表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

ソラは身近に

「決まった!ついにこのフューエル銀河大会、勝者が決定です!」


コロニー中央広場のホログラムスクリーンに、実況者の興奮した声が響き渡る。画面には、銀河大会「ギャラクシア・アリーナ」の決勝戦の模様が映し出されていた。鮮やかな宇宙背景をバックに、二機の戦闘機が激しいドッグファイトを繰り広げる映像だ。


「勝者はアラン・グレイ少佐!『レイヴン』の異名を持つ現役軍人が、圧倒的な技術でファントムを撃破しました!銀河最強のパイロットは彼に決定です!」


観衆の間から歓声と拍手が巻き起こる。主人公である俺――アルタは、その熱狂を少し離れた場所から眺めていた。


「やっぱりすげえよな、軍人のエースってのは……」


隣に立つ幼馴染のカイルが、目を輝かせながらスクリーンを見上げている。俺は彼の隣で軽く肩をすくめた。


「そりゃそうだろ。俺も準々決勝でレイヴンにボロ負けしたし、こいつらとは次元が違うよ。」


カイルが「お前が5位に入っただけでもすごいって」と励ましてくれるが、俺の心はそれほど晴れやかではなかった。銀河一を夢見て挑んだ「ギャラクシア・アリーナ」。予選を突破し、なんとか本戦に進んだものの、上位にいるのはやはり軍人や傭兵ばかりだった。


準々決勝の記憶

「アルタ・ナギシマ。これが君の限界か?」


冷ややかな声が脳裏によみがえる。準々決勝で俺を打ち負かしたのは、今まさに銀河一となったアラン・グレイ少佐だった。


あの試合。俺は自分の限界を尽くし、最善の一手を選び続けた。だが、それでもレイヴンの正確無比な操縦技術には歯が立たなかった。


「未来を選択する能力か……だが、それを現実にできるのは、能力だけじゃない。経験だ。」


試合後、彼はそう言い残して去っていった。悔しさはあった。だが、それ以上に俺は、銀河一を目指す舞台に立てたことに達成感を覚えていた。


現在へと戻る

「まぁ、俺はもう銀河一とか目指さなくていいんだよ。5位になれたし、それで十分だろ。」


俺が言うと、カイルは不服そうに眉をひそめた。


「5位だって立派だと思うけどな。コロニーにいる奴で、宇宙船を手に入れたやつなんてお前ぐらいだろ?」


それを聞いて、俺は少しだけ笑った。そう、5位に入賞したことで、俺は「宇宙船」という賞品を手にすることができたのだ。それも星間航行可能な中型船だ。


この銀河では、普通の人がコロニーを出るなんて滅多にない。宇宙船の維持費や航行費が高額だからだ。一般人の大半は、コロニーで生まれ、コロニーで死ぬ。


だが、俺は違う。これで、ようやく夢だった宇宙への旅立ちができる。


祖父の冒険譚

思えば、俺が宇宙に憧れるようになったのは、祖父の影響だった。


「アルタ、お前はこのコロニーだけが世界だと思うな。銀河は広い。星々を巡る旅は、人生そのものを変える。」


祖父は、かつて宇宙商人として銀河を巡った冒険者だった。その話を聞くたびに、俺の胸は高鳴った。だが現実は厳しい。父も母も、「コロニーで安定した生活を送る方がいい」と言っていたし、俺もそれが普通だと思っていた。


でも、転生して得たこの「未来選択」の能力と、今回の大会で得た宇宙船。それらが俺の「普通」を変えたのだ。


旅立ちの準備

「それじゃあな、カイル。俺、行くよ。」


決勝戦が終わった翌日、俺はカイルや家族、そして祖父に別れを告げた。父は少し心配そうだったが、祖父は笑って言った。


「やっとお前も一人前の航海者になるんだな。誇りに思うぞ、アルタ。」


手に入れた宇宙船は古いが、性能は抜群だった。船には高性能AI「ルミナ」が搭載されており、初めての航行をしっかりサポートしてくれるらしい。


宇宙船「エクリプス」

宇宙船「エクリプス」のブリッジに立った俺は、緊張と興奮が入り混じった感情に包まれていた。操作パネルに手を触れると、AIの声が響く。


「初めまして、アルタ・ナギシマ。私はこの船のAI、ルミナです。星間航行モードの準備を開始します。」


「よろしくな、ルミナ。これから長い付き合いになりそうだ。」


初めての宇宙航行

エクリプスがゆっくりとコロニーを離れ、広大な宇宙空間に飛び出していく。窓の外には、無限に広がる星々の海。


「これが、宇宙か……!」


息を呑むような景色に、俺は言葉を失った。これまでコロニーの中で見てきた小さな世界が、どれほど狭かったかを思い知らされる。


「安全第一で行こうな、ルミナ。」


「了解しました。アルタさん、まずは近隣の惑星系へ向かうルートを計画します。」


新たな冒険の始まり

俺はスクリーンに表示されたルートを眺めながら、胸の中で決意を固めた。この旅がどんなものになるのかは分からない。けれど、俺には「未来選択」の能力がある。慎重に、だが一歩ずつ前に進んでいくつもりだ。


「祖父が言ってた通りだな。銀河は広い。」


これから俺は、この無限の銀河を巡る冒険に出る。その旅の先に、何が待っているのか――それは俺自身の目で確かめるしかない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ