習い性となる(習慣は第二の天性)、気が付けば家なき子。
ミネルーの街
悩んでいた。
奴隷なんて持ったことないので、どういうふうに接したらいいのか。
ペット?いや、人間だし。
道具?いや、人間だし。
妹?一番あたりに近そうだ。
そうだ、妹として接しよう。
妹いたことないけど。
冒険者ギルドに向かっていると、パールとエルは前に出てきて、
「ご主人様、よろしくお願いします。」
と恥ずかしそうに言ってきた。
「こちらこそよろしくね。」
頭を下げて返すと、
「奴隷には頭を下げちゃダメです。」
エルに怒られるが、言い返す。
「自分は他のご主人とは違うのだ!頭を下げたいときには下げる!」
二人は、うーんとした顔をしている。
二人の頭に手を置くと、
「そんなご主人でもよろしくな」
と言うと、二人は声を合わせ
「「はいっ」」
と良い返事をした。
冒険者ギルドについた。
カウンターには色々説明してくれた、おばさんがいた。
「すいません、聞きたいんですが。」
「はい?」
おばさんは、前と変わらず笑顔で対応してきた。
「この街で安い一軒家とか、ないですかね?」
「一軒家…家を買うんですか?」
そうなのだ。宿に泊まるのはいいが、やはり自分のマイホームがほしいのだ。
現実世界で叶わなかった。アパートで暮らすのは嫌だった。異世界の宿屋はなんかアパートなイメージだ。隣の部屋の声は丸聞こえだし。
「はい、欲しいなぁと。」
「家ですか…ちょっとお待ちください。」
言うとおばさんは奥へ行った。
しばらくして、おじさんがやってくる。
「おまたせしました。住宅については私が話をさせていただきます。」
話し方が丁寧だ。色々売りつけられないように気をつけねば。あまりにも丁寧なので警戒する。
「はい」
「ここミネルーの街では、冒険者ギルドがありますので、住む方に住民税は取りません。ですが、建物には税がかかります。宿屋にしろ、道具屋にしろ、一定金額がかかります。それは民家でも同じです。
ただし、商売をするかどうかで税の金額が変わります。商売はされますか?」
「たぶん、しないかと。ギルドに物を売る行為は商売に?」
「冒険者としてなら、問題はありません。職人としてなら少し商売となるかもしれません。」
「なら、たぶん大丈夫かと。あとで商売として申請もできるんですか?」
「できますね、またこちらに来てもらえれば。
では商売はなしの民家ですね。税の方は年に一度春にギルドに持ってきていただければ問題はありません。金額は民家の規模により多少上下しますが、だいたい10万ユルドくらいです。」
ぐっ、結構高い。
現実世界とかとあまりかわらないな。税がきついのは。金を稼がねば。
「あと、建物の値段は一番安いのは20万ユルドが一つあります。あとは少し値段は上がりますが、240万ユルドが一つ、280万が一つ。あとは500万ユルド以上ですね。」
高い、まぁ普通に考えて安いはずはない。
でも20万があるなんて。
「20万のところはどんなとこで?」
「いったほうが早いでしょう。」
おじさんがカウンターを出て歩いて行くのでついていく。ギルドからでて2分もあるいた所にソレはあった。
「こちらです。」
案内されたが、
「どこにありますか?建物は?」
「コレです。」
指を指された建物を見る。間違いじゃなかったのか。
その建物は、
木材をただ組み合わせただけのものだった。
扉はないし、雨が降れば漏れる、横殴りの雨だと直濡れだろう。
「これはないな。」
「でしょうね。」
おじさんも同意するが
「ならなぜココを紹介してるんだ?」
「どうにかするかと期待ですかね?」
普通に返された。
無理だろう。建物を作る技術はないな。
「予算がないので200万貯まったら、また声をかけます。」
「それがいいてしょうな。」
おじさんはそういうと、あるいていく。
それに続きギルドに戻る。
おばさんがカウンターにいたので、
「この二人も冒険者登録したいんだけど…」
と二人も冒険者登録しておく。
奴隷も登録できるのか、と確認しておく
登録の待ち時間、壁にかかっている依頼書をみていく。実入りの良い物はなさそうだ。
難易度G 納品。 依頼品 薬草
報酬 50ユルド
難易度E 納品。 依頼品 クランクラン草
報酬 150ユルド
お小遣いにもならない依頼書ばかりだ。
魔物を狩って素材持ち込んだほうが金になるな。
と考えていると、
「ご主人様、おまたせしました。」
パールがやってきた。その後をエルが続く。
「ご主人様、私達も冒険するんですか?」
「マジックバッグが便利だからね。冒険も一緒に行きたいなと。嫌だった?」
「いえ!行きたいです。」
とパールが勢いよく言うも、エルは乗り気じゃないようだ。
「私は戦闘能力ないですから、足手まといかと。」
「それを補うのがパーティなのだから!」
と力説してみたが現実ボッチの自分はパーティ組んだことはない。だから組んでみたいと
二人を誘っているようなものだ。
「わかりました。」
エルが納得したようなので出て行こうとすると、
腕を掴まれた。
怖いおばさんがそこにはいた。
「マジックバッグ代二人分!!」
「はい…」
別に、払わないなんていってないよ?
ただ忘れていただけ。
そう説明をしたが、おばさんの眼は怖いままだった…