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第032話 賊を討伐しに行った 中編

中編です。宜しくお願いします。

「お主、話を聞いておらんかったのかや?騎士団ですら倒せん連中じゃぞ?」


勢いよく立ち上がり、握りこぶしを作っていたサーシャに、エリスがツッコミを入れる。


「全く、小娘は人の話を聞かなくて困りますわ」


やれやれと言わんばかりのポーズで、リリスは溜息交じりに言う。


「ちゃんと聞いてたわよ。その上で討伐しに行こうっての」

「なぁに、大丈夫よ。みんなが私を守ってくれさえすれば、メラ〇ーマ級の火球(ファイアボール)で丸焦げにするから」

「数人なんでしょ?」


「成程の………お主の火力ならいけるかも知れんの」

「そこん所どうなんじゃ、メドーサ殿」


「恐らく無理で御座いましょう」

「なにぶん、その4人は恐ろしく強く、30の騎士と10の魔術師が全滅したくらいですので」


「なんじゃ、その規格外の強さは。よく町まで攻めて来んもんじゃのぅ」


「ちなみに、その4人はどんな賊なんだい?」


シロウの問いにメドーサは淡々と次のように答えた。


「目撃者によると、一人は2mの丸坊主の筋肉質の男で掛け声は『ウラーッ』だそうです」


「ん?」


メドーサの説明にサーシャは、目を丸くして首を傾げた。


「もう一人は身長が150cm程しかない黒髪で細身の男…恐らくドワーフかポックルと思われますが、異様に素早い攻撃をしてくるそうです」


「あれ?」


今度は、マコトが首を傾げた。


「どうしたんですの?二人とも」


リリスは(いぶか)しみながら二人に訊く。


「何でもない何でもない。メドーサさん続けて」


「はい、後の二人は後衛になります。一人は身長170cm程の後ろに髪を結った銀髪の女で『汚物は消毒だーっ!』と言いながら何やら火炎系の魔法が封じられた細長い瓶を投げつけて来ます」


「んーーー………」


メドーサの説明に、サーシャは目を閉じながら何とも言えない顔をした。


「何なんですの。さっきから貴方は……まったく」


「きにしないでー………」


そんな二人を他所に、メドーサの説明は続く。


「もう一人は150cm程の全身を黒の衣装で纏っており性別は分かりませんが、木から木へと飛び移り棘の玉を投げて来たり、小さな鉄の刀を投げて来たり、視界を遮る魔法の入った玉を投げて来るそうです」


「あーーー………」


メドーサの説明に、再びマコトは唸った。


「どうしたんじゃ、マコト」


エリスの問いに、マコトはこう答えた。


「えっと……多分、その賊の4人は僕達が知っている人達かも知れません………」



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


‥‥‥。



馬車にて、移動中。


「一応、マコト君とサーシャ君に確認して貰うが、違っていれば即撤退するから、そのつもりでいてくれ」


御者のシロウは、少しばかり後ろを振り返りながら言い、それに皆は頷いた。


「その場合、俺とエリスで前衛の二人を撹乱するから、フィーは中衛で盾壁(シールドウォール)を展開して敵の後衛の二人の攻撃を防いでくれ」


「分かった」


「リリスは、俺が退却の合図を送った瞬間に神盾(ゴッドシールド)を唱えてくれ。同時に聖霧(ホーリーミスト)を唱えて………」


「ええ、分かってますわ。その隙に小娘とマコトを連れて馬車まで逃げればよろしいのでしょ」


「そのとおりだ」


入念にその時のシミュレーションをしながら、一行はコカトリスの狩場に到着した。


そして‥‥‥賊は現れた。


「また性懲りもなくやって来たか。薄汚い盗人どもめっ!!!」

「我が(こぶし)をその身に受けるがよいわっ!!!

「ウラーーーッ!!!」


メドーサの説明どおり、2mの丸坊主の筋肉質の男は唸り声を上げて、パーティに向かって突進して来た。


「パパっ!!!」

お読みいただき、誠にありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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