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星々の狭間での試練

銀河の広大な闇の中、アスタたちの乗るエクリプスは、目的地である惑星リサリアを目指して航行していた。


「古代文明の遺跡、か……そんなの本当にあるのかよ。」

アスタは操縦席で腕を組みながら、ホログラム画面に映し出されたリサリアの情報を眺めていた。


「確かに存在するわよ。」

カリーナが言い切る。彼女は後部席で腕を磨きながら、余裕の表情を浮かべている。


「銀河中の考古学者たちが探してきたの。古代文明は今の技術の基盤でもあるってね。その遺跡の中に、今回の陰謀と関係する手がかりがあるかもしれない。」


「手がかりがあるってだけで確証はないんだろ?だったら無理に行く必要もないんじゃないか?」

アスタは眉間に皺を寄せた。


「慎重なのはいいことだが、考えすぎると機を逃すぞ。」

そう言ってきたのは、レイヴンことアラン・グレイ少佐だ。彼は操縦席近くの壁に背を預け、腕を組んで冷静な表情をしている。


やがてエクリプスは目的地のリサリアへ到着した。薄青い空と、乾燥した砂地が広がる荒野のような星だ。


「ここがリサリア……遺跡なんてどこにあるんだ?」


アスタが窓から外を覗き込むと、ホログラムマップに遺跡の座標が表示された。


「遺跡はこの辺りから北に10キロほど。徒歩で進む必要があるわね。」

カリーナがそう言って荷物をまとめ始めた。


「徒歩かよ……まぁ、しょうがないか。」

アスタは不満を漏らしつつも装備を整える。エネルギー銃と簡易シールド、そしてナビ端末を持って準備を終えた。


砂地を歩くこと数時間。遠くに巨大な石柱が見えてきた。それは古代文明の遺跡の一部であり、入り口らしき構造物がぼんやりと姿を現している。


「すごい……こんな場所、本当にあったんだ。」

アスタはその巨大な構造物を見上げて呟いた。


「おそらく、何千年も前のものね。」

カリーナが説明を続ける。


アランは無言で遺跡の壁を触りながら慎重に中を見渡した。


「気を抜くな。この手の遺跡は罠が仕掛けられていることが多い。」


三人は慎重に遺跡の内部を進んだ。内部は驚くほど広く、天井からは崩れかけた石が時折落ちてくる。壁には古代文字が刻まれ、その一部がかすかに光を放っている。


「この文字……読める?」

アスタが尋ねると、カリーナは端末を取り出し、文字の一部をスキャンし始めた。


「解読には時間がかかりそうね。これ、古代のエネルギー技術に関する記述みたいだけど……」


彼女がそう言い終わらないうちに、遺跡の奥からかすかな振動音が響いてきた。


「……何だ?」


アランが身構える。振動音は次第に大きくなり、突然、壁の一部が動き出した。


「動力装置が作動したのか?」

アスタが驚いたように声を上げる。


「いや、違うわ。これ……セキュリティシステムが起動したのよ!」

カリーナが叫ぶと同時に、石壁から無数の小型ドローンのような装置が飛び出してきた。それらは鋭い音を立てながら三人に向かってくる。


「アスタ!早く未来選択を使って!」

カリーナが銃を構えながら叫ぶ。


「分かってる!」


アスタは再び脳内で複数の未来をシミュレーションする。ドローンの動き、攻撃を避けるルート、反撃のタイミング。すべてを一瞬で計算し、最適な行動を選び取る。


「アラン、右側から来るやつをお願い!カリーナは中央を!」


指示に従って、アランは正確な射撃で右側のドローンを撃ち落とし、カリーナは優れた反射神経で中央の敵を一掃する。


「アスタ、あんたの指示、結構いいじゃない。」

カリーナが少し息を切らしながら微笑む。


「調子に乗るなよ。まだ終わってない!」

アスタはさらに集中し、最後の一波を撃退するために動き続けた。


全ての敵を倒した後、三人は息を整えながらさらに奥へ進む。やがて、広大なホールのような場所に到達した。中央には奇妙な装置が鎮座している。


「これが……遺跡の中核部分か。」


装置は不規則な形状をしており、その表面には無数の古代文字が刻まれている。その中心部には、青白い光を放つ球体が浮かんでいた。


「すごい……これは、何かのエネルギー源ね。」

カリーナが興奮気味に声を上げる。


アランは慎重に周囲を見渡しながら、装置に近づいた。


「何かがこの装置を守っていたようだな。そして、その目的は今も不明だ。」


その時、遺跡の外から再び振動が伝わってきた。三人は一瞬緊張し、外の様子を確認するために戻り始める。


外に出た彼らが目にしたのは、大型の軍用艦艇。そして、その周囲に展開する武装した兵士たちだった。


「……奴ら、ここを追ってきたみたいね。」

カリーナが呟く。


アスタは息を呑んだ。この遺跡と謎の組織は、深く繋がっている。その核心に迫るため、彼らは再び危険な戦いに挑む必要があると悟った。



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