6-「PKを250人執行したら、騎士団の警戒レベルが上がった件」
このゲームは絆をテーマにしてる。
だけど、PKが可能だ。
その当たりが製作者の性格の悪さが滲み出てくる。
PKをすれば、加害者のフレンド全員のスキル熟練度が7割減少する。
プレイヤーはリスポーンすると、フレンド全員の
スキル熟練度が1割減少する。
自分の失態はフレンドの損失に繋がる。
そこで、絆を試す。
ぼっちの私には今まで縁がなかった要素。
もちろん、PKばかり続けていると、フレンドは離れていく、フレンドがいなくなれば弱くなる。
リスポーンすると、アイテムのいくつかを現地に落としてくる仕様だからといっても、友達の信頼を天秤にかけてまでする価値はないと思う。
けど、その抜け道が実はある。
モンスターのヘイトを押し付けて、狩るのがこの世界でのPKの主流だ。
なら、私がPKさんを殺っちゃっていけばいい。
サファイアはぼっちだから、失う信頼なんかない。
私がPKさんを殺る。PKさんは信頼を失って弱くなる。結果、危険区の治安が良くなる。
まるで、陰から世界の秩序を守るみたいだ!
それができれば、助けた人が私にフレンド申請してくれるかも、きゃー!
「いくぞ、殺るぞ、殺しちゃえ!」
私、サファイアは元気に危険区のフィールドへ駆けていく。
★☆
「うわっ!何が起きた!このエリアにこんな速いモンスターなんていないだろ」
明らかにモンスターを他プレイヤーに誘導してる迷惑さん達を発見したので木と木を鞭を使って、立体機動的に駆け巡る。
残った最後に強烈ドロップキックをかましてやった。
あとは蹴りを何度も入れたらプレイヤー達の死体の完成だ。
「ジャングルの王者になった気分だよ。これクセになりそう、ふふ」
何度も蹴り攻撃をしていたから【打脚】のスキルを習得した。蹴りの威力を1%上げてくれるらしい。
「もうスキルのレベル上限上げられないから、レベル1の【打脚】だね。いらないなー」
そして、もう一つ、【体幹補正】のスキルを習得した。
「こっちは、【体幹補正】か、器用さ✕1%分の+補正、微妙だな」
どれもこれもレベル1、微妙は当然だが、このゲームのスキルにはそれぞれ基礎ステータスに+何かしらのパラメーターが上昇する効果がある。持っていて損はない。
「塵も積もれば山と撫子。文句は垂れる前に、PK撲滅だー!」
その日、危険区からモンスターPKはいなくなった。
☆★
私はサファイア。
懸賞首……レッドネームになりました。
レッドネームが何かと言うと、悪い子です。
PKを働いたプレイヤーに与えられた刻印。
牢屋に連行され、刑務作業を終えるまで、自由になれません。もちろんログアウトはできるけど、ログインしたら、牢屋の中です。
「うわー、捕まったら友達作れないよー!」
もうこれ、最強になって、向こうからフレンド申請してもらうのが無理になったよ……ね?
「刑務作業は、1人につき、三十分。私が狩ったのは250人弱だから……7500分か、えっと、1時間が60分、10時間で600分、100時間で6000分、1500分が6000分の四分の一だから、25時間、計125時間か…」
大体、五日ゲーム時間で過ごすなんて普通に嫌だ。
「こうなったら、捕まらないように特訓しかないね。私が強ければ、問題なし……友達は……なんとかなる!」
世の中にはダークヒーローなんてものがある。
私の活動が認められれば、お友達になれるかもしれない!
フレンド申請はもう私をフレンドにするメリットがないから諦めるしかないけどね……
★☆
町に入るや否や、警告メッセージが流れた。
――プレイヤー【サファイア】はレッドネームです。町にいる間、通報されてしまうと騎士団がやってきます。捕まると牢屋で罰を受けることになるので、名前を非表示にすることをおすすめします
「…………あ、私犯罪者だった」
名前を隠す。なんかカッコいい。影の支配者みたい。
名前を隠してと……これでよし。
「これで騎士団に通報はされないね」
ルンルン気分で町へ歩き出す。
★☆
何故だろう、すれ違うプレイヤー達が私を見ている。
正直、私の装備はどこにでも売ってるような汎用装備だ。
珍しくもないだろうに。
「失礼、この当たりに不審な者がいると通報がありました。何か心当たりはありません?」
NPCの騎士団に話しかけられた。どして?
「…………」
「ネームを非表示にされていますので、確認のために来ています。開示していただきたい。よろしいですか?」
よろしくないですね。
私はアイテムの煙玉を使い、【加速】【打脚】を同時使用して、駆け出した。
――騎士団の警戒レベルが1上がりました。巡回する騎士団がフィールドに増えます。
そんな仕様聞いてないんだけど!




