2-【悲報】私の1年間の努力、ユニークスキルのせいで無に帰す
特別な一人になるため。
私、前野サファイアが見つけた一つの答え。
皆が考えた最強になる!
扱う難易度が高い、鞭か弓のどちらかを使う。
器用さパラメーターを重視に伸ばしていく。器用さが高いとクリティカル率が上がるみたい。
鞭なら麻痺や毒など追加効果が強いスキルが多いから、高確率で相手に与えることができる。
弓なら遠距離から鞭と同じことができる。
私は最強になりたい。
鞭を持った女の子って強い女王様みたいなイメージもあるから、この方向で頑張ることにしました。
しかし、私が選んだのは、『友達ができるまでネタビルドで頑張る耐久』をやっているようなもの。
成長の記録という言い訳で、生配信してみた。
もちろん、私から画面の向こうにいるかどうか分からない人たちに声をかけることはない。
あくまでも、私がこの苦行を続けるための言い訳だ。
――そして、プレイ時間1500時間を迎えようとしていた。
私は約一年近く、毎日、作業のように、同じことを繰り返した。
初めはスライム、攻撃がミスを連発、初めて倒すのに五日もかかった。
次は、ゴブリン。集団でリンチされて、五十回くらい死んだ。子どもサイズのモンスターに襲われるのは恐怖だったけど、
これはゲームだ、やり返していいんだと、自分を鼓舞して、二週間後初めて倒せた。
嬉しかったのを今でも覚えてる。
とにかく、器用さに繋がるスキルの習得と修練をつみ続けた。
一人遊びは昔から得意だ。
時には一人ピクニック。時には魔物にイジメられて、やり返した。
アウトドアは苦手だけど、VR世界なら、すぐに家のベッドに帰れる。最高だった。
ゲーム中は常に配信してるんだけど、自分でも配信設定してることを途中から忘れていた。
――【ぼっち】のスキルを習得しました
システムアナウンスが私の前に現れた。
「そんなの知ってるよ!ついにシステムにもお前は【ぼっち】だなんて言われる日が来ちゃったよ……もう、なんなのさ、そんなスキルあるって聞いたこともないよ。ソロで1500時間、友達作りを前提としたゲームを、孤独に遊んでた私への皮肉だよ」
シクシクな私の心とは裏腹に、もうすっかりゲーマーな私。
取り敢えず、スキルを確認してみた。
「……は?何これ? 『フレンド欄の空き✕1%』クリティカル率上昇、『全てのパラメーターに器用さ分の数値』が加算される」
この時の私は震えていた。
「――ふざけんじゃないわよ。私はクリティカル率を上げるために、器用さ全ブッパなのよ! フレンド欄にフレンドの名前がない私が使えば、クリティカル率100%じゃない!私の一年間返せー!」
【ぼっち】の説明欄に叫んでいた。
このスキルの異常さに気づかず、この一年の苦行を延々と嘆いていた。
まるで、お前のやってたこと意味ねぇよって言われた感じがしたから。
今からキャラ作り替えて、やり直す気力はない。
それにこの一年間、私はこのキャラとして生活した思い出がある。
友達作りは諦めよう。
そう言えば、友達づくり耐久(ログイン中のみ)をやってたな。
「私はもう友達作りを諦めます。この世界の日陰者として生活していく所存です。見てくれてる方がいるか分かりませんけど、今までありがとうございました」
そうして、サファイアの『縛りプレイ友達作り耐久』の配信は幕を閉じた。




