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白い雲の上にキミはいて  作者: 功野 涼し
夕暮れの河川敷で倒れる君と傷心の僕
9/103

3

 触らぬ神に祟りなし。


 目の前にいる女の子を見てその言葉が脳裏を過る。ならばとるべき行動は一つしかない。


 幸いまだこっちには気が付いていないようだ。


 そっと回れ右をして立ち去ろうとしたとき、慌てていたからだろうか、肩に掛けてあった鞄が棚に引っ掛かり、大きく揺らして商品が棚から落ちてしまう。


 その音で気付かれないわけがなく、僕と女の子は目が合ってしまう。


 最初は驚きの表情。だけどもすぐに僕と認識して河川敷でのことを思い出したのか冷たい目になる。


 どうしたものかと考えたが、目が合ったからには仕方がない。


「こんにちは」


 僕が挨拶をすると、女の子はジッと見ていたけども小さく会釈すると、すぐに商品の方に視線を戻してしまう。


 この反応にこのまま立ち去ろうか、それとも女の子を無視して僕の欲しい商品を選ぼうか悩んでしまう。


 様子を窺おうと視線を向けると、この間のジャージ姿とは違って制服姿の女の子が目に入る。僕の通う皆地(みなち)高校とは違う制服。


 記憶が確かなら、女の子と出会った河川敷の橋を渡った先の町にある、川西(かわにし)高校の制服だったような気がする。


「何かを買いに来たんじゃないんですか? それとも人のことをじろじろ見に来たんですか?」


 丁寧な言葉遣いの中に、ふんだんに盛られた言葉のトゲが僕の胸に刺さる。


 その言い方にムッとするが、制服見ていたのは事実だし、反論するのもお門違いだろうと言い聞かせここに来た理由を説明することにする。


「バスケの試合で足首を痛めたから、サポーターを見に来たんだ」


 女の子は商品を選ぶ手を止め、僕の方を向いてジッと見てくる。


 初めて女の子が僕の存在をしっかりと見て、瞳に映してくれた。そんな風に思ってしまいドキッとしてしまう。


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