睡魔と夢遊
即興小説トレーニング」で15分に間に合わず未完になったものの適当に簡潔させたもの。久しぶりに文章か居たので非常に雑です。
御題は『優秀なにわか雨』
「春眠暁を覚えず。
春は無性に眠くなる。それはどうやら昔から変わらないらしい。春は変化の時期であり寝ている暇なんてない、なんてどこかの哲学者が言っていた気もするが、僕に言わせれば変化ほど眠いものはない。新たな環境に適応することがどれだけ疲れることか。どれだけ気だるいことか。
生きることは闘いだ、主に睡魔との。
何が言いたいかといえば、僕は寝たい。本当に眠い。一日十時間ほど寝ているが、全く眠気は覚めない。起きている時間も半ば、寝ている。半眼で過ごしている。半眼開きで生きている。そのうち非想非非想の境地にたどりつけるのではないだろうか。
常に頭が働いていないのだから、僕の人生は霧の中に、あるいは夢の中にある。
まぁ、そんな僕であるがこれでも学校に通っている。それは義務なのだ。安眠を保つための義務。最低限のことをこなさなければ安眠から永眠に二階級特進してしまう。まずいまずい。それはまずい。
僕は、平穏な眠りを欲している。良質な眠りを欲している。
睡眠は偉大だ。極楽だ。涅槃だ。これこそ世界を平和に導くないだろうか?
そうは思わんかね、友人Aよ」
カクンと力なく首を傾げた少年は寝言のようにつぶやく。
「何を寝ぼけたことをいってるんだか」
「そりゃ、僕は万年寝太郎だからね」
「じゃあ、氷のやすりでも取ってこようか?」
「袋を忘れないようにね。あとあそこのボスは強いから復活の呪文はメモしなよ」
「はいはい」
しゃらんと髪が揺れる気配がした。
「ファミコンなんて十年以上やってないもんね」
薄目開けてみれば、三白眼が目に入った。それから長いポニーテール、というか寧ろ長すぎてポニーどころかサラブレットテールかとまごう黒髪。
「雨やまないかなー」
「いいんじゃないかな。もう少しゆっくり出来るし」
「あんたは寝たいだけでしょ」
「うん? さぁ、どうだろうね?」
御題なんてなかった。