古代の遺跡に眠る秘密
遺跡の外に現れたのは、武装した兵士たちを従えた大型の軍用艦艇だった。その黒光りする外装には、何らかの組織の紋章が刻まれている。艦の周囲には、小型ホバーバイクを操縦する兵士たちが展開し、遺跡の入り口を包囲しつつあった。
「……予想通りね。あいつら、この遺跡を狙っていたのよ。」
カリーナが険しい表情で呟く。彼女の手はすでに腰のエネルギー銃に伸びていた。
「こうなることは分かってたけど、どうする?このまま突っ込むのは無謀だぞ。」
アスタは周囲の状況を見渡しながら声を潜めた。
「簡単だ。戦うだけだ。」
アランが静かにそう言い放つ。その顔には微塵も迷いがない。
「お前、やけに堂々としてるけど、どうやって切り抜ける気だよ?」
アスタが問い詰めるように言うと、アランは鋭い目でアスタを見つめ返した。
「君の能力があれば、この状況を突破できるはずだ。」
「俺頼みかよ……!」
アスタは呆れたようにため息をついたが、すぐに未来選択能力を発動する。
脳内で10通りの未来を描き出し、それぞれの結果を一瞬で分析する。敵の配置、攻撃のタイミング、逃げるルート――そのすべてを計算し、最適な行動を選び取る。
「左側の岩場を使って、そこから敵を分断する!カリーナはホバーバイクを止めてくれ。アランは右側から挟み込んでくれ!」
アスタの指示に従い、3人は同時に動き出した。
カリーナは素早くエネルギー銃を構え、正確な射撃でホバーバイクの動きを封じる。アランは重厚なライフルで敵の進路を断ち切るような射撃を行い、アスタは敵の注意を引きつけるように岩場を駆け回る。
「いい連携だ。だが、まだこれで終わりじゃない。」
アランが冷静に呟くと、大型艦艇が上空に位置を取り、強力なエネルギー砲を遺跡に向けて構えるのが見えた。
「まずい……あれが遺跡を狙っている!」
アスタは再び未来選択を使い、エネルギー砲を止める方法を探る。
その瞬間、遺跡の中から突然、振動音が響き渡った。内部で何かが作動し、遺跡全体が光を放ち始める。
「……何だ、これ?」
アスタは驚きの声を上げた。
「遺跡の装置が起動したのよ!私たちが奥で触れたせいかも……!」
カリーナが慌てた声で答える。
装置から放たれる光が空中に巨大なエネルギー場を形成し、周囲の空気が揺れるような感覚が広がる。その力は圧倒的で、組織の兵士たちも動きを止め、ただ見上げることしかできなかった。
「この装置、何をしているんだ?」
アランが警戒を強めながら装置を睨む。
「分からないけど、このままじゃ危険よ。遺跡全体が崩れる可能性がある!」
その混乱の中、武装兵たちが再び動き出した。エネルギー砲を発射する準備が整い、遺跡を破壊しようとしている。
「止めないと……!」
アスタは叫び、再び未来選択を発動する。
彼の視界には、無数の未来が広がる。その中には、自分や仲間が傷つくものもあれば、成功する可能性の低いものもある。だが、その中から最も成功率が高いルートを選び取る。
「カリーナ、右の兵士を頼む!アランは左からエネルギー砲の制御装置を狙え!」
3人はそれぞれの役割を理解し、息を合わせて行動する。アスタは素早く兵士たちの間を駆け抜け、気を引きつけることで仲間に隙を作る。
「よし、行け!」
アランの正確な射撃が制御装置を破壊し、エネルギー砲が沈黙する。カリーナも最後の兵士を片付け、戦闘が終わった。
戦闘が終わった瞬間、遺跡の装置が静かに停止し、光が収束した。そこには、遺跡の中心部から浮かび上がった立体ホログラムが現れていた。
「これ……何だ?」
アスタが近づくと、ホログラムには古代文字と共に星図が描かれていた。
「銀河全体の地図ね……でも、これが示しているのはただの星図じゃないわ。」
カリーナが解読を進める。
「……おそらく、この地図には銀河に隠された『鍵』が記されている。銀河全体を揺るがす秘密が眠っている場所よ。」
「『鍵』だって?」
アスタは驚きつつも、ホログラムをじっと見つめた。
「これで確信した。奴らの目的は、この鍵を手に入れることだ。」
アランが静かに言う。
「なら、その前にこっちが鍵を見つけて阻止するしかないわね。」
カリーナが冷静に答える。
アスタはホログラムの地図を見つめながら小さく息をついた。
「また面倒なことになりそうだな……でも、やるしかないか。」
こうして、次なる冒険の舞台が決まった。新たな手がかりを追い、銀河を巡るアスタたちの旅は、さらなる試練と謎を呼び寄せていく。