表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

3機目

作戦室の前に着き、2人――ではなく1人と1体で入室する。

中ではパイロットの上官である大佐と技術士官の少佐が待っていた。


『オルレア、リオ特別操縦官、帰投しました』

オルレア嬢がピシッっと敬礼する。

俺も一応緑ランプを点灯する。

自分はロボットなので軍属ではなく備品扱いで、階級はなく特別操縦官という役割を拝命している。


『掃討任務ご苦労。楽にしたまえ』

大佐は40後半のナイスミドルである。

『ドローン12機の撃墜、機体への損害なし。素晴らしい成果だ。他の隊の協力もあって、これで先日の遭遇戦にて散った敵戦力はあらかた掃討されたであろう。我らの艦は少し遅れたが予定通りの航路で進駐する。貴官の中隊は損耗が激しいので補充が完了するまで威力偵察を主な任務とし、本命の襲撃作戦は別の中隊で行う。――まあ補充も計画されているから少しの間我慢してくれ』

『承知しました』

緑ランプをピコーン


少し待って30歳くらいの眼鏡美人の少佐が口を開く。

『では続けて私から。コホン、おめでとう!圧電ブザーつけていいってさ〜』

バシバシと俺の外殻が叩かれ、画面が揺れる。

ブザー?ビープ音を流すことが出来るようになるのか?

『ありがとう御座います』

ああ、オルレア嬢がお願いしてくれたのか。

『でも鳴るかどうかは分かんないよ〜』

『大丈夫です、リオ様には意思がありますから』

『ふ~ん、ただの重力子の波形なんだけどね〜』

そういう設定なのかな?

『とりあえずもう一機の搬送ロボットを改造しとくから次の出撃後を楽しみにしといて〜』

一応、緑ランプを点灯する。

『ウーン、意思、あるのかな〜?』

眼鏡をずり下げた美人の顔が画面一杯に迫り、少し躊躇う。

遂にランプによるコミュニケーションが確立するときがk――

『……ま、そんなわけないか!』

――来なかった。原因はなんとなく予想がついている。

このロボットは俺がログインしていない間はきっとただの置物で、話しかけても一切反応がないんだろう。

いやまぁただ単にコミュニケーションは取れないっていう設定なだけなんだろうけど。

このゲーム、写実性が高すぎてついリアルと見紛ってしまう。


『他にはあるか?』

『発言よろしいでしょうか』

大佐が問うと、オルレア嬢から声が上がる。

『構わん、どうした、少尉』

『その……オレンジの行方は判明しましたでしょうか』

『オレンジ』は俺らが幾度も多数の犠牲を払って追い詰め、取り逃がしてきた、ボス級機体のことだ。

そして俺のウイングになる前から、オルレア嬢にはヤツとの間に確執があるようだった。

『確かな情報ではないが、この先の宙域で目撃情報があった。会敵する可能性はゼロではない。そのときは本艦の全機全力をもって撃墜する。……心配するな、皆、少尉と同じ気持ちだよ。よろしく頼むな』

『了解しました』ピシッ

皆か、何があったんだろう?言葉を発せないこの身がもどかしい。

『ではデブリーフィングは以上とする。解散』

ピシッ

ピコーン


『体調は大丈夫そう?』『はい、問題ありません』

オルレア嬢と技術士官が話しながら部屋を出ていく。

二人に付いて部屋を出ようとすると、大佐から声がかかる。

『リオ特別操縦官。……オルレア少尉を頼む』

頼むと言われてもなぁ、了解と緑色を点灯させ退室する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ