追憶
━━あの日のキミもこんな空が見えていて、ゆっくり流れる白い雲の間から射し込む日の光が、こんなにも眩しく見えていたのだろうか?
泥だらけになって、擦りむいた膝小僧がチクチク痛むのに、それすら思い出になって。
一瞬なのに凄く輝いて、眩しくて、いつまでも心の中で煌々と輝いている。
あまりにも輝いているから、他の光が霞んで、心にくっきりとした影を刻んでしまう。
いつ以来だろう。こうやって河川敷の堤防になにも敷かずに寝そべるなんて。
大人になって、地面で寝転ぶ機会なんて、そうそうない。
だから忘れたと思ってた、忘れることができたと思っていた。
でもやっぱり、忘れてなかった。
あんなに近くにいたキミは遠くへ行ってしまったのに、ふとした瞬間に存在を感じてしまうのはなぜなんだろうね。
いたずら好きなキミだから隠れていても驚かないんだけど。怒らないから出てきてと言ったら出てきそう。
だけども怖くて言えない。
キミが残してくれたものが沢山あるから生きていける。
本当に感謝している。
でもあれはズルい。
気持ちが揺らいでしまったよ。
涙がこぼれないように上を向いてみたけど、それでもこぼれてしまうんだ━━