銀河を揺るがす最後の戦い
ノア・コロニーの危機を救ったアスタたちだったが、戦いの余韻に浸る間もなく、新たな脅威が迫っていた。敵組織が次の行動を起こす前に、彼らの拠点を突き止める必要があった。
「これが奴らの本拠地の座標だ。」
アランが手元の端末を操作し、ホログラムに表示される星系マップを指し示した。
「この場所……銀河の中心部じゃないか。」
カリーナが驚きの声を上げる。
「そうだ。そして奴らの目的は、遺跡で見つけた『鍵』を利用し、銀河全体を制御するシステムを完成させることだ。」
「銀河全体を……?」
アスタは信じられないという顔で言葉を失った。
「もしそれが実現すれば、奴らが銀河の支配者になる。そんなことは絶対にさせない。」
アランの声には、かつてないほどの決意が込められていた。
エクリプスは全速力で敵の拠点へと向かっていた。アスタたちは最後の戦いに備え、準備を進める。
「この戦いが終われば、少しは落ち着けるのかしらね。」
カリーナが苦笑しながら銃の整備をしている。
「そう簡単にはいかないだろう。でも、まずは目の前の戦いに勝つことが先だ。」
アスタはそう言いながら、未来選択能力の発動準備を整えていた。これまでの戦いで能力を酷使し、精神的にも限界に近い。だが、彼の心には強い決意があった。
「銀河の運命がかかっている以上、ここで諦めるわけにはいかない。」
到着した敵の本拠地は、巨大な宇宙ステーションだった。その中心には、古代遺跡で見つけた装置と似たエネルギーシステムが搭載されていた。
「これが奴らの支配の要……!でも、見た目よりずっと脆そうだな。」
カリーナが敵の防衛システムをスキャンしながら言う。
「そうだな。装置のコアを破壊すれば、全てを無力化できるはずだ。」
アランが静かに応じる。
敵の防衛兵力は多く、彼らは必死に拠点を守ろうとする。アスタたちは連携を強化し、未来選択能力を駆使しながら突破口を切り開いていく。
「右側に回り込んで、敵を分断する!アラン、カリーナ、こっちだ!」
アスタの指示で二人が同時に動き、敵の守りを崩していく。
本拠地の中心部で、再びスーツの男と対峙する。彼はどこか余裕のある態度を崩さないまま、アスタたちを見据えていた。
「ここまで来るとはな。だが、銀河の運命はもう私の手の中だ。」
男は静かにそう言い、装置のコントロールパネルに手を伸ばす。
「ふざけるな!銀河をお前の好きにはさせない!」
アスタは怒りを込めて叫び、エネルギー銃を構える。
「君たちの抵抗は無意味だ。未来はすでに決まっている。」
その言葉に、アスタは強い決意を込めて反論した。
「未来を決めるのは俺たちだ!お前の思い通りにはならない!」
男は装置を起動し、エネルギーシステムが銀河規模の制御信号を発し始める。時間がない。アスタは未来選択を発動するが、今回は選択肢のすべてが困難な結末を示していた。
「……どの未来も、誰かが犠牲になる。」
アスタは動揺しながらも、最善の未来を探そうとする。だが、精神の疲労が限界を迎え、視界がぼやける。
「アスタ、しっかりしなさい!」
カリーナが叫ぶ。
「……大丈夫だ。俺は諦めない!」
アスタは最後の力を振り絞り、装置のコアを破壊する未来を選び取る。
装置のコアが破壊されると同時に、エネルギーシステムは崩壊を始めた。本拠地全体が激しく揺れ、崩壊の危険が迫る。
「全員、急いで脱出するぞ!」
アランの指示で、アスタたちは急いでエクリプスに戻り、ステーションを脱出する。
背後で巨大な爆発音が響き、敵の拠点が銀河の闇に消えた。
「……終わったのか?」
アスタが息を切らしながら呟く。
「ええ。これで銀河は救われたわ。」
カリーナが微笑みながら答える。
「だが、奴らの残党が動き出す可能性もある。これからも気を抜くわけにはいかない。」
アランが冷静に付け加える。
ノア・コロニーへと戻ったアスタたちは、住民たちの歓声に迎えられた。だが、アスタの心には新たな決意が芽生えていた。
「俺はまだ旅を続ける。銀河の広さを、この目で見たいからな。」
「また面倒なことに首を突っ込む気?」
カリーナが呆れたように笑う。
「その時は手伝ってくれるだろ?」
アスタが軽く笑って答える。
こうして、アスタの物語は一つの終わりを迎え、新たな冒険の扉が開かれた。