1-友達を作るために、まずは誰とも友達にならないことを決意した。
VRMMO【bestfriendonline】
その響きに、私、前野サファイアは心惹かれた。
親がつけたサファイアという名前を呼ばれたくなくて、ずっと名前を呼ばれることを避けているうちに、ひとりぼっちになった私にはクリティカルヒットだった。
これなら、サファイアと呼ばれても変ではない。
友達作りのゲームかなと何も調べず、勢いに任せて私は手を伸ばした。
経験値や素材などを求め、モンスターを倒すのが目的のゲーム。
それを補助するためにシステムがあり、レベルやパラメーター、スキルと熟練度、そして、友達運と呼ばれるシステムがある。
友達運以外の要素は『義務教育か!』って、ツッコミを入れるほど漫画やアニメで誰でも知ってる。
この友達運は特殊で、簡単に言えば、友達の数だけ強くなるシステムだ。
たぶん、メリットは強くなる、ステータス数値の上昇、経験値と熟練度の獲得量が増える。
キル&デスペナルティは、フレンド全員のスキル熟練度が減少する。やらかした本人はお咎めなし。
これの重要性は分からないけど、皆、ステータスのためにフレンドを作っているのかもしれない。
さすがベストフレンドを冠するだけ、友達に依存するシステムがあるみたい。
まさに「一蓮托生」だね。
「……これ、私みたいな素人が誰かとフレンドになったら、相手に迷惑をかけちゃうんじゃ……?」
私がモンスターに負けて死んだら、その「フレンド」の熟練度が減ってしまうのだ。
「……よし。まずは一人で、誰の足を引っ張ることもないくらい、絶対に死なないくらい強くなろう」
そう。私は、友達を作るために、まずは誰とも友達にならないことを決意した。
それからは、私の孤独なゲーム生活の始まりだ。
一定水準の強さを手に入れるため、モンスターに特効を仕掛ける。
もちろん、運営の想定しない遊び方で難易度は爆上げ。
有名なRPGに出てくる道具屋の言葉を思い出す。
装備は(フレンド)しないと意味がない。私はフレンドがいない。
こんなの、縛りプレイじゃん。誰にも観てもらえない縛りプレイじゃん。私がVチューバーなら、それなりの需要はありそうだけど、誰かに監視されながらゲームとかイヤーァァァ!
頼れるのは掲示板とか攻略サイト。
人より目立って、『フレンドになってください』って相手から言わせる。
なら、『私は喜んで!』て承諾する。
そのためには最強になればいい。
皆の最強のビルドを片っ端に調べ、オンリーワンを見つけちゃった。
あまりの鬼畜仕様みたいだけど、これで成功すれば、皆の注目の的だ!
ふふふ、完璧な友達の作り方だね。リアルと違って、私の努力はシステムが認めてくれる。
私は最強になって、友達になって下さいって言わせてみせるんだ!




