表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話:転生の賭け、惨敗の始まり

俺の名前は佐藤カズヤ。28歳、無職。いわゆるニートだ。毎日部屋に引きこもり、ゲームとアニメとネットサーフィンで時間を潰す生活。親の仕送りで何とか生きてきたけど、ある日、コンビニ帰りに信号無視のトラックにぶつかって……死んだ。はい、テンプレ異世界転生の始まりです。

暗闇の中で、ふわふわとした感覚。目を開けると、そこは白い空間。目の前に浮かぶのは、美しい女神様。金髪のロングヘア、青いドレス。まるでアニメのキャラみたいだ。

「ようこそ、異世界へ。佐藤カズヤ君。あなたは不幸な事故で命を落としたけど、私が特別に転生させてあげるわ。チートスキルも一つ授けるわよ。」

女神がにこやかに言う。俺は興奮した。マジかよ! 異世界で無双できるチャンス! 「え、どんなスキル? 無敵の剣士とか、究極魔法使いとか?」

女神がくすくす笑う。「ふふ、あなたみたいなニートにピッタリのスキルよ。『ギャンブル』。戦闘前に発動すると、ランダムで職業、武器、防具、魔法が設定されるの。強いのも弱いのも運次第。でも、使わないとずっと初級戦士のままよ。初級の剣と革鎧だけ。がんばってね!」

「え、待って。それチートなの? ギャンブルって、リスク高すぎじゃん!」

女神が手を振る。「文句言わないの。運が良ければ最強になるわよ。じゃあ、バイバイ!」

視界がブラックアウト。次に目覚めたのは、深い森の中。木々が空を覆い、陽光が斑に差し込む。地面は湿った土と落ち葉。遠くで獣の咆哮が聞こえる。体を起こすと、軽い。着てるのは粗末なシャツとズボン、革のブーツ。腰に短剣が差してある。

「ステータス……オープン?」

試しに呟くと、青いウィンドウが浮かぶ。

【名前:カズヤ(転生者)】

【レベル:1】

【職業:初級戦士】

【HP:100/100】

【MP:50/50】

【力:10】

【耐久:10】

【敏捷:10】

【知力:8】

【幸運:5】

【スキル:ギャンブル(ユニーク) - 戦闘前に発動。ランダムで職業/武器/防具/魔法を設定。失敗時瀕死で再発動可能。】

「幸運5って、低すぎだろ……ニートのステータスかよ。」

ため息をつきながら森を歩く。まずは街を探さないと。木の根を避け、枝を払う。汗が額を伝う。ニート生活で運動不足だった体が、意外と動く。転生ボーナスかな?

突然、茂みからガサガサ音。飛び出してきたのは、角の生えたウサギみたいなモンスター。体長1メートル、赤い目で俺を睨む。角ウサギか?

「ギュイイイ!」

そいつが突進してくる。俺は慌てて短剣を抜く。「くそ、戦うしかないか……スキル、ギャンブル発動!」

視界にルーレットみたいなものが浮かぶ。職業、武器、防具、魔法のスロットが高速回転。止まる。

【職業:農民】

【武器:鍬】

【防具:藁帽子】

【魔法:なし】

「農民!? 何これ、弱すぎだろ!」

角ウサギが角を突き刺してくる。俺は鍬で受け止めるが、力負けして転がる。HPがガクッと減る。70/100。痛い! 体が熱い!

「マジかよ、こんなんで死ぬの? 女神、ふざけんな!」

角ウサギが再び突進。俺は藁帽子を被ったまま逃げ回る。木に隠れ、鍬で叩くが、ダメージ薄い。HPが30/100まで落ちる。息が荒い。汗だく。ニートの限界だ。

「瀕死……これが条件か! 再発動、ギャンブル!」

ルーレットが再び回る。今度は敵に合わせた設定らしい。止まる。

【職業:獣狩人】

【武器:狩猟弓】

【防具:革の胸当て】

【魔法:獣感知】

体が熱くなり、力が湧く。弓が手に現れ、矢を番える。「よし、今度こそ!」

角ウサギの動きがスローモーションみたいに感じる。獣感知のおかげか。弓を引いて射る。矢が角ウサギの首を貫く。一撃で倒す。

【経験値獲得:20】

【レベルアップ:レベル2】

【力+2、耐久+2】

「はあはあ……命からがら勝ったよ。ギャンブル、怖すぎるわ。」

角ウサギの死体から角と毛皮を剥ぎ取る。インベントリに収納。森を進む。木々がまばらになり、道が見える。遠くに煙。村だ。

村に着く。小さな木造家屋、畑、井戸。人々が働いている。入り口で、槍を持ったおっさんが止める。「おい、旅人か? 怪しいな。」

俺は息を整え、「ええ、森で迷って。助けてください。」

おっさんが睨むが、角ウサギの角を見せると表情が変わる。「そいつを倒したのか? やるじゃん。入っていいぞ。俺は村長のガード、ベンだ。」

村の中。子供たちが好奇の目。女の子が駆け寄る。「お兄ちゃん、冒険者?」

「まあ、そんな感じ。」

ベンが案内する。「宿屋で休め。夕食は俺のおごりだ。」

宿屋は木の小屋。ベッドに横になり、今日を振り返る。ニートが異世界で戦うなんて、夢みたい。でも、ギャンブルのリスク……次はもっと慎重に。

夕食時、村人たちとテーブルを囲む。スープ、パン、肉の煮込み。うまい。隣に座ったのは、金髪の少女。アリア。青い瞳、村娘の服。「あの、ありがとう。森のモンスター、最近増えてて怖かったの。」

俺は笑う。「いや、俺も危なかったよ。運が良かっただけさ。」

アリアが目を輝かせる。「運? それ、スキル? 私、魔法が少し使えるの。見て!」

彼女が手を振る。小さな水玉が浮かぶ。「これくらいだけど。」

「へえ、すごいじゃん。俺のスキルはギャンブルみたいなもんだけど。」

ベンが割り込む。「冒険者ギルドに行くなら、隣の町だ。明日、馬車が出るぞ。一緒に行け。」

アリアが頷く。「私も町に行くよ。一緒にどう?」

「いいよ。よろしく。」

夜、ベッドで考える。ニート生活は終わった。ここでチートを活かす。だが、ギャンブルは予測不能。カズマみたいに、失敗続きになるかも……いや、それも面白いか。

朝、馬車で町へ。道中、狼の群れに襲われる。「またかよ! ギャンブル発動!」

ルーレット回る。【職業:商人】【武器:秤】【防具:革財布】【魔法:値切り】

「商人!? 戦えねえよ、これ!」

狼が飛びかかる。HP減る。瀕死で再発動。【職業:狼殺し】【武器:銀の短剣】【防具:毛皮マント】【魔法:獣威嚇】

逆転勝利。経験値ゲット。レベル3。

アリアが驚く。「カズヤさん、すごい! でも、危なかったね。」

俺は苦笑。「運だよ、運。ニートの運命さ。」

町に到着。石畳の道、市場の賑わい。ギルドは大きな建物。中に入り、カウンターの女性に登録。「名前はカズヤ。よろしく。」

カードをもらい、Fランクスタート。「これから冒険だ。ギャンブルに賭けるぜ。」

アリアが微笑む。「一緒にがんばろう!」

こうして、俺の異世界ニート脱出生活が始まった。チートは運次第。でも、それが面白い。

(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ