
冒険者ギルド受付のおばさんが話を続ける。
あれ?こめかみに青筋が
まさか心が読めるのか?なんてな
「マジックバッグです。有料ですが冒険者には格安で貸し出しています。1万ユルドです。」
クルーはこの世界の通貨だ。1ユルド1円と思えはいい。なら1万円で貸し出すぞっていってるのか。
ただの袋が1万円とかぼったくるのか…ギルドやべえよ。
「マジックバックですが、持てるアイテム数は魔力値によります。あなたの魔力を吸い出し入れできます」
心をまた読まれたのか?勘がいいだけなのか。
なるほど便利バックか。
「何個でもはいるんですか?」
「あなたの魔力次第で。魔力足りないと出せなくなります。ナマモノの保存も効きます。あと、マジックバックは貸し出しなので、無くした場合や落とした場合はカードと同じです。」
「おおっ!」
つい声がもれた。
「次に…」
おばさんが続けようとした時、フィーネが横から
「そのまえにさー、水ちょうだい。喉乾いたー
!!」
騒ぎ出した。
唖然とする自分がいる。日本社会で会話中に横から茶々入れるのはマナー違反だ。だがここは異世界。それが通るみたいだ。おばさんは
「ちょっと待ってね。」
と取りに行ったようだ。自分は一言フィーネへ
「すごいな、お前…」
フィーネは首かしげ
「なにが?」
事も無げにいう。
この妖精、危険な拾い物だったかもしれない。
気を付けよう。
おばさんは水を持ってきてくれた。
普通の木のコップと小さなコップを。
それをどうもと受け取り一気に飲む。喉乾いていたのは同じだった。胃に染み渡るわー
「水は自由についでね。」
細長いピッチャーらしきものがある。
「ありがとうございます」
といいながらとりあえず3杯のんだ。
「次に、冒険者カードでできることについてです。
王都の出入りでは確認されます。あと、冒険者割引などが必要な場合は確認されます。ここの宿屋など普通に泊まると8000ユルドですが、冒険者カード提示で800ユルドで泊まれます。極端に安く感じますが、冒険者ギルドがある街なら大体安くしてもらえるはずです。」
「ふむふむ」
「とりあえずは、以上になります。質問はありますか?」
おばさんは切り出した。
冒険者カード便利だな。誰でも登録できるのかな?
「フェアリーでも冒険者登録できますか?」
いち早く反応したのはフィーネだ。
「ばっかじゃない?できるわけないじゃーん」
「できますよ?」
おばさんの切り返しに驚く二人。
「登録お願いします」
「えーやだーめんどいー」
無理に登録させた。
「ついでなので、説明するわね。冒険者カードを持っているもの同士でパーティが組めるの。冒険者カード同士を重ねるの、そしてリーダーになる人がパーティといえばオッケー。解散するときはカード重ねて解散といえばいい。パーティ中はカードで念話ができる。冒険者カードをもった状態で、念じたら相手にも伝わる。」
「便利機能満載ですね。」
「便利だけど、悪用すれば罪に問われる。特に冒険者は優遇される分、罪は重くなるから注意しな。」
ちょっと脅された。
フィーネが登録している間、暇なのでステータス見ようと冒険者カードを出した。
(ステータス表示)
表示された瞬間、固まってしまう。
ヤバイ。自分はチート能力者なのか。気になったので浮かれそうなのをこらえて聞いてみた。
「あのー、一般的な冒険者のステータス聞いていい?」
おばさんがこっちを見て言った。
「一般的な冒険者? 基本的にレベル1でステータス的にオール10はあるねぇ、あとレベルが上がるごとに適正で5上がるくらいかねー」
そこに新たな乱入者が。
「ミレンさんは、特にすごいんだから。レベルも23で。」
と、隣の受付がかたる。
だが、自分はボー然とする。
えっレベル1でステータスオール10あってレベルごとに5?ということは…
固まっている自分を不審に思った隣の受付の娘が、冒険者カードを覗き見る。
「プッ、ププッ」「私よりひくっ」
いーっというやいなや、おばさんに首根っこ捕まれ奥に連れて行かれた。おばさんは、戻ってくるなり
「見せてもらってもいいかい?」
と告げてきた。確認も含めて見てもらうしかない。
おばさんは見るなり、うなりだした。
「うむむ、バランス悪いね。だが突出した…」
こうなるのも仕方ない。
自分がゲームを作ったとして、こんなバランスならクソゲー認定するはず。
ステータス表示
名前 ゆうと 冒険者
レベル 6
HP 16
MP 672
筋力 608
守り 613
体力 16
知力 7
精神 691
敏捷 43
器用 192
運 61
なんじゃこりゃ。
自分が勘違いしていたのは、この世界ではHPは低いものだと思っていた。だからMPの高さをヤバイと思ったのだ。たが現実は、HPの低さが問題なのだ。
「ちなみに、おばさんはHPいくつなんです?」
「私のはあまり参考ならないとと思うが、」
と切り出し
「レベル23でHP130 MP61だ。人それぞれ個性だ。ところであんた。どこかの大魔術師の息子だったり…」
冗談じゃない。
「…」
自分が無言だったので違うと分かったようだ。
「まぁこれから伸びるのさ。守りの高さがある。すぐに死なないさ。」
まるで他人事だ。ああ他人だった。としてるうちに
「冒険者カードできたー」
フィーネが持ってくる。ステータスを見せてもらう。
名前 フィーネ ハイフェアリー
LV 19
HP 172
MP 496
負けた。フェアリーにHP 負けた。
くやしいです!!某芸人風にしてみたが反応はない。
フィーネもマジックバックを受け取り。
「ではまたー」
っと出て行こうとしたが、肩を掴まれた。
「まちな!!まだ金をもらってない。マジックバック代合計2万ユルド。」
ば、バレた…有耶無耶にしようとしたのに。
「オカネモッテマセン」
片言でいってみたが効果はなかった。
頭を掴まれた。残り少ないHPが削られてしまう。
そのときフィーネがいう。
「素材買い取ってもらったら?」
「ここで買い取ってもらえるのか?」
「なんかあるのかい?」
おばさんが急に笑顔になる。女ってこええ。
「狼8匹虎1匹。」
「冒険者ギルドでは、色々な素材の買い取りをするんだ。剥ぎ取りや、解体も請け負っている。どんなものか解析などもやってる、自分でどうにかできないものは持ってくればいい。」
おばさんがそういうので、バックにしまった、素材をだした。
「ウルフと…」
おばさんがかたまる。
隣の戻ってきた受付がこっちに視線をむける。
「ひぃ」
自分もその視線のさきをみる。
なにも異常はない。
「なにかあるんです?」
「あっ、ああ…このベルタイガーはどこで?」
ベルタイガー?虎のことか。
どこでといわれても。迷子になってたから。
「ここの近くの山かと。」
「倒したのか?」
ヤバイ。倒しちゃダメだったのか?土地神とか。
「ええ。ダメでした?」
「ん?イヤ…ベルタイガーはレベル40以上のバケモノだ。それなりのパーティで倒せるかどうか……」
そんなにココはレベル低いのか?そんなに苦労した記憶がないが。
もしかしてチート能力で楽勝だったのか?
「買い取り額を計算するから待っててくれ。逃げ出すなよ。」
まわりこまれてしまった。
ボス戦から逃げれないような釘をさされたかんじ。
そして二分後。
「おまたせ。ウルフが一匹まるごとなら5000ユルド、ベルタイガーはまるごとなら80万ユルド」
「まるごと?」
「解体で、必要な部位があれば引いていくのさ。
ウルフなら 牙が2500,毛皮が1500,肉が500,尻尾が500といった具合さ。」
「なるほど。牙が高いのは?」
「武器の材料やお守り、魔除けに、なるからさ。あとは薬剤に調合かね。ベルタイガーが高いのは高レベルモンスターで状態が普通。状態が良ければもっと高い。」
「まるごとでお願いします」
「84万ユルドだ。」
よしっちょっとした小金持ちだ!!
「じゃ、お世話様ー」
出て行こうとしたが、肩を掴まれた。デジャヴ?
「マジックバック代!!」
チッ!バレたか。
「引いて渡してくれたら良かったのに。」
「そういうのうるさい奴らがいるんだ。」
だろうね。お金にうるさいのはどこにでもいる。
「はい。2万ユルド」
「たしかに。」
「ではまた」
やっとこさ、ギルドを出ることができた。
そとに出ると、すでに夕日が…
「何時間いたんだろ…」
気にしちゃダメなんだろうな。
とりあえず宿を探そう。もうすでに27時間近く寝てない。食べてない。あるのは水を4杯。
宿はどこだ。
やっとギルドでました。
ダンジョンにつくにはどうしたものか。
わたし、気になります。( • ̀ω•́ )キリッ