逃走
私は、至って普通です。
あなたと違うです。
だから、近づかないでください。
point1 〜私と貴方は付き合っていません〜
6:00。目覚ましの音で、私は起きる。
目覚ましの音を止めたあと、うがいと顔を洗いにいく。
それが、終わったあと制服に着替え、荷物の確認をする。
6:15。母さんの作った卵焼きとご飯とお味噌、と母特性ベジタリアンジュースをいただく。
6:30。支度をすまし、駅にむかう。
ここまでは、いつもと何ら変わらない日常。
私は、電車に揺られながら腕時計をみた。
6:45。あと、二駅乗っていれば学校前の駅に出れる
後少しの辛抱でこの窮屈な世界からでれる。
これは、いつも思う。
あと、少し。あと、少し。
7:14。学校前の駅に降りた。
さて、行こうか…とその時は男性に呼び止められた
いつもと違う日常がはじまった。
その男性は、私と同年代の男性だった。
オシャレに気おつけているみたいで、髪は明るく今時の高校男子学生だ。
「初めまして。俺、佐々木っていうんだけど。」
「はぁ……」
「君と同じ電車なんだよね。いつも。でさ、俺。君に一目惚れしちゃったんだよね。だから、付き合ってもらえない?」
まさかの告白。
びっくりだ。こんな私に告白するとは。
私の見た目は、髪は三つ編み。
顔は普通より、ちょっと不細工。(基準は、わからないが)
足が太い。(友曰く、あまり太くはないが太い分類に入るらしい。)
そんな私だ。
けど、こいつの顔にはありありと悪意があると見て取れる。
またか……
「申し訳ないが、私は急いでいる。先に行かせて貰う。」
「えっ、ちょっと待って。話は?。ねぇ!!」
「これで、三回目だ。お前たちの遊びに飽きた。佐々木くんとやら。お前たちの賭け事もう無駄だ。私の前から消えてくれ。」
「えっ………なんで知って……」
「消えてくれ。」
前々から知っていた。私の通っている学校の周辺にはもうひとつの学校がある。
その学生の間には、今嘘告白が流行っているらしい
その告白が、成功するかしないか賭けているらしい。
さて、ここからが本題。このくだらない賭け事が流行り私は、とても迷惑をかけている。
同じ電車に乗っているやつが、私に告白してくるのだ。
全く、私の顔をみて男に飢えていると思うのか?
こんな、朝早くからせいが出るものだな。
8:30。少し時間がずれた。あしたからは、もう少し早めに出よう。
私は、学校の坂道をのぼりながおもった。
私が通うか学校の前には少し長い坂がある。
その両側には、美しい桜が咲き乱れる。
地方雑誌にも掲載されるほどだ。
私は、この美しい坂のために毎朝早く起きている。
桜が舞うなか、少しだけ生徒が少ないこの坂と朝の瑞々しい空気を吸い、周りを見渡しながら歩くことが日課であり、今の人生の中では、ひとつの楽しみなのだ。
「あの……」
またか。流石にここまで来るとは思いもしなかった
「あのな、もう私と…………………っえ?」
そこにいたのは、私が知っている人だった。
「どうかしたの?佐伯さん」
「すまない。なんでもない。」
そこに立っていたのは、隣の席の高橋 湊だった。
高橋くんは、学校1のイケメン桜庭くんの幼馴染みであり、なかなかのイケメンくんだ。というより、イケメンというか美人さんだ。
サラサラの黒髪に綺麗なパッチリ真っ黒の目。そして、何より左目の下の黒子が彼の妖艶さを引き立たていた。
彼の隣になったあの時は、色々大変だった。
綺麗な人の近くにいるは、大変だ。
「おはよう、高橋くん。」
「おはよう、佐伯さん。僕のことは、湊でいいのに。」
またこれだ。いつも、彼は私に下の名前を言わせようとする。
「それで、どうしたの。さっきの。」
「あぁ、それが告白されてな。」
「えっ………」
「また、それだと思ったんだよ。すまない。」
「………それで、返事は。」
「返事はしてないよ。あんなことで返事なん…………って、おい。大丈夫か?!!顔が真っ青だぞ。」
「……………ねぇ、なんで断らなかったの?ねぇ、なんで。なんで、なんで、なんで…………!!!゛僕ら付き合ってるの゛に!!!」
「……………はぁ?」
「僕ら高校一年生の時からの付き合いなのに。なんで、断らなかったの。なんで、断らなかったの!!
僕は、こんなに佐伯さんを好きなのに!!愛してるのに!!君が嫌だって言ったから、登下校一緒に行くことを諦めたのに!!色々諦めたのに、けど僕は佐伯さんのことが大好きだから、我慢してたんだよ。なのに、なんで!!断らなかったの!!」
彼は叫んだ。瞳にいっぱい涙をためて。
けど、私はその姿が怖くて怖くて仕方がなかった。
だって、私たちは゛付き合ってない゛んだから。
彼は何を言ってるんだ。
怖い。
「何を言ってるんだ…………私たちは付き合ってないだろ。」
「……………えっ、何を言ってるの?付き合ってるよ」
本気だ。
こいつは、付き合ってることだと本気で思っている。
私は、怖くなってそこから逃げ出した。
「えっ、まって!!佐伯さん!!」
何も、聞こえない。聞きたくない!!
こうして、彼 高橋 湊の関係は歪に変わったのだ。