9-ベスフレ ギャル子と初めての共同作業
目のギャル子さんは私に興味津々。
新しくお友達ができれば、その人のことを知りたくなるものよね。
「えっと、クリティカル率がフレンド欄の空き✕1%上昇するのと、器用さパラメーター以外の全てのパラメーターに器用さ分上乗せする効果だよ」
「それマジなん!ヤバい、ヤバすぎる」
「そんなにヤバいの?」
「当たり前じゃん、だってフレンドに依存しないで、ステータスを上昇だよ。器用さ盛るだけで。他の盛るのと同じってことじゃん」
「でも、フレンド百人入れば全パラメーターが2倍でしょ?そんなに変わるかな?」
フレンドがいない私は友達運の恩恵を知らないから、いまいちピンと来ないんだよね。
「フレンド100人が理想だけど、その独りでも死んだり殺したりしたら、フレンドであるアタシにデスペナがくんだよ。スキル熟練度が下がったらやり直しとかダルから、契約フレ買ってステータス持ってんのよこっちはさ」
契約フレとはいかに?
「フレンドをお金で買うの?」
「そう、規定の期間、死なない、殺らないを約束して、アイテムとゲーム内通貨でやり取りすんの。何もしなくても稼げるのがメリット」
「と、友達をお金で買うだと……」
そんな手があったなんて知らなかったよー!
じゃあ、あの強さを求めて孤独な毎日を過ごしていたのは無駄だったのか?
でも、契約フレンドって、要はリスクのない装備品になるから、対価を要求してるんだよね?
なら、友達になってほしいから、契約した場合はどうなるんだ?
援助交友?
それは私が求めているもの?
「おーい、どうした。生きてるかー」
ほっぺを指で突かれました。
「お、意外とぷにぷに」
ヤバい、ギャル子さんを好きになってしまいそう。
「ギャル子さん私達は友達です、そういうのは恋人同士でやるものです」
「初対面のアタシにセクハラした子の発言とは思えなーい、ね。じゃあ、恋人になろうぜ。アタシが天国見せてんやんよ」
抱きつかれました。背中に柔い感触もあります。
「ははは、初々しいくて可愛いー。サファイアちゃん、からかうの楽しー」
弄ばれました!
「ギャル子さん……」
「ごめんって可愛くって、調子乗ったー、チョコあげるから機嫌直してっちょ」
「私、一度執着したら絶対離さないんです」
「そうなん?昔買ってもらったヌイグルミいつまでも捨てれんタイプだー」
「はい、クマのプースケは私の友達です」
「名前つけるタイプだ、アタシもつけてたよ」
「ギャル子さんは、私の『友達』ですよね?」
「当たり前じゃん」
「友達は好き同士ですよね?」
「じゃないとなんないって」
「ふひ、ふふふ、じゃあ、嫌いにならないでくださいね。私、ギャル子に嫌われたら、泣きます」
死ぬ前に泣いちゃうと思います。
「サファイアちゃん、可愛いね。あと、アタシの名前はギャル子じゃないからちゃんと覚えようね。アタシの名前は――」
「ギャル子が友達になったァァァ、私の1500時間は無駄じゃなかったよ!」
もう、リアルだろうとゲームだろうとどっちでも、
よくなった。
エロくて柔らかい、私に優しいギャル子が、いるなら、この繋いだ手を死ぬまで離さないようにしないとね。
「サファイアは、嬉しーのは分かるんだけど、抱きついて匂いを嗅ぐのは、止めてほしいかも」
初めて出来た友達から、甘くて蕩けそうなラベンダーの匂いがしました。
遂に、現実で友達ができました。
名前はギャル子、本名は……あれ、何だっけ?
そんなことは私の友達に対する愛の前では些細なことよ。
大事なのは私がギャル子を大切にすることだ。もし、名前を覚えてないことがバレて捨てられもしたら、この純潔を散らしてでも捨てないでぇー、って泣く。それでも駄目なら死ぬ。
★☆
今日は、ベスフレでギャル子さんと合流することになりました。
私はレッドネームであるため、町では警戒態勢を敷かれて落ち着けない。
比較的弱いモンスターが出る、始まりの森入り口で集合することになっています。
楽しみすぎて、二時間前から待機している所存です。
お腹が空きました。
まだまだご新規さんが参入しているのか、チラホラと初心者さんとすれ違います。
すれ違うたびに、目を逸らされてしまうのはきっと、レッドネームだからでしょう。
セーフティエリア外なら騎士団へ通報されることはありませんし、大丈夫だと思ったんですが、まさかレッドネームがここまで忌避されるものだなんて知りませんでした。
「ヤッホー、サファイアちゃん!」
私に駆け寄ってくる清楚系お姉さんがいます。
名前はルビーです。
私はサファイアです。
これはお友達チャーンスなのでは!
「あはは、レッドネーム表示したまま突っ立てるってどんな嫌がらせなん? おもろ!」
ギャル子さんみたいな喋り方ですね。
「サファイアちゃん、小さい、可愛い、マジ天使!」
凄く褒めてくるぅ!
「あ、あ、あのー、私、待ち合わせしてるのにで……」
「ダネー、だから来たよ?」
「…………」
「どしたー?」
「もしかして、ギャル子さん?」
「あはは、気づかれてなかったー。ギャル子さんでーす。あ、こっちじゃルビーだよ」
見た目が清楚なに仕草はギャル子さんだった!
あわわ、私、一緒の墓にはいる予定の友達を見間違えるなんて、どどど、どうしよう。
「見捨てないでぇ〜」
「いや、来たばかり!」
慌てた私をあやすように、頭を撫でるギャル子さん。
人に頭を撫でられるって悪くないと思ったサファイアです。
「あ、フレ申請するね、ヨットっ」
ピコン、とフレンド申請のメッセージアナウンスが流れました。
…………初めて見ました。フレンド申請って都市伝説じゃなかったんですね。
こんな【ぼっち】しか取り柄のない私にフレンド申請、嬉しさのあまり、フレンド申請を許可しようとしたとき、ふと思う事がありました。
「私、レッドネームだよ? 一緒にいるメリットないよね?」
私はレッドネーム、セーフティエリアでは常にかくれんぼ&鬼ごっこ、捕まれば、約5日以上は牢獄生活するんだよ。そんな私はもうPK(モンスターPK専門)しか楽しめる要素がない。
「えー友達にメリットとかなくない? それに、私もPK興味津々なんだよね」
「私に興味津々! ぐふぇ……ふぇふぇ」
「それにねー、アタシ引退しようと思ってたから、丁度よかったんだよね、転向ってやつ?」
「引退しちゃうですか! 私泣くよ!」
「どーどー、そう思ってたけど、サファイアちゃんがPKやるって聞いたからさ、どうせ辞めんなら、PKでもやってやろうと思ってさ、フレンド全員切ってきたんよ」
フレンドを全員切ってまで、私との友情を大切にしてくれるってこと!
「新婚旅行は海の見えるホテルがいいです!」
「フレンドなー」
私にとって初めてのフレンド。
1500時間の集大成、すっごく遠回りした気がするけど、大切なのは今!
私、サファイアは今日からNEWサファイアになります。
「えい」
――プレイヤー【ルビー】とフレンドになりました。
――条件を満たした為、【ベストフレンド】を習得しました。
「世界が私達を祝福してくれてよ、ギャル子さん」
「し、し、し……」
「ししし?」
「新スキルきたー! 見たことないよこれ!」
ギャル子ルビーも世界が祝福してくれたことが嬉しいみたいで、サファイアも嬉しいな。




