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謎の襲撃者

夜の惑星ベリル。人工的な明かりが薄暗い空を照らし、静まり返った市場の裏通りを、アスタとカリーナは全速力で駆け抜けていた。


「警報が鳴りっぱなしだな!」

アスタが息を切らしながら振り返る。背後には、倉庫の警備兵たちが追ってきているのが見えた。


「ちょっとミスったわね。でもこれくらい、すぐ巻くわ。」

カリーナは軽口を叩きながらも冷静だった。ギャラクシア・アリーナ上位者の名に恥じない身のこなしで、狭い路地を軽やかに跳ねるように進む。


アスタは「未来選択」を発動し、複数の逃走ルートをシミュレーションする。


「右に曲がって路地を抜けろ!その先に隠れる場所がある!」


「了解!」

二人は息を合わせて右へ折れ、薄暗い通路を駆け抜けた。追っ手の声が遠ざかるのを確認し、一息つくために影に身を潜めた。


「ったく、危なかったな……でも、あのスーツの男、一体何者なんだ?」

アスタは壁にもたれながら問いかける。


「さあね。ただの企業幹部って感じじゃなかったわ。おそらく、銀河全体に絡むもっと大きな組織の一部ね。」


カリーナは薄暗い表情でそう答えた。その眼差しには明確な怒りと不信感が込められている。


「それにしても、君の能力って便利ね。まさに予測不可能な逃げ足だわ。」

「そんなことないさ。使うたびに頭がクラクラするんだよ。」


アスタは軽く笑ってみせたが、疲労が隠しきれない。未来選択能力は確かに便利だが、その分、精神的な消耗が激しい。


「でも、追っ手が諦めてないなら、ここでぐずぐずしてる暇はなさそうだな。」


その言葉が終わるや否や、遠くからエンジン音が近づいてくるのが聞こえた。空中ホバーバイクだ。


「気付かれた!やっぱり撒ききれてなかったか!」


アスタは舌打ちをしながら身を乗り出すが、すでにバイクのライトが二人を照らしている。


「ここから逃げるのは難しいわね……なら、やるしかないか。」


カリーナが手元の端末を操作し、隠し持っていた小型のエネルギー銃を展開した。


「俺も何か手伝う!」


「なら、その未来選択能力で、どうやったらこの状況を抜け出せるか考えて!」



ホバーバイクに乗った追っ手たちは、すぐに攻撃を仕掛けてきた。エネルギー弾が二人の周囲を爆ぜ、火花が散る。


「未来選択!」

アスタは再び能力を発動し、敵の攻撃を避けるルートと反撃のタイミングをシミュレーションする。


「カリーナ、左側に隠れてくれ!俺が囮になる!」


「囮って、あなた馬鹿じゃないの!?」


「いいから信じろ!」


アスタは左へ走り出し、敵の注意を引きつけた。ホバーバイクが彼に向かって突進してくる。


「あと数秒……ここだ!」

彼は素早く地面に伏せ、バイクが自分の頭上を通り過ぎる瞬間を見計らって身をかわす。その直後、カリーナが正確な射撃で追っ手を一人撃墜した。


残る一機が攻撃を仕掛けようとしたそのとき――。


「よし、そこまでだ。」


冷静な声が響き渡る。次の瞬間、空中に光の線が走り、ホバーバイクの動きが止まった。その機体が揺れ、地面に不時着する。


「……誰だ?」


アスタが声のした方を見ると、そこに立っていたのは、ギャラクシア・アリーナで対戦した宿敵、「レイヴン」ことアラン・グレイ少佐だった。


「久しぶりだな、アスタ。そして……ファントムか。」


アランは軽く肩をすくめながら歩み寄る。


「なんでお前がここにいるんだ?」


「偶然だと思うか?」


アランは静かに笑った。


「君たちがこの星で問題に巻き込まれることは予測済みだった。そして、その背後には銀河全体に絡む危険が潜んでいる。それを追っているのが、私の任務だ。」


アスタとカリーナは、互いに驚いた表情を浮かべながら彼の話を聞いていた。


「お前の言う『危険』って、あの倉庫で見た鉱石のことか?」

アスタが問いかけると、アランは頷いた。


「ああ。ベリルで採掘された希少資源。それはただの鉱石ではない。その特性を利用すれば、仮想技術やエネルギー兵器にとてつもない影響を与えることができる。」


「それを狙ってるのが、あのスーツの男の組織ってわけね。」

カリーナが鋭い声で言った。


「その通りだ。」


アランは続けた。


「だが、これは始まりに過ぎない。この星だけでなく、銀河中の様々な場所で同じような活動が確認されている。そして、それを裏で操る者たちの正体はまだ掴めていない。」


アスタは息を呑んだ。自分の旅が、これほど大きな問題に巻き込まれるとは思っていなかった。


「アスタ、ファントム。君たちの力が必要だ。共に、この危機を追うのを手伝ってくれ。」


アランの言葉に、アスタは迷った。だが、カリーナは即答した。


「面白そうね。乗ったわ。」


「おいおい、簡単に決めすぎだろ!」

アスタは思わず叫んだが、カリーナの視線に押されるように渋々頷いた。


三人は一時的に協力することを決め、惑星ベリルを後にする準備を始めた。次の目的地は、さらなる陰謀の手がかりが眠るという古代文明の遺跡がある惑星だった。


「これからどうなるか分からないが……安全第一だ。」

アスタはエクリプスに乗り込みながら、小さく呟いた。

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