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第041話 近代化改修

更新が遅れて大変申し訳ありませんでした。


このまま未完で終わるのか?と思われた方もおられるかも知れません。

本家のカクヨムさんで書いている作品の更新を優先してしまいました。


物語としては中盤くらいですので、最後まで行けると思います(ほんとぉ?

#°д°)⊃)д°) グハッ!

サーシャが灰色のスライムのスーラを仲間にして数日が経ったある日の事。


ダンジョンの1階で修業を終えたサーシャは、地上への階段を登ろうと足をかけた瞬間、その階段の上を歩くシルバのパーティを視界に入れたのだった。


「あ、シルバさんめっけ!」


てってってって、と軽快な足取りでシルバの方へサーシャは走る。


シルバはサーシャの声に振り向き、彼女の胸に抱かれているスライムのスーラを一瞥したあと話しかけた。


「やぁ、サーシャ君。訓練は上手く行っているかい?」


「えぇ、スーラ共々、超絶上手く行っているわ」


「そうか、それは何よりだよ」

「それはそうと、この前シロウのやつに頼まれてた例の物だけど、あれで良かったのかな?」


「えっ!?」


シルバの言葉に、サーシャは素っ頓狂な声を上げて首を傾げた。


「あれ?先日ギルドに戻った際に、サーシャ君の母君にたまたまお会いしてね。お渡ししたはずだけど………」


「げぇっ!!!まさか……ママにアレを渡したの!?」


「えっ?いけなかったのかい?」


「おおおぉぉぉ…………………」


サーシャは両手と両ひざを地面に付けると、嗚咽の声を上げた。


「スラァ………」


そんな彼女をスーラは心配そうに見上げ、事情を察したサーシャの幼なじみのマコトを除いて困惑したのであった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・。



次の日。


シロウ一行は、サーシャの母親たちが住んでいるコカトリスの狩場へと馬車を走らせた。


「なっ!なんじゃこれはっっっ!!!!!!!!」


エリスを始めとして、パーティ一行は驚きを隠せなかった。

サーシャとマコトを除いて。


「あー………やっぱ手遅れだったかぁ………………………」


パーティの前に現れたのは、入り口の巨大な門に、コカトリス狩場の土地を覆いつくすように建てられた壁。


「なんじゃ、この材質は……ツルツルしておるのに異常な程の硬さじゃ」


「伯母上の言われるとおり……なんなんですの、この壁………」


「凄いなんてものじゃないよ、これ………ボクの鎧より頑丈かも」


エリスとリリス、オフィーリアは、前に来た時には無かった壁をコンコンと拳でノックしたりしながら、それぞれ感想を述べた。

無理もない話である。

彼女達の知る壁とはレンガ造りのそれであり、目の前に見えている壁はつなぎ目が全くないものだったのだから。


「サーシャ君、これはどうやったら開けられるのかな」


シロウは門の右端の方にある、唯一黒い四角の壁を親指で指しながら言った。

その更に右隣には2m程の高さの普通の扉もあった。


「あー、それはですね。多分こうして………」


サーシャは、自分の手を黒い壁に押し付ける。


ピピピピ。


「生体情報を確認中………100%の確率でアレクサンドラ・C・ベクブラトヴナと判断」

「施設管理者に確認中………通行許可が下りました」

「他の5名と1匹も生体認証を受けて下さい。全員の許可が下りなければここは通せません」


こうしてシロウを始め、残りの5人と1匹の生体認証が始まった。


「生体情報を確認中………100%の確率でスーラ・スライームロヴナと判断………通行許可が下りました」


「生体情報を確認中………100%の確率でシンイチ・コンドーと判断………通行許可が下りました」


「生体情報を確認中………100%の確率でエリス・ブラゴルコロルセム=エルフィースニャと判断………通行許可が下りました」


「生体情報を確認中………100%の確率でリリス・ブラゴルコロルセム=エルフィースニャと判断………通行許可が下りました」


「生体情報を確認中………100%の確率でオフィーリア・ニェファミルと判断………通行許可が下りました」


「生体情報を確認中………100%の確率でシロウ・ニェファミルと判断………………ビビビビビビビビビ異常発生、異常発生。もう一度生体情報を確認します」

「………………………………………………………………50%の確率でシロウ・ニェファミル、50%の確率でシリウス・ヴォノメドゥク………通行許可は出せません」


シロウの生体認証にみな驚いたが、一番驚きを隠せなかったのはシロウ本人であった。


「うーむ…どういう事じゃ?とりあえず、もう一度やってみぃ」


「………あぁ………そう…だな………」


こうして、シロウは再び手のひらを黒い壁に付けた。

結果は、シロウ自身がよく分かっていながら。


「そんな事より、オフィーリアさんとシロウさんって親戚だったの?」


「え!?ボクとシロウは同郷だけど、家は全然別だよ?」


「この小娘馬鹿ですわ、伯母上」


「サーシャよ、ニェファミルというのは姓では無く、平民を表す言葉じゃ」

「平民は姓を持たぬが、姓を書かなければならない時もあるでの。その代用として便宜上ニェファミルと名乗るんじゃ」


「へぇ、そなんだ」


「というか、むしろお主たち、貴族出身じゃったのかや?」


「ふふふ。まぁーねぇー!」


サーシャは胸を張ってドヤ顔を決めた。

彼女達の住む元の世界では、既に平民貴族関係なく姓を持つのが当然であったが、何を隠そうサーシャの家は本当に貴族出身だったのである。


「ふむ……人は見掛けによらぬのぉ」


「そうですわね、伯母上。でも、きっと、この小娘の代で終わるに違いありませんわ」


「それはそれとして、お主も貴族出身じゃったんじゃな」


エリスはマコトに問いかける。


「いえ、僕の家は忍者………諜報活動を生業にしていた農民の家柄です。僕たちの国では平民も独自の姓を持っていますので」


「そうなのかや?世界には不思議な国もあるもんじゃな」


「ということは、あの小娘も本当は平民の小娘じゃありませんの?伯母上」


リリスは、ワザとサーシャに聞こえるように、可哀想な者を見るような目をしながら、エリスの耳元で大声で囁いた。


「ちょっとーっ!!!私は本当に貴族出身、それも王族なんだってばーっ!!!(ちんまい王国だったけど)」


「そこんところどうなんじゃ?マコトや」


「サーシャの言った事は本当です」


「ふむ。マコトが言うなら間違いないの」


「ちょっと、何でマコっちゃんの言う事は信じて、私の言う事は信じないのよ」


「それは日ごろの行いじゃろ」


「そうですわ、そうですわ。伯母上の言われるとおりですわ」


こうして和気藹々とする中、無情にもシロウの生体認証は通らずブザーが鳴り続け‥‥‥そして、何度かエラーのブザーが鳴ったのち扉は開いたのであった。

次もよろしくお願いします。

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