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6機目

翌日、お昼の休憩中にゲームへログインする。

イニシャライズが完了しカメラが起動すると、そこはまだオルレア嬢の部屋の中だった。

また、俺のロボットはてっぺんからタイヤまで、ピカピカに磨き上げられていた。

以前はオルレア嬢の部屋から出るとカピカピになっており、原因に気付かず視界が悪いのでメンテナンスに行ったら技術者に不審がられたものだ。

ピカピカの反対はカピカピ。


当のオルレア嬢はベットの上で毛布に包まって眠っていた。

あどけない寝顔を軽く拝み、起こさないように静かに部屋を後にする。

艦内を少し走り、廊下の突き当たりの奥に設置されている、俺の定位置の充電ドックに接続する。

ドックから艦内ネットワークにアクセスすると、見慣れたホーム画面が映し出される。

『Welcome! ドーン・オブ・ジェム』

ちなみにドーン・オブ・ジェムはこの艦の名前だ。

ダサすぎる、言っておくが俺がつけたんじゃないからな。

この画面ではミッションの確認から武装の選択、ノーズアートの変更など色々なことが出来る。

次のミッションの予定を確認すると、明日の朝11時から偵察任務が予定されていた。

偵察じゃあ戦闘はないかな?と参加を見送ろうか考えたが、昨日大佐からよろしくと言われたのを思い出して少し考え、まあ行くか、とエントリーしておく。


その後、1時間ほどシミュレータ機能で腕が鈍らないように模擬戦を行い、ログアウトした。

「対戦ありがとう御座いましたっと、この人強いんだよな〜」

シミュレータではエントリーしている猛者と通信対戦が可能で、最近はルナシスという登録名の人と良く対戦している。

10回やって1-2回勝てるかどうかという戦績だが、強い人とやる方が上手くなるし、新しいマニューバを見せると更に進化させて返ってくるのでつい時間を忘れて没頭してしまう。

まあ向こうとしては弱いやつなんかとやりたくかもだけど、対戦部屋から出ないので多分、いやきっと大丈夫なはずだ。


おっと、そろそろ仕事に戻らないと。

明朝のミッションのために今日は残業かな。


朝8時、ミッションの3時間前になり、作戦室でスペースシップパイロットのブリーフィングが始まる。

参加せずとも後でドックに接続すれば内容を確認できるが、オルレア嬢のことが少し気になり、参加してみた。

俺は部屋の隅っこの席に座っている彼女の隣に移動する。

ボソッ『リオ様、いらしたのですね』

緑ランプを点灯させると、彼女はよしよしと、硬質な俺のボディを撫でてくる。

いや俺の方が撫でたいんだが!その銀髪を!

作戦室にいる人間はパイロットのためほぼ全員髪の色素が薄いが、ちらほら髪色が濃いパイロットも混じっている。

彼ら彼女らはお洒落に気を遣っており、染めているのだ。


大佐の隣の真面目そうな女性中佐が時計を確認している。

ザワザワ

『大佐、定刻です』

シーン

『では本日の偵察ミッションのブリーフィングを始める。本艦の進路の近くで重力子の波動を検知した。グラビトンリアクタの発する波動の懸念があることから、偵察を行い本艦の安全を確保する。一度のみの反応のため、何もない可能性もあるが不安は払拭せねばなるまい。場所は……ココだ』

大佐の後ろのモニタで、本艦の進路が、帯状の何かの近くを交差する。


ボソッ『小惑星ベルト、か。厄介だな』

『大尉、発言は許可されていない』

真面目な中佐がピシャリと釘を刺し、大尉と呼ばれた男が両手を上げて降参をジェスチャーする。


『まあまあ……。そう小惑星ベルトだ。ここに有人機でも潜まれて寝首をかかれるのはゾッとしないだろう。そしてコレが望遠で撮影した目標の小惑星ベルトの状態だ』

惑星にしては小さな岩が、割と密度高めに浮遊している。

リアクタを停止していればもしかすると艦艇からではセンサで見つけられずに接近を許してしまう可能性がある。

『というわけで第2中隊とロベール大尉の小隊で小惑星ベルト内をマッピングしてもらう。2機1組のセルでウイングが偵察装備とする。ロベール大尉』

『…ハッ』ピーシッ

先ほど怒られていた大尉が起立敬礼する。

敬礼がゆっくりでちょっと怠惰が透けて見える。

『貴官のバードトレイルを含めて、2機だけは修理の都合がついたが、まだ第3中隊は人員もシップも補充は十分ではない。今回はオルレア少尉の分隊と小隊を組むように』

『了解しました』

『メグノーリャ中佐、第1中隊は本艦の直掩で待機だ』

『ハッ』ピシッ

大佐の横の真面目中佐が綺麗かつ高速の敬礼を行う。

大佐はうむっと頷き、全体に向き直る。

『質疑はあるか?……では、解散』

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