水は方円の器に従う、気が付けば葉っぱだらけ!
パキッパキッ…歩くたびに音がする…
森の中に入るなんて何年ぶりなんだろう…少しだがドキドキする。どこをみても木!木!木!なんか笑える。とりあえず歩こう。あっ、と一言体がよろける…躓いたのだ…慌てて手を出し衝撃を和らげようとする…間に合わない…頭の着地地点には丸い石がある。なんだろう…一瞬のことなのにスローモーションのように感じる。ゴッ!!
「っっっつ!!」あまりに痛いと言葉にならない。
視界には星が散っている。所謂ピヨピヨ状態なのか? それにしても死ななくてよかった的なのを考えつつおでこをさする。血すらついてない。案外頑丈な自分が逆に怖い。視界がクリアになっていき、不思議な現象を見ることになる。
さっき、おでこを打ち付けた石がない。かわりに砂がある。砂だけではなく、石のかけらのような破片が。…まさか脆い石だったのか?でもすごく痛かった。単純におでこが頑丈なのか?変な疑問が生まれる。試してみるか…
傍から見たら変な光景だ。木に抱きつき頭突きをするおっさん。自分でやって置いて、なんてシュールだろうか… 二度ほど打ち付けた、痛い…この痛さで分かるのは夢でないことだろうか…涙目でそう考えようとしていたら、ビシビシっドドーン。
木が倒れた。なるほど…自分の頭突きは最強だ!
「んなわけあるかい!」普段全くやらない乗りツッコミをやってみた。誰もいないからできる光景だ。
手を正面から空想の相方がいる右の方へ、なんでやねん的な動作をした。空想のは相方は木だ。ちょっと空間把握ができてなかったのか、もろに手を打ち付けてしまった…ちょっと痛い。涙目でしゃがみこむ。すると ズズーン!右のスレスレを木が倒れこむ。 「へっ?」 それなりに大きい木だ。
なにもなしに倒れたりはしないたろうと思う。
まさか…ツッコミがうけた?意味がわからないことを考えている。いや、違うのだ。もしかしなくても身体能力が上がっているのだ。とりあえずそう思うことにしよう。試しに、となりにある木を殴ってみた。痛い。ズドーン。やばい楽しい。
ふと気付いたら 倒れた木が7本もあった。やりすぎた。手も痛い。自分がお調子者であると気付いた。あの本のせいじゃないだろうか。などと考えていると、ガザザっ 近くのしげみから音がする。
ジーッと眺めていると。人がでてきた?いや、
違う。人とは違うな。緑色の皮膚?腰に布切れ、折れた木をもつ、よくわからないものがいる。
ゴブリン?コボルト?ゲームなどに出てくるそんな生き物と思っていると、いきなり木の棒を振りかざし、走ってやってきた。身長は自分より小さい。自分が170あるから、だいたい100センチくらいなのだろうか?自分の胸あたりに頭がある。なぜわかるかって?走って近寄り木の棒をかわし、頭を両手で掴んで投げてやった。力強くやりすぎた。木にぶつかると真っ二つに…スプラッターが見たいわけではないのに…キモい…と視線をそらすとそこには 緑色のゴブリン?がたくさんいた。なにか喚いている。
注目してみる。すると、
「オマエ、コロス」と言っているようだ。
わからない言葉に聞こえていたが徐々に分かり始める。やつらは口々に「コロセ」「ニンゲン、コロセ」「タベタイ」などといっている。
こいつら知能あるのか。いや、単純な言葉ばかりだからたいしたことないか。さっきのゴブリン?が落とした木の棒を拾い、声をかけてみる。
「あの〜ここってどこですかね?」馬鹿丸出しの発言を。だがゴブリン?たちは
「コロセ!」「コロセ!」「コロセ!」
かわらない。緑色のゴブリン?みていると某アニメのピッ○ロを思い出した。自分の悪い癖だ。すぐそれる。 とりあえずもえ一度声をかけてみる
「この辺に水場はありませんか〜?」
語尾を伸ばしおどけて自分は敵じゃないですよ、アピール。木の棒を持っている時点でそれはありえないのだが。ゴブリン?たちは
「コロセ!」「コロセ!」
変わっていなかった。ついにイラッとしてしまい。
「うるせっ!」木の棒を投げてしまった。
ついつい力がこもってしまったようだ。ゴブリン?二匹に命中。二匹を引き裂きさらに奥の木にぶつかると木の棒は粉々に…唖然とする自分がいる。ちょっと力込めただけやん…まぁいいかと、ゴブリン?を見やると 向こうも唖然としている。口をポカーンと開けたまま、粉々になった木の棒があった地点と仲間が引き裂かれている場所を交互に見ている。
あっ、ゴブリン?と目があったと思った瞬間、ゴブリン?たちは逃げ出した。一言「バケモノー」と聞こえた気がするが、回りこんでみたい衝動を我慢し、その場を離れる。 とりあえずブラブラと、歩いて行く。目的地がわからないというのは、結構つらいものだ。最近のゲームなどにある、目的地までのガイドとかほしいなとか馬鹿なことを考えていると、きらめく光が見える。湖?ついつい走りだした。木々の間を抜けるとそこには湖があった。近くまでより湖を凝視する。飲めるのだろうか。それでなくてもお腹は強い方ではない。身体能力上がっているのだから大丈夫なのかな?とか考えていると、
何か声が聞こえてくる。複数の声だ。とりあえず隠れよう。 自分はわかっている。動物やらなんやらよりも、一番人間が怖いということを。ススーっと森のしげみに隠れてみる。 ザッザッ 湖のほうにでてきた。いちにぃさん…8人もいるのか…
でてきた奴らをみて思う。関わりたくないな。髭面の髪ボサボサ、いかにも山賊風なやつらだ。
だか中には違う雰囲気をだしている2人がいた。
縄でしばられているようだが。 会話が聞こえてくる。
「くそっ、なんだあれは」
山賊風ないかつい男で首には骨で出来たようなネックレス?を付けていた。それに対してすらっとしたボロボロの服装で弓をもった男が返す
「さっきのゴブリンの集団…おかしくなかったか?なにかから逃げるようにやってきたが」
「あれだけのゴブリンの集団だ、ゴブリンリーダーくらいいたのかもな」
「まさか、アールもダーもやられるとはな。あれだけの集団じゃ仕方ないか」
二人の会話を聞いていて、あれがゴブリンで間違いないと知る。 会話か…ここ何日かまともにしていないな…と思っていると
「くそっ、追いついて来やがったか!」
山賊風な男の視線の先にはゴブリン達が集まってきた。あのゴブリン…さっき俺の前にいたゴブリン達と同じような…まぁいいか
ゴブリンの集団が山賊風な男たちに襲いかかる
なかなかいい勝負をしている。ゴブリン4匹で山賊風なやつを抑えている。コンビネーションがいいのか?山賊風なやつらは散り散りで防戦一方だ。
ゴブリンが強いのか、山賊風なのこ弱いのかわからない。だがここで急展開をみせる 山賊風な男は縛られている二人のもとに走った。上半身にかぶせられている布を取るとゴブリンたちに
「女がいるぞーっ」そういうともう一人の布もとる
「みんな散れー」 …逃げるのか?
しかも 女性を置き去りに…沸々と怒りがたまるのがわかる。 と思っていると、山賊風なやつの一人がゴブリンに捕まった。誰も助けようとしない。
捕まったやつは、ゴブリンにひたすら殴られている。緑色のゴブリンが一部赤く染まっていく。
殴るのをやめた…おそらく死んだのだろう…ゴブリンが群がっていく…うっ、スプラッター開始のようだ。 腕を引きちぎり食うもの、内臓を引き出して食うもの、腹に顔を突っ込んでいるもの。ゴブリンは人の肉を食うのか…と見ていると、目の端でなにかが動く。縛られていた二人だ。口も布で塞がれている。確かに女性だ。一人は銀髪で長く先の方を何かで結んでいる。胸も大きいようだ。
もう一人も銀髪でこちらは、短い。胸は…あるのだろうか…わからない。表面にはわからない。
ただ、どちらとも耳が長く先が尖っている。所謂エルフなのだろうか?と…そんなこと考えている場合ではない。このままではまたスプラッター見ることになるだろう。さてどうやって助けようか。良さそうな木の棒は…周りにないな…仕方ないか…
ガス!ズズーン!とりあえず木を倒し、担ぐ。
そして、ゴブリンの前に飛び出した。