仲間との共闘
エクリプスのブリッジに映し出されたホログラムには、先ほどの遺跡で得た星図が表示されていた。広大な銀河の中、ひときわ目立つ赤い点が浮かび上がっている。
「ここが次の目的地だ。銀河の辺境にある惑星……名前は『エストリウム』か。」
アスタがホログラムを見つめながら呟いた。
「エストリウムね。昔、採掘が盛んだったけど、今は放棄された星のはず。何でそんなところが鍵に繋がっているのかしら?」
カリーナが腕を組んで考え込む。
「鍵に近づけば近づくほど、敵の妨害も激しくなるだろうな。」
アランが静かに言う。彼はライフルの整備をしながら、戦闘の準備を進めていた。
数日の航行の末、エストリウムが視界に入った。その星は薄い灰色の大気に覆われ、表面は荒廃した鉱山や放棄された施設で埋め尽くされている。
「うわ……思った以上に荒れてるな。」
アスタが窓の外を見ながら驚きの声を上げる。
「採掘のし過ぎで環境が破壊された結果よ。もう誰も住んでいないはずだけど……」
カリーナが言いかけたその時、エクリプスのセンサーが異常を検知した。
「警告。付近に多数の反応を確認。敵艦の可能性があります。」
AIのルミナが冷静に告げる。
「またかよ……!」
アスタが舌打ちをする。
ホログラムに映し出された敵艦の数は3隻。いずれも中型だが、火力は十分に高そうだ。
「仕掛けてくる気だ。どうする?」
アランが尋ねる。
「こっちの船じゃ正面から戦えない。まずは惑星の大気圏に降りて、地上で対応しよう。」
アスタが未来選択を発動し、最も被害を抑えられるルートを導き出す。
エクリプスは敵艦の追撃をかわしながら、エストリウムの地表に着陸した。周囲は荒廃した採掘施設の残骸が散らばり、砂塵が舞い上がっている。
「ここを拠点に迎撃するわよ。」
カリーナが素早く地形を確認し、岩陰や施設の残骸を利用して隠れる位置を指示する。
「奴ら、降りてきたぞ。」
アランがスコープを覗き込みながら言う。敵の小型ホバーバイクが数台、地上に降下してくるのが見えた。
「よし、ここで迎え撃つ!」
アスタは再び未来選択を発動。敵の進行ルートを予測し、三人の動きを調整した。
敵の兵士たちが接近してくる中、カリーナが先制攻撃を仕掛けた。彼女のエネルギー銃が放つ光弾が正確にホバーバイクを貫き、一台が爆発する。
「さすがだな。」
アランが小さく感嘆の声を漏らしながら、狙撃ライフルで次々と敵を仕留めていく。彼の射撃は一撃必中。敵は近づくことすらできない。
アスタも岩陰から飛び出し、エネルギー銃を構える。未来選択を駆使しながら、敵の攻撃を避けつつ反撃する。
「よし……これで最後だ!」
最後の一人を撃破し、敵の動きが止まった瞬間、全員が一斉に息をついた。
戦闘が終わりかけたそのとき、近くの施設の残骸からかすかな物音が聞こえた。
「誰かいる……?」
アスタが声を潜めながら警戒する。
やがて、砂埃の中から一人の青年が姿を現した。肩にツールバッグを下げたその人物は、埃だらけの作業服を着ていた。
「撃たないでくれ!敵じゃない!」
アスタたちは一瞬警戒したが、彼が武器を持っていないことに気づくと、カリーナが銃口を下げた。
「あなた、こんなところで何をしているの?」
「俺はこの施設の保守作業員だ。昔からここで採掘機械の管理をしてる。だが最近、この星に妙な連中が来るようになって……逃げ場がなくて隠れていたんだ。」
彼は自分がこの星で長年作業を続けている技術者だと説明した。
「君、遺跡のことを知ってるか?」
アランが尋ねると、彼は少し驚いたように頷いた。
「ああ……この星には、古代文明の遺跡があるって噂だ。俺も一度見に行ったことがある。だが、そこで何かを見つけた奴らが争いを始めて、近づけなくなった。」
「争い……?」
カリーナが眉をひそめた。
「おそらく、我々が追っている組織の連中だな。」
アランが冷静に結論付ける。
「遺跡の場所を教えてくれるか?」
アスタが尋ねると、青年は少し考えた後、小さく頷いた。
「分かった。俺で良ければ案内するよ。」
青年の案内で、アスタたちはエストリウムの遺跡へ向かうことになった。道中、彼は遺跡についての知識や、この星に隠された秘密の一端を語る。
「遺跡には、ただの鉱石じゃない……何か特殊なエネルギーが関係してるらしい。それが銀河規模の技術に影響を与えるって噂もある。」
彼の言葉にアスタたちは改めて危機感を抱く。次なる目的地に待ち受けるのはさらなる試練と、鍵の謎を巡る新たな敵だった。