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白い雲の上にキミはいて  作者: 功野 涼し
夕暮れの河川敷で倒れる君と傷心の僕
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2

 僕の声で、僕という存在に気が付いた女の子は上半身を起こすと、泥のついた顔で睨んでくる。


 それは当然の反応なのかもしれない。自分が自転車でコケる瞬間なんて、ただでさえ誰にも見られたくないのに、見られた挙げ句「あっ!」とか言われたら恥ずかしいのは想像に難くない。


 そもそも僕とこの子は知り合いではないから、赤の他人に不様な姿を見られたことで余計に恥ずかしいのかもしれない。


 それは分かるが、僕を非難しているように見る目が鋭くて、倒れた原因は僕ではないのだからなにもそこまで怒らなくてもいいのにと思ってしまう。


 正直この場から走って逃げようかとも思ったが、それをすると自分が小さな人間のようで惨めな感じもするし、余計に女の子を傷付けてしまいそうだから謝ることにする。


「ごめん」


 間違いなく謝ったはずなのに、僕の「ごめん」は耳に届いてませんといった感じで無視されてしまう。そのまま女の子は倒れている自転車を押し退けようとするので、手伝おうと思わず手を伸ばすとキッと刺すような目で睨みつけられる。


「触らないで!」


 鋭い一言に僕の伸ばした手は行き場を失い、宙を泳いでしまう。

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