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第031話 賊を討伐しに行った 前編

今回は、サーシャとマコトに関係したお話になります。

お昼。

ギルドに併設されている食堂で、サーシャの声が響き渡った。


「ちょっと、ちょっと!カチューシャさん!カチューシャさん!」


「ど……どうしたのにゃ?サーシャにゃん」


「いや、だって。コカトリスの南蛮、枚数1枚足りないのよ」


サーシャは、カチューシャの持ってきたコカトリス南蛮の大皿を指差す。


そして、彼女の言葉にみなは驚いた。


何故なら、コカトリス南蛮の大皿には6人分が盛られており、一人あたり7枚あるのだが、それを一瞬のうちにして数えたからである。


「お主、本当にコカトリス南蛮の事になると目の色が変わるのぅ」


肘をテーブルに付け、その手に顎を乗せながら呆れたようにエリスは言う。


「本当ですわ。ま、人間の小娘には相応しい浅ましさではありますけど」


エリスの姪リリスは、背筋をピンと伸ばした行儀のよい姿勢で目を閉じながら言った。


「うっさいわね。私にとってコカトリス南蛮は命の次に大事なのよ!」


「ほぉ?そこな小僧(マコト)は大事ではないと?」


「ふっ……マコっちゃんは、もうそんな次元で語る存在ではないわ」

「ま、とりあえず、それは置いておいて…」


サーシャのその言葉と同時に視線をカチューシャに向けた。


「実はだにゃあ………最近コカトリスの入荷が少なくてにゃあ、1枚減らしてるのにゃ」


「なるほど…それなら仕方ないわね」


「まぁ、一時的なだけだと思うにゃから、勘弁してほしいにゃ」


こうして、その場はそれで終わったのであるが、それはほんの序章に過ぎなかったのである。


1週間後。


「ちょっと!今日はお皿に35枚しかないわ!」


「申し訳ございません。入荷が滞っているみたいで、今はその枚数が限界となります」


給仕の仕事もしているメドーサは、その謝罪の言葉とは裏腹に無表情で淡々と話した。


「滞っているというのは、何かあったのかい?」


サーシャの代わりにシロウがメドーサに訊いた。


「はい。実は、コカトリスの狩場がある数人の賊に占拠されてしまったようでして、滞っているのでございます」


「あぁ、そういえばサーシャ君が最初に枚数の事で言った日の掲示板にあったな」

「あれから見てないし、終わったと思っていたけど」


「いえ。実は、討伐に向かったパーティが賊に散々に打ちのめされてしまいまして、その任務失敗の報告を受けた当ギルドは騎士団に討伐依頼をしたのです」


「なるほどね」


メドーサの答えに、溜息を吐きながらシロウは納得した。


「え!?どういう事なんです?シロウさん」


「つまり、賊は相当に強いって事だよ」

「で、未だに討伐出来てない、と」


「そのとおりで御座います」


「えぇぇ……じゃあ、この枚数も………」


「はい、明日はまた1枚少なくなります」


メドーサの無慈悲な返答に、サーシャはテーブルに頬を付けてうな垂れた。


「サーシャ………」


マコトが慰めようとサーシャの肩に手を置こうとした瞬間、サーシャは立ち上がった。


「私達が、そいつらを討伐しましょ!」



お読みいただき、誠にありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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