コロニーの危機
エストリウムの遺跡へと続く道は、長い間人が訪れていないのか、砂塵と崩れた構造物で荒れ果てていた。青年技術者の案内を頼りに、アスタたちは慎重に進んでいく。
「遺跡の入口はこの先だ。だが、そこにたどり着く前に……気を付けろよ。」
青年が足を止めて振り返る。その顔には、不安の色が浮かんでいた。
「どういう意味だ?」
アスタが眉をひそめて尋ねる。
「最近、妙な装置が設置されているんだ。侵入者を排除するためのセキュリティシステムだと思う。俺は運よく逃げ延びたけど……連中が仕掛けたものに違いない。」
「罠か……ますます厄介ね。」
カリーナが軽く息をつきながら、腰のエネルギー銃に手を添えた。
「ここまで来たんだ。引き返すわけにはいかない。」
アランが静かに言い放つ。その冷静な態度に、アスタも頷いた。
「俺たちで突破するしかないな。行こう。」
遺跡の入口に到着すると、そこには巨大な金属製の扉があった。その表面には、見たこともないような古代文字と、緑色に光るラインが走っている。
「これが……古代文明の技術か。」
アスタはその光景に息を呑んだ。
「待って。セキュリティシステムが作動している。」
青年が警告すると同時に、扉の両脇から複数のドローンが飛び出してきた。それらは機械的な音を立てながら、こちらにエネルギー弾を放ってくる。
「戦闘開始だな!」
アランがすかさずライフルを構え、正確な射撃で一機を撃ち落とす。
「アスタ、未来選択で安全なルートを探して!」
カリーナが叫びながら、ドローンの攻撃を避ける。
「分かってる!」
アスタは再び未来選択を発動。ドローンの動きを分析し、突破するための最適な行動をシミュレーションする。
「右の通路に逃げ込んで!その先に制御装置があるはずだ!」
彼の指示に従い、カリーナとアランが行動する。青年も勇気を振り絞り、端末を操作してセキュリティを無力化する試みを始めた。
「こっちは任せろ!」
アランがドローンの注意を引きつけている間に、カリーナが制御装置のあるパネルにたどり着いた。
「アスタ、未来選択で解除方法を見つけて!」
カリーナが焦りの声を上げる。
アスタは再び能力を発動し、10通りの解除パターンを分析する。その中で最も短時間で成功するパターンを見つけ出し、カリーナに指示を送る。
「その赤いボタンを押して、次に中央のレバーを下げるんだ!」
カリーナが指示通りに操作すると、ドローンの動きが一斉に止まり、金属扉が静かに開き始めた。
「やったな。」
アランが短く言い、再び冷静な表情を取り戻す。
扉の先には、広大なホールが広がっていた。その中心には、巨大な装置が鎮座している。装置の周囲には、古代文字と光るラインが無数に走っていた。
「これが……遺跡の中心部か。」
アスタが驚きの声を漏らす。
カリーナは端末を取り出し、装置のデータをスキャンし始めた。
「これは……古代エネルギーを制御するための中枢装置ね。でも、この規模は尋常じゃない。」
「尋常じゃないって?」
アスタが尋ねる。
「これを使えば、星一つをまるごと覆うエネルギーフィールドを展開できる。それが防御なのか攻撃なのかまでは分からないけど……」
カリーナが説明を続けようとしたその時、遺跡の外から再び振動音が響いてきた。
遺跡の外に集まったのは、謎の組織の追手たちだった。彼らは大型兵器を装備し、遺跡を完全に包囲していた。
「またか……やつら、執念深いな!」
アスタが叫ぶ。
「この装置を手に入れるつもりね。でも、そんなことは絶対にさせない。」
カリーナが銃を構えた。
「アスタ、君の力が必要だ。この状況をどう打開するか、早く決めてくれ。」
アランが冷静に言った。
アスタは再び未来選択を発動。敵の動き、仲間の配置、装置を守る方法を一瞬で計算する。
「アランは正面で敵を食い止めて!カリーナは装置を起動してフィールドを展開するんだ!」
アスタたちは全力で敵に立ち向かいながら、装置の起動に取り掛かる。カリーナが装置を操作すると、遺跡全体が光に包まれ、巨大なエネルギーフィールドが展開された。
「これで、奴らを阻止できる……!」
カリーナが叫ぶ。
エネルギーフィールドは組織の追手を遺跡の外に押し出し、彼らを撤退に追い込んだ。
戦闘が終わり、一息ついたアスタたち。しかし、装置が残したデータには、さらなる驚愕の事実が記されていた。
「これ……次のターゲットはノア・コロニーだ。」
カリーナが低い声で言う。
「……俺の故郷が危ないのか?」
アスタの声が震えた。
「急いで戻るぞ。奴らが何を企んでいるのか、確かめなければならない。」
アランが短く告げる。
こうして、アスタたちは急ぎノア・コロニーへと戻ることを決意する。彼らの旅は、さらなる危機と試練へと向かっていく。